トラ、とら、寅
今年は寅年。そして僕は年男イヤー。そんな年だからこそ行きたい場所へ「近鉄全線フリーきっぷ」3日目に行ってみた。
奈良駅から
ホテルをチェックアウトして、近鉄奈良駅へ。そこから大阪難波行き急行で生駒へ向かう。沿線は山なりの住宅地でアップダウンが連続、生駒直前ではトンネルをくぐる。大阪北摂地域や芦屋、西宮の住宅街を想起させる雰囲気だ。
生駒で降りて少々ぶらついた後、生駒線王寺行きに乗り込んで信貴山下駅へ向かう。高架とベッドタウンを駆け抜けていったと思ったら、後半では奈良盆地への急坂を一気に駆け降りる。車両は急峻な奈良線対応だから「何のこれしき」と言わんばかりの性能を発揮する。ちなみに僕の家の近所でも走っているから「いつもお世話になってます!」と言いたくなってしまう。
信貴山下駅で降りると今度は奈良交通のバスで向かう。
走る道の一部はかつて走っていた「東信貴鋼索線」というケーブルカーの廃線跡を舗装していて、僕が山道の教習で経験したのを越える超急坂、せり立つ壁のようだった。そんな坂を見て「え、こんなん登んの!?」とびっくりした。
寅のお寺へ
バスに揺られて10分「信貴大橋」バス停に着いた。
今回の目的は「信貴山朝護孫子寺」。聖徳太子が「寅の年、寅の日、寅の刻」にお参りしたら大変なご利益を授かったことに因んで、寅にご縁の深いお寺。このことや戦いの神である毘沙門天を祀っていることから「阪神タイガース」の選手やファンが必勝祈願することでも有名だ。
境内はこれでもかと寅で染まっていて、記念撮影してる人も多い。そして何てってたって、寅年で寅の月(2月)だからか平日ながら人がたくさん。
高い所にあるから本堂から見る奈良盆地は絶景。その代わり風はビュービュー吹いていて、歩くときかなりキツかった。
下山
お昼を食べて温もりが五臓六腑に染み渡ったところで下山する。さっきは奈良側からだったが、今度は大阪側に下りる。
「信貴山門」のバス停から近鉄バス乗り込んで高安山へ向かう。
バスが走る道中はかつて「信貴山急行電鉄」という電車が走っていた。スイスでよく見られるケーブルカーを上がった先に平坦の鉄道があるという形態の電車だった。電車を搬入するときは斜面から引っ張って持ち上げたなんて豪快なエピソードもある。しかし、赤字続きだったことや太平洋戦争下で「不要不急線」指定されたことで休止の後廃止。廃線跡は舗装され、「信貴生駒スカイライン」という有料道路になった。電車に代わって近鉄バスも運行されている。
バスの沿線は廃線跡ということだが、ここを電車で走ったら中からも外からも絶景やったろうなぁという妄想が思い浮かぶ。バスでもそれなりに良いが。
高安山に着き、ここからはケーブルカーに乗り換える。
近鉄が運営する「西信貴ケーブル」。大阪側から信貴山へ登るメインルートだ。「フリーきっぷ」ももちろん使える。今回乗るのは2両あるうちの青い車体「しょううん」。車両の座席は信貴山にちなんでトラ柄。かつては車外のビジュアルもトラだった過去があるが、今は復刻塗装に戻っていて、ヘッドマークが添えてあるのみ。「ビデオで見てた昔の姿がマッチしてたと思うのになぁ。」そんなボヤきをしたところで高安山駅を発車し、麓の信貴山口駅へ降りていく。
車窓には広大な大阪平野の街並みを望める素晴らしい眺め。麓側はガラス張り天井だからこれより素晴らしい眺めだろう。
途中では赤い車体の「ずいうん」とすれ違う。
このケーブルカーには踏切が2ヶ所もある。山の斜面を走るため無縁だったりすることも多いが、ここではなぜかある。ちなみに奈良県生駒市にあるケーブルカーも踏切があって、住宅街という土地柄、自動車も通れる大きなものもある。
踏切を過ぎたところで信貴山口に到着。信貴山の玄関口として広めに作られ、近鉄信貴線にもダイレクトで乗り換えができるようになっている。会社同士で改札レスだ。
この後、信貴線河内山本行きと大阪線大阪上本町行き区間準急などを乗り継ぐなどしたが、ここから先は省略。
というわけで寅年寅の月に寅のお寺にお参りしてきた「トラ、とら、寅」な訪問記でした。実は大学の軽音部の合宿で一度信貴山のホテルで泊まって、1人であのお寺に行った以来2回目。でも、あのときとは違って非常に賑わっていて注目度の高さが窺えます。寅の良いパワーを授かったことですし、より良い「年男イヤー」にしたいと思います。
この記事が参加している募集
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。