旧友とイルカと音楽と
「サイコロきっぷ」を振ってからは夏休みで多くなりそうということで買うのは様子見していたが、ぼちぼち「2投目」もやらねばときっぷを買って座席指定して行ってきた。「1投目」の今回は去年に続いて2度目の「白浜」正直「え〜また〜」とも思ったが、カツカツスケジュールで「くろしお」「紀州鉄道」「和歌山電鐵」「ハローキティはるか」を乗り潰したいと思って「千畳敷」「三段壁」「とれとれ市場」を諦めた。裏を返せば「リベンジマッチ」のような今回の旅。そんな中でも鉄道とともに音楽を堪能してきた。
旅の始まり
今回の旅のスタートは「京橋駅」「くろしお」のスタート地点は「新大阪」となるが「大阪市内※」という効果と京阪で安くしたいケチな心が動いたのとJRだけでは物足りないという理由から。ルールに沿ったきっぷは言わずもがな通って、スタートダッシュは良好だ。
環状線とJR京都線を乗り継いで新大阪へ。ここからが本当の始まり。
電光掲示板の下ではもうすでにたくさんの人が群れを成して待っていた。今年から「全席指定」に変更されたものの、「サイコロ効果」なのか多くの人がいた。減った印象は無い。発車5分前になってようやく「くろしお7号」がやってきた。
旧友のような電車
「パンダ」でも「イルカ」でもなくごくごく通常の「289系」の「くろしお」でも、個人的には「やったー!」と心の中で喜んだ。
実は2003年から2015年までは特急「しらさぎ」として北陸線を駆け抜けていた過去がある。しかし、北陸新幹線開通によるダイヤ改正で撤退。後に改造と車両の組み替えを行い、「北近畿方面」「和歌山方面」へ別れてやってきた。そんなこの車両は僕が幼いときから青春時代まで故郷で毎日見てきて「幼馴染」「旧友」に再会したようなこと。「久しぶりー!元気しとったかー!」と言いたくなる。まぁ、分かる人にしか分からないことだが。
数分遅れで発車
この日は定刻から数分遅れて新大阪を発車。琵琶湖線で乗務員が体調不良を起こし、“代打”を待っていたことで新快速が遅れ、その乗り換えを待ったことによるもの。指定席の情報からこの事情を汲んでなのか、運行指令か誰かしらの指示で待ってくれたのだろうか。(知らんけど)
昼のうめきた
それはともかく、発車後すぐには「うめきた」の街並み。知らない間にビルが増えていて、プレスリリースで分かるのもあるが、「これ何ができるんやったっけ?」ってのもある。そして、地下新線の工事も佳境で線路も敷かれている。「くろしお」ももう間も無くここを潜ることになり、光景が見られなくなる引き換えに大阪駅から直接乗れるようになる。
都会から田園
環状線、阪和線と都会から泉州の田園を駆け抜けていよいよ和歌山県内、「きのくに線(紀勢本線)」へ入る。
オーシャンビュー再び!
その一番の見どころはやっぱり、切目駅から南部駅にかけて見える太平洋(紀伊水道)の開けたオーシャンビュー!速度が落ちてのんびり眺められる。そして何より『老人と海』が最高に似合うし、雨予報が覆ったのが幸いだった。
その他にも海に似合う曲や夏っぽい曲、スタートでインストゥルメンタル、9月にちなんだ『セプテンバーさん』、JRの旅キャンペーンソング『二人』などをセレクト。前回は晩秋の旅であったが、今回は晴れの真夏日というサイコーのロケーション。これだけでも、1個リベンジは果たせた。
イルカと夕日と夜景
「南紀白浜」を堪能したところで帰りの「くろしお」の時間が近づいて、駅へ戻る。駅に着くと早速待っていた。
帰りは「オーシャンアロー」こと「283系」イルカをモチーフにした丸くてシャープなパノラマ先頭車が印象的。「パンダ」が出る前は「サンダーバード」と並ぶJR西日本の看板特急だったこともあった。
去年に続いて、2度目ではあるが、今回は夕日を見ながら夜へ突入する。その上、白浜から新大阪までフルで乗り通すという前回とは異なる環境で堪能する。
夕日と海
さっきと同じオーシャンビューを見ると、夕日の輝きが美しい。大阪方面は海の最も際を通るから、迫力がある。雲で遮られることもなく、またしても「晴れ男」パワーが発動したのだろうか(?)
秋の日はつるべ落とし
「秋の日はつるべ落とし」と言うようにあっちゅう間に夜に突入。季節の移ろいの速さを感じる。そして、「オーシャンアロー」の振り子パワーもあってか行きよりかなり速く感じる。
夜ラッシュ突入
和歌山駅からは通勤客がどっと増えて「満席御礼」。そのまま、大阪府へ突入し泉州路を飛ばしていく。
新今宮から入る大阪環状線はラッシュアワーではあるが、信号に阻まれたり遅れたりがさほど無く、軽快に夜の街を進んでいく。一方、座席ではほろ酔い気分のサラリーマン2人が真っ赤な顔して、会話に花を咲かせていた。居酒屋を彷彿とさせるこの時間らしい光景だ。
夜のうめきた
環状線に別れを告げると「うめきた」の夜景。1年前にも見たが、その間でも開発は進んでいる。今乗っている「くろしお」も来年の今頃違う風景になっていることだろうし、大阪に止まれば経路の選択肢が増えるのもありがたい。
無事帰路へ
「うめきた」を越えて、阪急電車の高架、淀川を渡ると終点新大阪に到着。長いようであっちゅう間な短い旅路だった。スーツケースを持った観光客とスーツ姿の通勤客がどっと出てきて、観光、ビジネス問わず使えるオールマイティさや「非密」な環境が好まれる盛況ぶりが窺える。
振り返り
「サイコロ」1つで行き先を決められてしまうという経験のない旅ではあったし、今回の行き先は1年前にも降り立った場所。とはいえ、前回よりも「南紀白浜」という土地を堪能できたと思うし、大地の神秘や地形を楽しむということも見出すことができた。しかも今回は大阪市内から目的地まで5000円という交通費の破格さ。おまけに特急or新幹線座席指定という大盤振る舞い。全国区では一瞬限りの話題だったし、得する地域が限定されるが、いろいろ運の良さに恵まれたいいきっぷだった。
お次は念願の「博多」(+大分も)既に新幹線の座席と宿連泊を取ってるからあとはお天道様と運を味方につけたいところ。