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一夜限りの復活劇

こちらの記事で以前紹介した『イトカムトビコ』。2019年に解散していたが、一度限りの復活が決まり、2021年7月4日に復活の夜を迎えた。元々は4月29日に開催予定だったが、緊急事態宣言発令で延期。当時も「まん延防止等重点措置(まん防)」適用の最中だが、OPENとSTARTを早め、20時までに終えることを条件に開催に漕ぎ着けた。

今回のライブでは京都のフォーピースバンド『the seadays』を迎えてのツーマン。しっとり始まったと思いきや、終盤にかけてスピードが上がり、ラストの曲の最後の瞬間は全弦を開放でブチ鳴らして、アンプのつまみを一挙に秒速でオール0でフィニッシュしたのが気持ち良かった。

そして、『イトカムトビコ』の出番。解散以来久方ぶりに聴くボーカル七燈(ななほ)さんの歌声。変わらない歌声と変わらない機材達、シルエットのように見える光の当たり方も変わらず。「解散の瞬間こんな展開になるとは誰が想像できたのだろうか」と思ってしまう。貴重な時間の幕開けだ。

途中のMC、七燈さんの声のトーンが解散の瞬間、それ以前より非常に明るい気がした。当初の日程から2ヶ月ちょっと延期になったから、その間に温めたいろんな感情、この日を迎えられた嬉しい気持ちがたっぷり出ていた。待ち焦がれていたのがよく分かる。

そして、今回のライブに合わせて書き下ろした新曲『渦の秘密』も披露。ここ1度でしか聴けない貴重な瞬間を堪能し、リバーブのかかった美しいサビに聴き惚れてしまった。

ラストはやっぱり『最後の部屋で』。叙情的なギターの音色と七燈さんの優しい声、暗色系の照明が見事で暗がりの中で締めた。

一昨日の見放題では飛んだり拳を上げるなど非常に満身創痍だったが、その翌日の今回は真逆に大人しく楽しめるライブなのは個人的には好都合だったし、もう見られないバンドを再び一夜限りで見ることができたのは、昨日に続いてこれもまた奇跡的だった。宣言に翻弄されながらも、延期期間を勝機の如く前向きに捉えて良い曲を作ったイトカムの姿と音源は良いものに出会えたと思う。同じ姿を見ることは今度こそ本当に無いかもしれないけど、各々の活躍に期待したいし、またあの優しい歌声をどこかでお耳にorお目にかかりたい。

素晴らしい夜をありがとうございました。

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