苦労と感動のハンバーグ
「炭焼きさわやか」
この店を静岡では聞かないことはない県民的グルメ。静岡県下のみで店舗を展開し、通販も無いからここでしか食べられない逸品だ。そんな僕も旅好きYouTuberやツアー中のバンドマンのSNSに影響されて食べてみたくなり、食べてきた。そこにたどり着くまでの苦労やこだわりで僕は今までにない感動を味わうことになる。
隣の駅へ
ホームページでは待ち時間をリアルタイムで更新している。確認してみると一番行きやすそうな「浜松遠鉄店」は
200分待ち
とてもじゃないけど無理だと諦め、浜松周辺、鉄道の近所で探すとひとつ隣の「高塚駅」近くの店舗が待つのに無理じゃない時間だったためそこに行くことに。
列車を降りて、徒歩10分。
初めてで戸惑い
受付時点では「70分」待ちを告げられ、店内に腰掛けた。しかし、店員さんから声をかけられて、受付システム上、「画面の色が変わらないとここには座れない」と分かって、一旦浜松駅で時間を潰すことに。
リクルートが開発した「Air wait」というシステムらしいが、導入しているところを見たことがないため、正直戸惑った。調べると全国区のチェーン店含めてかなり導入事例が多く、店員さんも慣れてる体で高速でしゃべってたからあの後声かけされ、知らなかった僕はショックを受けてしまった。
へこたれず暇を潰す
とはいえ、目標のためにはへこたれるわけにはいかない。浜松駅へ戻って、写真を撮って、再び高塚へ。なかなか往復するのはキツいもんだが、良さげな暇つぶしが見つからなかったから仕方ない。
いよいよ店内
そして、徐々に時間が近づき言われた通り画面の色が変わっ他のを見せて店内で待つ。入って約15分で僕の順番が回ってきて、案内された。今回頼んだのはもちろん「げんこつハンバーグ」。ランチセットの「ライス」、ソースはオニオン。注文時に店員さんから
肉汁たっぷり焼き上げますがよろしいですか?
と声かけがあった。この言葉に店1番のこだわりが光っていて、迷わず僕は首を縦に振る。
まずはお冷、コンソメスープ、「肉汁ガード」用の紙が運ばれて、着々と前準備がされていく。隣の席では同じものが既に運ばれていて、ジューシーな音を奏でていた。炭焼きの匂いがこちらまで漂ってくると、もうこの時点で食欲、空腹はMAXに近くになり、胸が高鳴ってくる。「空腹がスパイス」とはこういうことだ。
お出ましたハンバーグ
そして僕のところにもいよいよお出まし!米俵のような形をしたハンバーグが乗った牛模様の鉄板が置かれると、店員さんによる最後の仕上げ。ギザギザナイフと大きなフォークでハンバーグを2分割し、レアになってる中を部分をフォークを使ってアツアツの鉄板にギュッと押し当てる。客は紙を盾に飛び散る肉汁をガード。完成までのクライマックスのような名シーンで、この光景に僕はニヤニヤとワクワクが顔に出まくっていた。最後にソースを垂らすと出来上がり。
これぞ静岡県民熱愛のハンバーグが僕の前に…!ようやくここまで来れた。まずは一口…
肉肉しさが今まで食べたものと全然違う!!
それぐらい「なんじゃこれ!」なうまさ。ビーフのこだわりは伊達ではないのが分かる。さらに胡椒などのスパイスのアクセントもちょうどいい塩梅。最後の仕上げで凝縮されたお肉に火が通っていて、閉じ込められた旨みが溢れ出る。それに、約70分待った甲斐があった上、初めてのシステムに戸惑い、隣の駅とを何度も往復して暇つぶししたなどのストレスが一気に吹っ飛んだことでこれまでにない感動までも味わった。いくらイラチ(せっかち)な関西人でもこれだけお気に入りになるわけだし、バンドマンを始め、みんな食べるわけだ。
お口も心も体も
食べ終えて会計をすると「さわやか」オリジナルの「ハッカ飴」を貰った。これはあまり知らなかったし、撮るのを忘れてすぐ口に放り込んでしまったが、お口の中も「さわやか」になった。
静岡県民熱愛のハンバーグは今までの食事の中ではハードモードというべき困難にぶち当たってきた。それでも、少しでも早く食べられる店を探したことや、個人的な食べたい熱意で乗り越えることができたと思うし、名前の通り心も体も「さわやか」。こんなグルメは生まれて初めてだ。
前回静岡に行ったときは食べはしなかったが、仮に当時父が知っていたとしてもおそらくここには連れてこないだろう。当時の僕の繊細な心には許せないレベルの待ち時間だし。オススメは存分にするが、行く際にはくれぐれも余裕を持って受付は早めに。また、公式HPの待ち時間情報もご活用あれ。それと、地団駄は踏まず、待ち時間で驚かないように。これが当たり前だから。その代わり、感動は保証する。