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膝関節伸展制限 ~大腿四頭筋の関与~
膝関節伸展制限が存在すると多くの問題が生じます。機能面だけではなく、膝関節伸展制限は日常生活にも影響を与え、階段昇降や立ち上がりにおける、努力量の増大や動作時の疼痛に繋がる可能性があります。
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そのため、膝関節伸展制限を放置しておくことは、将来の関節変形や日常生活レベルの低下、膝関節疼痛の出現リスクを高めていると言っても過言ではないと思います。
膝関節伸展制限の原因としては、変形性膝関節症やスポーツ外傷に伴うものや膝関節術後に生じる可能性があります。しかし、膝関節伸展制限のメカニズムは一様ではなく、様々な要因が複雑に重なって生じます。
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私が臨床で実施している膝関節伸展制限の評価方法として、背臥位での下肢の位置やHHDを確認するようにしています。
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今回の記事では、膝関節伸展制限と前方組織の関係性について記載していきます。膝関節伸展制限に関与する前方組織の代表的なものとしては大腿四頭筋や膝蓋上嚢、膝蓋下脂肪体が挙げられます。
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このフローチャートはあくまでも私の考え方です。別の考え方もあるかもしれませんが、今回は私が考えるフローチャートの中でも、大腿四頭筋と膝関節伸展制限の関係性について、記載していきたいと思います!
1.大腿四頭筋と伸展制限
大腿四頭筋は、人体の中で最もボリュームのある筋肉です。表層には内側広筋・大腿直筋・外側広筋が存在し、その深層に中間広筋が存在しています。
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大腿四頭筋に問題が膝関節の伸展制限に関与している場合、症状として
・他動の膝関節伸展は行える
・自動膝関節伸展は行えない
・力が入りにくい、または入らない
等が出現します。もちろん、筋肉が異なれば訴えや症状は変化するため、大腿四頭筋のそれぞれの問題と膝関節伸展制限の関係性を考えて行きたいと思います!
2.内側広筋と膝関節伸展制限
2-1.内側広筋の解剖
内側広筋の一般的な解剖として、大腿骨粗線内側唇から起始し、膝蓋腱を介して、脛骨粗面に付着します。
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もう少し、解剖を詳しく見ていくと、内側広筋は内側筋間中隔から大腿骨の背側にかけて広がっており、大腿内転筋腱、内転筋管、長内転筋の腱膜など内転筋の腱膜には強固に付着します。
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また、内側広筋は中間広筋を挟み込むように付着するとも述べられています。この構造が後から紹介する内側広筋の機能において、重要な役割を果たしていると考えられてます。
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そして、内側広筋の筋線維走行には特徴があります。内側広筋の近位は長軸(縦)に近い筋線維走行であり、遠位は短軸(横)に近い筋線維走行になります。論文により、内側広筋の線維は分けることが「できる」・「できない」と矛盾する報告があります。
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内側広筋の解剖で重要な点をまとめると、”中間広筋の腱膜全体と連続”、”異なる線維走行”、”膝蓋骨の内側縁に付着”の3つが挙げられます。これら3つ構造は内側広筋の機能に直結する部分なので、しっかりと覚えておきましょう!
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2-2.内側広筋の機能
内側広筋は膝蓋骨の内側安定性や膝関節伸展(なぜか膝関節最終伸展)において重要と考えられています。
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内側広筋は膝蓋骨の安定性の向上や外側広筋と協調的に働き、膝蓋骨のアライメントを調整する役割があると考えられます。内側広筋の張力は膝蓋骨を安定させ、膝関節伸展トルクを効率的に発生させることが知られています。
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しかし、内側広筋は膝関節最終伸展において「筋活動は増大しない」「筋活動は変わらない」と多く報告されています。また、内側広筋単独では膝関節伸展ができないことや内側広筋に麻酔をかけても、膝関節伸展は可能という報告もあります。
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膝関節伸展には四頭筋すべてが関与します。EMG研究は大腿四頭筋のすべての構成要素が連動して働き、膝関節の完全伸展が生じると述べられています。
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内側広筋の膝関節伸展における重要な機能として、「medial pull-mechanism」があります。これは、膝関節伸展時に大腿四頭筋の長軸成分に対して、内側に引っ張る作用があるということです。
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