多裂筋の解剖・評価・介入
エコーを用いることで今まで見えなかった組織を可視化することができます。そこから新たな発見が生まれ、新たな評価・介入方法が思いつくことがあります。
例えば、「外側広筋」について考えてみましょう!
外側広筋は大腿四頭筋の筋肉の一部を構成しており、膝関節伸展が主な作用です。また、腸脛靭帯とも隣接しているため股関節にも影響を及ぼす可能性がある組織です。
ここまでは、エコーが無くてもわかる知識です。
エコーが無いとわからない知識は筋肉のReal timeの動きです!!!
外側広筋は膝関節伸展の際には、筋腹が前方移動する動態となります。逆に、膝関節屈曲時には外側広筋は後方へ移動するような動態となります。
つまり、膝関節の屈曲-伸展時には外側広筋が前方-後方に移動することになります。そのため、外側広筋が移動できるできるスペースや周辺組織との柔軟性(滑走性)が必要になります。
これは、エコーがあるからこそわかるReal timeの筋の動態です。
ここがわかれば、エコーが無くても外側広筋の後内側への動きを徒手的に促通したり、中間広筋や大腿二頭筋の柔軟性を改善し、移動できるスペース(周辺組織との関係性)を作る必要性があることがわかります。
なので、「エコーという言葉がついているから私には関係ない」「エコーはうちの施設に無いから」など考えずに、超音波の記事や文献、教科書は読んだ方が絶対に良いです!
それでは、多裂筋のエコー観察について記載していきたいと思います!
この記事を読むことで
・多裂筋の解剖がわかる
・多裂筋の機能がわかる
・多裂筋への介入方法のヒントが得られる
それでは、宜しくお願いします!
1.多裂筋の解剖
多裂筋は脊柱の広範囲に起始(停止)する筋肉です。
起始:第4~7頸椎の関節突起、全胸椎の横突起、全腰椎の乳様突起、仙骨
停止:第2頸椎~第5腰椎の棘突起
神経支配:脊髄神経後内側枝
作用:体幹の伸展、対側回旋
脊柱のほぼ全部に付着していると言っても良いぐらいです!
また、多裂筋の特徴として下部腰椎レベルに行くほど筋断面積が大きくなります。
これは、下部腰椎の可動域が大きいため、多裂筋の動的安定化機構が重要なためと考えることが出来ます。
2.多裂筋の機能
多裂筋はコアスタビライザーであり、静的および動的な脊椎の安定性に重要な役割を果たしてます。腹横筋や骨盤底筋群とともに脊柱の安定化の機能があります。
Lynders C: The Critical Role of Development of the Transversus Abdominis in the Prevention and Treatment of Low Back Pain. HSS Journal®. 2019 Oct 1;15(3):214-20.
また、腰部多裂筋はLong fiber・short fiberの2つの線維に分けて考えることが出来ます。作用は下記のように考えられています。
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