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リアリティの追求とタブー

 ずっと昔、ジム・キャリー主演の映画で「トゥルーマン・ショー」という作品がありました。普通の人生を送っていると思っている主人公が、実は人生の全てを24時間撮影されていて、それがそのままリアリティ番組『トゥルーマン・ショー』として世界220ヶ国で放送され続けていた、というお話です。

〇人はリアリティーを求めるもの
〇既成概念を疑え
〇実際芸能人はこんな感じ
〇多かれ少なかれこの世界は誰かに創り出されたもの

この映画の意味は人それぞれ色々なとらえ方があると思いますが、作品のインパクトが強烈過ぎて、この映画以降「トゥルーマン・ショー妄想」という精神病が誕生するほど大きな影響を与えました。

テレビやインターネット、色々な媒体で私達も色々なドラマや映画やバラエティを目にする機会がありますが、そこで求められるものの一つが「リアリティ」。

ただ、一言で「リアリティ」と言ってもお国柄によって追求の仕方が大きく異なるみたいです。

「劇的ビフォーアフター」が香港でも結構長いこと放送されています。

(香港では結構幅広く日本の番組が放送されています↓↓)

私の旦那Kは内装業を営んでいるので、毎週この番組を見ているのですが、この番組は家の「ビフォー」を紹介する時に、多くの場合「このお風呂がどれだけ不都合で大変か」という事を表現したいが為(?)によくその家人の入浴シーンも撮っています。

女性の入浴シーンというわけにはいかない為、基本おじいちゃんかお父さんの入浴シーンです。

ドラマや映画に出てくる入浴シーンと違って、そこには「見せ場」的な効果もセットも何もなく、ただただ狭さと不便さを強調するが為のシーンなのでKは「こんな一般人の裸まで映す必要があるのか。日本人は変態だ💢」と毎回ご立腹です。

私は日本人なので、そういう一般人の入浴シーンが挟まれていても、特に愉快な気持ちにもなりませんし、「そんなモンだ」と思っているので、イチイチ目くじらを立てる事もありません。

(ちなみにこの番組で、もう一つKが毎回突っ込むのが、大工さん達がホコリやら木くずやら砂埃、土煙がもうもうと舞い上がる中、ほとんどフェイスガードやマスクを着用していない事に驚き、呆れ、心配し、毎回「番組ホームページに意見してくれ!」としつこく言われ、それはわざわざホームページに意見しました。)

ただ、この家族の人はここまで求められて嫌だと思っていても嫌だと言えないのかな~という「気の毒感」はあります。


でもKに毎回毎回そんな事を言われる内に、私もそう言えば香港に来て間もない頃、香港のテレビドラマで、よく嘔吐シーンが出てくるのですが、そこは香港小麦粉を溶いたような白いドロドロの液体を実際に口から吐き出して演じるというところに、ドン引きしていた事を思い出しました。

香港ドラマや映画ではそこは全く普通に出てきます。香港の人たちもそのシーンで腹を立てるという事はありません。

日本では逆に、嘔吐シーンというのは、当然不愉快指数マックスな為、吐くシーンはあっても、何か吐いているものを直接映し出すという事は決して多くないような気がします。

でも、香港では小麦粉を水で溶いたものが白過ぎるからバナナをつぶしたものにするとか野菜の汁を混ぜるとか、リアリティの追求方向がやっぱり日本とは明らかに違います。

だからと言って私は「香港の人が変態」とは思いませんが、今でもそういうシーンはバナナとわかっていても何となく直視は避けたい衝動に襲われる私です。

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