字の綺麗な人
高校の時、大好きな日本史の先生がいた。
ちょっとマニアックな話が多くて、みんな眠そうだったけれど、
私は毎回楽しみで、その授業の時だけ真剣だった。
メガネをかけて、紳士な先生。
すごく字が綺麗で、それ以来好きなタイプは「字の綺麗な人」。
黒板の字がすごく好きで、日直の人が黒板を消すのを忘れてると嬉しかった。
ずーっと見ていられる。
それを古典の先生に言ったら、「平安時代みたいね」とか。
言われてみて確かにと思った。
当時の私、髪も長かったし、文章書きだし、平安時代ならモテてたかな、なんて。
大好きな先生、珍しい名字で、メインで研究してる内容も覚えてたので、
ちょっとインターネットの海で検索してみた。
大学の教授になってるーーー!!!!
え、もう1回大学行きたいんですけど……。
忘れもしない、
テストの時、解答用紙の裏に当時ハマっていた日本海軍の軍艦の名前を大量に書いた。
たっくさん書いた。
そうしたら先生、そこまで丸つけしてくれた。
足りてないよ、だとかそんなコメントまで。
嬉しかった。先生からのコメント。だって大好きな字なんだもの。
覚えている、
民という字を書く時、はねるところを一画で書かずに、チョークを1回離すことを。
綺麗なんだ。字が丁寧で。
楽しかったあの時。
日本史に傾倒していて、他の教科は何もできなくて。
でもあの日本史の授業があったから、
大学でやりたいことを見つけて、4年間通えたんだ。
先生、ありがとう。先生の授業、大好きでした。