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『消失的她』 中国映画 鑑賞記録

この夏中国で35億元の興行収入を達成した 2023年夏 No.2の大ヒット作。『ロスト・イン・ザ・スターズ』の邦題で中国映画週間にてジャパンプレミアですが、netflixでは一足早く配信が始まりました(アナザー邦題は『妻消えて』)。
わたしは映画週間での上演日程が合わなかったのでチケット争奪戦には参戦せず、ネトフリで鑑賞しました。

評判通り、大変に面白かったです!
今回はこちらの作品について書こうと思いますが本作、何を書いてもネタバレになりそうで(汗)
余計な情報は入れずまっさらで観た方が絶対に楽しめる映画だと思うので、鑑賞予定の方は極力素通りなさった方がよろしいかと思います。
勿論、無粋なネタバレは避けるように努力はしますが。

ではいきますね。




原題 消失的她
英題 Lost in the stars
邦題 ロスト・イン・ザ・スターズ / 妻消えて
監督 崔睿、刘翔
公開 2023年6月22日

トップ画像 消失的她 微博



消失的她 微博



あらすじ

ダイビングインストラクターの 何非(ホー・フェイ)。結婚一周年の記念で訪れたリゾート地の島で妻 李木子(リー・ムーズ)が行方不明となってしまう。警察に訴えるも取り合ってもらえず、ビザはあと数日で切れるという。必死に探す 何非を演じるのは 朱一龙、妻役は 黄子琪だ。

そこに 杜江演じる警察官 郑成(ジョン)が登場。同じ中国人ということで助けてもらえそうだと期待する 何非。

消耗して寝付いたベッドで目が覚めると見知らぬ女が隣に寝ている。ギョっとする 何非だったが、女は自分は妻の 李木子だと主張する。
そんな訳はないだろう、証拠を見せろという 何非が目にした過去の妻の写真は全て目の前にいる偽の 李木子(演じるのは文咏珊)のものにすり替わっている。
本人も何がどうなっているのか訳が分からないだろうが、観ているこちらも同じだ。まさに、狐につままれる、という状態。

当然、警察は取り合ってくれない。客観的に見れば、言ってることがおかしいのは 何非の方なのだから。


そこに偶然現れる辣腕弁護士 陈麦(チェン・マイ)。倪妮が演じている。
他に頼る当てもない 何非は渋る彼女を説き伏せて、何とか事件解明に協力してもらえることになる。


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トリックと演出

勿論明かせないが、よくできたトリック上手く書けた脚本絶妙な演出。本当に素晴らしい。
ドラマや映画の演出に騙されやすいわたしは、コロっと騙されたわよ(笑)

プロデューサーと脚本を手掛けるのは 陈思诚『唐人街探案』シリーズの監督、脚本家さんだ。道理でカラフルな映像顔面アップ多用のカットに共通部分あり。どの作品も「エキゾチック + サスペンス + 犯罪」がテーマになっているという。

ゴッホのイメージが印象的な画面。直截的に名画が映っていなくても全体的に絵画を見ているような気分になった。
みれば公式微博に、以下のゴッホ作品が作中の随所でモチーフになっているとある。なるほど、ゴッホの絵を見ている感覚になったのは間違いではなかった!
ついでなので画像も貼っておこうと思う(多数あり)


下 ゴッホ『星月夜』 消失的她 微博



上 ゴッホ『カラスのいる麦畑』 消失的她 微博



左 ゴッホ『ひまわり』 
ゴッホのひまわりは数点あるがこちらはアムステルダムの『ファン・ゴッホ美術館』所蔵作品
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左 ゴッホ『サン=レミのサン=ポール病院の廊』 消失的她 微博



上 ゴッホ『夜のカフェ』 消失的她 微博



左 ゴッホ『夜のカフェテラス』 消失的她 微博



左 ゴッホ『自画像』
ゴッホの自画像は37点あるがこちらは『オルセー美術館』所蔵 1889年の作品
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上 ゴッホ『アルルの寝室』
同タイトル作品が3点あるうちのこちらは『オルセー美術館』蔵の作品
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上 ゴッホ『ローヌ川の星月夜』 消失的她 微博


以上、9点。
絵画的な映像を楽しめる作品でもあった。

リゾート地(もうすぐ沈んでしまうかもしれない、という台詞があったのでモルジブの設定なのかな?と思った)撮影は海南陵水保亭で行われたとのこと。

因みに音響もとてもよかったように思う。終盤、どの部分かはいえないが、拙宅のウーファーが過去イチ活躍したんじゃないかと思う超重低音の箇所あり。壁が振動し、髪の毛が逆立つようなビックリ効果抜群であった!


蛇足
今夏訪れたWanshington D.C のナショナルギャラリー所蔵のゴッホ『自画像』
自画像としてはこれが最後のものだそう。

ゴッホ『自画像』 2023/07 national gallery にて 撮影 らん 



配役

朱一龙 の演技は言わずもがなの素晴らしさであった。何非 とは一体どういう人物なのか、その時々でコロコロと変わる表情や風情にすっかり翻弄されてしまった
カッコいいなーとシビれたのはタキシードをパリっと着こなす浜辺のディナーシーン。
一つの作品の中で多彩な人物造形を見せてもらえたのに、映画というエンタメならではの楽しみを感じた。


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倪妮 も好きな役者さんだ。最近観たものの系統が被ってはいるが、いつものようにスタイルや身のこなし含めキリっと素敵であった。お顔立ちは甘めなのとのギャップがいい。

が、何といっても本作のインパクトMVPは偽妻役の 文咏珊(ジャニス・マン)であろう。いきなり隣に寝て偽妻を主張するなど如何にも胡散臭いのだが、怖過ぎて思わず言われるままに信じてしまいそうな迫力
どの作品でみたんだっけこの女優さん。この意味ありげな笑みは一体どこで??と思っていたら『九州·海上牧云记』だった。
前々回の記事途中放棄のドラマたち数少ない脱落作品でお会いしていたなんて!!
フワフワしてるのが意味不明とか書いてごめんなさい。
本作の演技、とっても魅力的だったことを添えたいと思う。


背筋の凍るようなこの笑み(笑) 文咏珊 消失的她 微博


そんなこんなで、内容的なことは何も書けないレビュー(笑)
とにかく観てくださいとしか言えない良作であった。





さて、この機会に。
映画は映画館で観るのが一番とは承知しております。けれども最近、中国作品は上映を待ちきれずに本国プラットフォームの配信で観る機会が多くなりました。中国作品だけではなく他の海外作品も映画館で上映されるのは諸外国に比べてかなーり遅い印象が否めません。
本作も映画館優先の態勢で待ち受けましたが、結局配信に流れてしまった今回。(一応ホームシアターの設備を整えてるので、ある程度遜色なく鑑賞できることもありますが)

配信で先に情報が流れてしまえば作品そのものの価値にまで影響が及んでしまいますよね。

今年公開された推しの映画3作品も他のアジア諸国ではとっくのとうに上映されているにも関わらず、日本だけが現時点で3作とも未公開。
何故こんなに遅いのか。公開作品が少ないのか。色々なハードルがあるのは分かりますが、配信への流れは変えられないからこそ、このままでは本当にマズいのでは?と思う今日この頃です。

もっとスムーズに海外作品が公開されることを祈りつつ。
今回もお読みいただきありがとうございました!



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