『谢谢你温暖我』 中国ドラマ 鑑賞記録
医療系や病気がテーマの作品は不得意分野でして、日ごろ殆ど観ることはないのですが、本作は『脱轨』以来とってもお気に入りの 林一が主演。意を決して視聴しました。
同時期に配信された同じ 林一主演のラブコメ『别对我动心』とパラ視聴で中和させる計画だったのですが、想像以上にシリアスで壮絶。途中時点でもう泣き過ぎて涙枯れそうになったため、最後までイッキミに作戦変更。どうにか完走しました。
とはいえ、よい作品なのは確かだと思います。
作品の性質上ネタバレありますが、ご興味あったら…
いい子たちなのが余計に辛い
主人公は 林一 演じる心優しい家具のデザイナー 林拓と、李兰迪演じる 安知雀。二人は面接で出会って一気に恋に落ちる。
ソウルメイトともいえそうなほど息ぴったり、最初からラブラブなのであるが、それが後の境遇の前触れにしか感じられず却ってツラい。
登場するのは彼らの家族、林拓の祖父に任洛敏、 両親、父は刘钧、弟 林鹿、安知雀の父 姜超、友人の 陈光普に 孙天宇、 何欣笛に 李欣燃、会社の上司 魏海洋を 夏铭浩、学长に 王宥钧、他。
林拓は晴れて正社員となり、デザインした家具が大手で製品化。大きなバナーと共に大手家具店で販売が始まる。
実家では弟が大学受験なのだが、両親(父は医師、母は看護師)の意向であある医大への進学を拒否している。独自の価値観を子供に押し付ける父や、鬼上司に苦労するなど、問題はあるが概ね幸せだ。
そんな中で、病魔は静かに忍び寄っている。サッカーの最中に足をくじく。持っていた書類を落としてしまう。異変が続き体調に疑念を持った 林拓は一人で病院に行く。
数々の検査の末に怖ろしい宣告をされる。治療法がなく不治の病とされる ALS。呆然とする 林拓が見ていられない…(泣)
その後もひたひたと病状は進行していくが、彼は周囲に心配を掛けまいとたった一人で耐える。特に 知雀には思いやりがあり過ぎて、知れば彼女はきっと自分を見捨てない選択をし辛い生活に巻き込んでしまう、もし万一別れたとしてもこれから先ずっとそれを後悔し続けるだろう、と熟慮を重ねた末に、一方的に別れを告げる決断をするのだった。
片や彼女は彼女で突然の別れの理由が分らず、悲嘆に暮れるばかりで到底受け入れられない…
家族、友人、周囲の支え
林拓が主体的に告げたのは元鬼上司と母親だけ。上司は元々、彼の実力を高く買っているが故に厳しくしていただけなので、以降良き理解者となっていく。
その後、病は刻々と悪化していき、徐々に周囲も知るところとなる。
心温かい周囲の人々が病名を知る場面は涙なしには観られない。一つひとつ丁寧に描写されるシーンは号泣の連続なのである。
親友の 陈光普は、林拓が既に手に力が入らずペットボトルの蓋を開けられないことに気づいて、こっそり冷蔵庫のボトルを全部開けておく。
あれほど厳しく頑なだった父親、そして母親のショックは想像するに余りある。一旦音楽系の大学に入った弟は、後に医大を目指す選択をする。
密かに 知雀のことを好きだった先輩の 学长も、二人を支える側に回る。
そして遂に知る 知雀。案の定、別れるという選択肢はあり得ない。しかし彼女の父親は自分が妻を看取った経験上、娘を想って反対する。
この一連でいち視聴者として二重に見るに忍びないのは、彼らが知った時の反応がまずは「怒り」であることだ。気持ちはもちろん分かる。が「何故今まで黙っていた?!」と責められる 林拓の心の内を想うと、辛さも倍増である。一人で抱え込んでいた病気だけでも辛いというのに…
病状の悪化で遂に自宅療養を諦め施設に入る 林拓だったが、最後まで告げずにいた大好きな祖父が突然あの世へ旅立つ。それらをキッカケに抑うつ状態に陥ってしまい、絶望のどん底へと落ちていくのだった…
希望へ
一旦知った後の周囲の人々は全力で 林拓を支え始める。
同病の患者との交流や周囲の温かさの中で、次第に生きる気力を取り戻していく 林拓。自らの命ある内にできることを見つけ出した彼は、同じ病に苦しむ人達の支援組織を創設する。
両親は病院を辞め、機関の運営に回る。知雀も基金や啓蒙活動など、本人と一緒に邁進する。友人もカフェの運営の傍ら募金活動で協力を惜しまない。
いつしか恋愛関係となった友人の 光普と 欣笛は、結婚や妊娠という明るい話題を提供していく。ウェットになりがちな物語を彼らの持ち味でカラっと爽やかに転換してくれた。
上司や 学长も、会社で患者用の家具の開発を始める。
終盤、母校の記念式典でスピーチをする 林拓。それまでの軌跡と感謝を語る結びの言葉は「君と出会えたことが人生最高の幸運だったよ」
傍らで見守る 知雀を見つめて発せられるこの台詞は、普段ならありきたりと一蹴してしまうところ。だが本作の場合はここで、大・号・泣であった…
ラストは2年後。明るく外出から帰宅した知雀。本人の希望「永遠に一緒にいたい」の通り、自宅で静かに寝ている彼の背景には明るい光が満ちていた。
本作は登場人物が少ないが、その分、少なく絞り込まれたエピソードによって各々の心情が無駄なく丁寧に掬い取られていく。
また 林拓の善良で明るいキャラクターが役者本人とリンクして、絶妙な調和を見せていた気がする。もちろん演技も確かであり、告知を聞く苦悩や絶望のシーンなど、涙を搾り取られる圧巻の演技だった。
撮影時23歳という若さでこの難しい役に誠実な姿勢で取り組み、見事に演じ切った林一に拍手を送りたい。この役によって俳優としての経験値は格段に上がったに違いない。
本人の微博によれば
この物語は簡単に定義できないし、さらにいえばどんな人の人生の結末も安易に結論できるものではない。でももしキーワードを挙げるなら、それは 「love」である、と。
まったくその通りだと思った。
包み込むような温かい家族愛、友情、恋愛だけではなく、病気に対する理解を啓く社会的なメッセージも込められ、難病という非常に重い主題の中にしっかり愛と希望が描かれた良作であった。
今年早くも3作目(最終話配信ベース)の林くん。抜群のスタイルに見惚れさせてもらえるだけじゃなく、お芝居が上手くてどの役柄もリアル、ドラマ世界に没頭させてくれます。
今後の作品も、とても楽しみ!!
今回も拙い感想にお付き合いいただき、ありがとうございましたー。