『雲の上の売店』 云边有个小卖部 中国映画 鑑賞記録
2024年10月29日 2024東京・中国映画週間 閉幕式&第9回ゴールドクレイン賞授賞式にて鑑賞。観客賞を受賞し、授賞式後の上映でした。
予備知識ゼロでしたが、クロージングに選ばれるくらいの映画だし、好きな 周也が出てるし面白そう、と期待大!
さて、どんな作品だったのでしょうか…
長閑な山間の小村
タイトルのイメージ通り、童話のように長閑な景色の中で物語られるヒーリング映画。
ポン・ユーチャン 彭昱畅 演じる 刘十三は都会で働いていたが、ノルマに追われる仕事に疲れ果てている。ある時寝ている間にいきなり列車が到着し…
気付けば祖母 王莺莺の営む山間の売店にいた。
祖母を演じるのは 艾丽娅 アイ・リーヤー。そこへ 周也 ジョウ・イエ演じる謎の少女 程霜が加わり、家族のように生活することになる。
十三は長閑な自然と、完璧ではないが思いやり深い人々とのつながりの中で、次第に癒されていくが…
個性的な村の人たちとの関係性に、程霜の抱える謎が絡み合いながら、おとぎ話に迷い込んだような不思議なふわふわした感覚が続く。
程霜を演じる 周也の溌剌とした透明感が光り、十三と共に観ているこちらもほのぼのと温かい気持ちで満たされる。
登場人物
祖母にも実は抱えている秘密がある。この元気で頼り甲斐あるこの人の存在がこの映画の魅力を象徴していたと思う。明るくてサバサバしていて、彼女1人だけでも 十三の悩みは吹き飛びそうな、勢いのある女性だ。
そしてもう1人、謎少女の 程霜もとてもかわいく、無邪気ないい子。
観てるこちらとしては、素敵な女性2人に側で気遣ってもらえる 十三は、もう悩んでる場合じゃないとも思えてくる。
そうなのだ。十三は、都会の喧騒や殺伐とした人間関係の中で疲れきった観客を代表する1人として、映画の中で生きているともいえるのだった。
村の人たちの中で、個性ではインパクトがピカイチといってもいい 林家川 演じる 王勇。彼は精神が錯乱している。そうなった理由は切なくて、今の彼は一粒種の娘 王求求(陈贤恩 演)の学費のことで頭が一杯だ。
演じる林家川は他作品では街の悪者的な役処が多いけれど、ここではある意味善良な役がハマっていて、本作への味わいに大きく貢献していたと思う。いろいろと面白い?シーンがあるのでぜひ観てほしい。
もう一組、わたしがとても好きだったのは足もみ店を営む姉と街のゴロツキの弟のエピソードだ。弟をダレン・ワン 王大陆が演じている。こちらも切ないが、じわっとしたぬくもりを感じられるいいお話。
また、この映画の特徴としてカメオ出演がめっちゃ多い。
「えぇっ?!今の〇〇だった??」というような役者さんがぞろぞろ出てくる。
多くは秘密にしておくが、1つだけネタバレ。わたしが今秋の映画祭期間に主演作2本を観た リウ・ハオラン 刘昊然もチラっと登場するのでお楽しみに!
十三は無事に街に戻れるのか…
程霜や祖母はどうなるのか…
登場する人々はみんな悩みを抱えていたり、一定の基準からは弾かれてしまう問題はあっても、根底はそれぞれ善良だ。
秘密を抱える祖母、脚もみ店の姉妹、精神を病んだ父と子、目頭が熱くなる場面が随所に満載だった。
広々とした、樹や草の匂いがしそうな空気の中で繰り広げられる人々の日常。脚本も兼ねる監督の、社会や人に向ける目の優しさが伝わるような作品。
遠赤外線のように、心がじわじわ温かくなってくるようないい映画だった。
大きな事件は起こらない、かといってネタバレはできなくて、感想は意外に難しかったです。今回は割と短く収まりました 笑
色んな人がチョコっと出てきて楽しいですし、癒されるし、周也が超絶かわいいので上陸や配信の機会があったらご覧になってはいかがでしょうか。
今秋の映画祭関連記事はあと2つの予定。
またお時間があったら遊びにきてくださいね!