『玫瑰的故事』 中国ドラマ 鑑賞記録 2/2
前回に引き続き『玫瑰的故事』の後半について書こうと思います。
前半はこちら
視聴した方の評判がとてもよいドラマです。お時間あったらお付き合い下さいね。
※ ネタバレありです。視聴前の方はご留意ください。
第3の男
玫瑰(黄亦玫 刘亦菲 演)がただ一人結婚した相手であり、子も設けた 方协文(林更新 演)だったが、離婚という結末を迎えてしまう。そもそも最初の出会い時点でまだかなり失恋の痛手を引きずっていたので、一見優しく穏やかな 方协文になびいてしまったのも分からなくはない。ただ傍から見れば、両親や兄も危惧していたように元々相性はよくなかったのだろう。
子供を連れて北京に戻った 玫瑰は、かつての上司 姜雪琼(朱珠 演)が新設するギャラリーを共同経営することになる。独身の頃の美しく生き生きとした自身を取り戻した 玫瑰が眩しい。
そこで出会ったのが 傅家明(霍建华 演)だ。自由で何物にも縛られない彼とは共通の価値観を有しており、今度こそいい関係を築けそう。子供もとても懐いて、未練がましく付きまとう前夫の嫉妬の材料にもなる。
が、彼には健康不安という重大な問題があるのだった…
目にした限り視聴者の人気はこの3番目の男に集まっていたようなのだが、わたしはどうもこの人との馴れ初めが腑に落ちなかった。客観的に見てとても合う、というのは頭で理解できるのだが、何故彼女がここまで深く恋に落ちたのか、というところが描かれていなかったように思う。なのでこのパートは今一つドラマにノリ切れないもどかしさを感じながら視聴した。
ちょいちょい登場する過去の人々
本作の面白いのは、過去は過去で終わるのではなく、後の人生にも関係性が引き継がれていくことだ。人物も再三に渡り登場し続ける。
最初の結婚破棄に至った 周士辉や、1番目、2番目はずっと、ちょいちょい登場して 玫瑰の周りを付きまといこちらをイライラさせる(笑)
さらには結婚をドタキャンされた彼女や兄の最初の彼女も再登場するのだが、それぞれの人生経験をバネに強く逞しく生きているのが爽快だ。
そして関係は終焉を迎えた男たちも結局は 玫瑰に諭される形で過去に区切りをつけ、前に向かって歩き出していく。
4番目の男
やっと個人的 真打登場である! パイロットの何西、演じるは 林一。
傅家明の最期を看取った 玫瑰。しばらく傷心の内で、仕事と育児に何年かが経過する。ある日飛行機操縦を習うために訪れた先で出会った一回り以上も年下の男。でも年齢を超越できるのが 玫瑰ならではだ。年長者としての経験値と、持ち前の胆力で過去の挫折に悩む 何西を勇気づける。
彼の方は当然ながら彼女に惹かれてゆき、彼女も最初は躊躇気味だったが…
若いながらも大人で、彼女をコントロールしようとしない 何西とはお互い自立していられる関係性として一番合っていたのではないか、と贔屓目ながらも思った。
挫折を克服するべく再チャレンジのために渡米する 何西。空港で見送る場面がとても爽やかだった。
大空を飛ぶ飛行機のパイロットという設定もよかったし、話数は短かったが未来を感じさせるパートは最後の締めくくりとして大変よかった。
彩り豊かな顔ぶれの家族
このドラマの奥行を与えているのはそれぞれの家族であろう。
玫瑰 の両親はもちろんだ。父親を演じるのは古装劇でよくお見掛けする 侯长荣。この両親は本当に理想的で、常に賢明な姿勢を持って 玫瑰を支え続ける。彼らあってこその 玫瑰、そして兄だろう。
また 玫瑰の相手の男たちの家族も個性的。1番目 庄国栋の父親を演じるのは 刘钧。父親役としてよく登場する役者さんで、今回も含蓄ある言葉を次々と繰り出していい味を醸していた。
兄の最初の彼女の父親に 高曙光。この方も古装劇の父役でお馴染みだ。
父親がみんなよいのに対して母親は比較的ダメな人が多かった。その分 玫瑰周りの女性はみな魅力的で、特に上司から転じて親友、さらに兄嫁となる 苏更生(万茜 演)との強い絆はどのシーンでも見応えがあった。
家族ではないが、仕事のパートナーであり恋愛の師匠ともいえる 姜雪琼との関係も素敵だった。
個人的には 玫瑰自身に、というよりも側で見守る友人のような目線で鑑賞した。刘亦菲 は 黄亦玫に成り切ったリアルな演技が見事であった。
元々家庭環境がよく、真っ直ぐな性格でスケールの大きな人物 玫瑰だったが、仕事、恋や結婚、育児など様々な経験を通して少しずつ人生の解を得ていく。生き方そのものがカッコいい。学ぶことは自由を得ることといい、ローラースケート、美術、児童心理学、飛行機操縦と常に違う分野にチャレンジし、人間的に成長していく未来への物語。
とにかく脚本がよく、人物の関係性がきめ細やかに描かれていて、それを造形する役者たちの熱演も素晴らしかった。秀作といってよいと思う。
個人的には4番目(林くん)、そして1番目 庄国栋(彭冠英 演)が好きだったなー!
2回に渡ってこの作品について書きました。
久し振りにヒューマンで正統派なドラマの良作を鑑賞できた気がします。
拙い文章をお読みいただきありがとうございました!