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『清明上河图密码』 中国ドラマ 鑑賞記録
配信前から気になっていて昨年末の解禁でさっそく視聴。2024年最後に完走した作品です。宋代の市井の人々の日常風景や、人物それぞれの心情がしっかり描かれ、家族愛や友情などヒューマンなラインと時にコミカルも加味されたサスペンス展開。諸々バランスが取れてよくまとまったドラマでした。
もう一つの推しポイントは、中国が誇る『清明上河図』という至宝をベースに、そこに描かれている事象がモチーフになったミステリー仕立てという点。
不勉強なわたしは本作を観るまでこの絵のことを知らなかったのですが、視聴後に調べていたらとても興味深くて、ドラマにも愛着が湧きました!
そこで、文末に絵画の背景関連情報を加えておこうと思います(サワリだけですが 笑) 中国の絵画や歴史文化にご興味ある方はそこから先にお読み頂くのもアリかと思います。事実関係を知るとドラマを観る視点も変わるかもしれません。
今回は長くなりそうな予感~(笑)
お時間があったらお付き合いくださいね!
清明上河图密码
放送 / 配信 CCTV8 他 / 优酷、咪咕视频
2024年12月16日
全 26話
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絵画から始まり絵画に戻る物語
二十四節気の一つ、清明(4月上旬)。宋の都 開封の街は賑やかだ。橋脚がなく木組みだけで架かる虹橋の上には人が沢山集まっていて、仲のよい 赵家の5人も楽しそうだ。
その下を、一艘の船がマストを畳んで通り抜けようとするところから物語は始まる。実在の絵画『清明上河図』のクライマックスシーンだ。
そこから4つの案件(梅船案、帽妖案、科考案、樊楼案)が始まっていく。
まずは赵家をご紹介。
赵不尤(张颂文 演)は大理寺所属で御触れを貼る担当の下級官吏だったが、失業する。穏やかだが機転が利いて、抜群の記憶力を持つ。
その妻 温悦(白百何 演)は新しい家を買うために傘屋を営むしっかり者で綺麗な女性だ。
赵不尤 の弟 赵墨儿(张耀 演) メカや科学に強い。科挙を受験したいがハードルは高そう。
妹 赵瓣儿(夏梦 演)は可愛らしくて一見甘えん坊のようだが、自立心があって一風変わった特技?を持つ。その特技を生かしてキャリアをスタート!
フラフラと遊郭に出入りしてばかりで、家庭内での存在感は薄い父 赵离(侯岩松 演) 家族みんなが超絶技能を隠し持っているにも関わらず飄々としている、この人の特技は何?と終盤まで焦らされる。が、やはり凄かった!笑
こんな5人だが、実はまだまだ秘密が…。そのことが和やかだった一家に影を落とし、崩壊寸前に…
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ほか登場人物は、開封府の左軍巡使 顾震(周一围 演)やその随員 万福(林家川)、検視官の 姚禾(郝汉 演)、墨儿 の親友 宋齐愈(郝富申 演)、そしてテーマとなる絵画の作者 张择端(是安 演)などだ。
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一家5人の周辺で次々と事件が起こる。それぞれの正義感や個人的事情が絡みながら解決に関わっていく彼ら。その過程で様々な秘密が浮上するのだが、そのうち一つは「復讐」。これは中国ドラマによくあるパターンだが、本作の場合その中での揺れる心情が丁寧に描かれていく。
お互いを気遣ったり、気遣い過ぎて逆に辛い状況に陥ったり…。疑心暗鬼で判断を誤ったり、信じすぎて間違った選択をしてしまったり…。
そのあたりが本当によく書けた脚本だった。
4つの案件
最初の梅船案は導入部分で、各々を取り巻く状況説明も兼ねている。二つ目の帽妖案は、時代劇ミステリーにはよく登場する妖魔がテーマ。科学が発達していなかった時代には世の中不思議がいっぱいだったはず! 最後の樊楼案はあまり好みではなかったが、一つ前の科考案はお気に入り演員 张天阳がちょい役で登場する科挙を背景とした事件。今も昔も、古今東西、受験には不正が付きものなのだなぁ。身分、貧富の差、持てるものと持たざる者を公平に判断して世をより良きものにしていこうという試験なのに、その裏にも闇は存在しているのだ。
この単元が好きなのは墨儿と宋齐愈の美しい友情が描かれるという点もある。切なくも殊更に印象深い場面が多かった。
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大団円
迎える終盤に満を持して頭角を現すお父さん(笑)いい味出してたなぁ。
紆余曲折を経て赵家の絆はますます強固なものになり、ますます明るくパワーアップ!!
超絶ハートウォーミングな家族には人数も増えていきそうで。
…が?
…え?
…???
このドラマ、総じて男たちの武力値が低い。その代わり心優しく誠実で、何としても守るべきものを守るという意志の強さに泣かされた。
その分女たちが、強い! いろんな意味で、強い! 天晴れとしか言いようがない(笑) そういう女性は好きだけれど!
その他特に好きだったのは、万福。いい具合にハズした演技が最高な 林家川だった。
絵から飛び出した人々が絵に回帰していく、という整った脚本も好みだった。
毎話最後のエンドロールの前に宋代の小ネタが挟まれるという趣向も興味深く楽しかった。これも本作が好きな、大きなポイント。
とにかく面白いのであとは観てのお楽しみ、というところで。
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『清明上河図』についてざっくり
さて、冒頭にも書いたが、中国が世界に誇る至宝。
北宋の都 開封(現在の河南省開封市)の光景を描いたものでm作者は張択端という北宋の宮廷画家。全長約5メートル、縦24センチの巻物のなかに登場する人物は773人もいるらしい(異説あり)! ビックリ!
そしてナントこの絵画、日本に来ていた!
2012年1月、23日間だけ東京国立博物館で展示されたとのこと。国外に持ち出されたのは初めてで、その後どこかで展示されたという記載は見当たらないので、現時点では東京が唯一の国外展示の可能性。
日中国交正常化40周年の記念だったそうだ。
詳しくは以下のサイトとアカウントを参照されたく。
これらを読み本作の背景を知ったら、わたしはもう一度観直してみたくなった。
上陸する気はしている(根拠はナシw)ので、ご興味あればその時にぜひ!
というわけで、本年最初の記事を書きました。
本年も拙い文章を連ねますがどうかご贔屓に~!
よろしくお願いいたします。