『阿麦从军』 中国ドラマ 鑑賞記録
事前情報はゲットしていなかったのですが、面白そうな香りに釣られて視聴しました。
キャストも凄く名のある人はいなくて地味目ながら、筋書きはシンプル。適度にコメディー要素も盛り込まれ、序盤は快調に飛ばしました。
中盤には男主そこのけに存在感を発揮する男2も現れ…
が、同時にそのあたりから脚本が徐々に乱れ始めた感がありました。
全体的にはとても楽しかったのだが、個人的に一言でいえばとても「惜しい!!」ドラマでした。
面白くなるところを外してしまった感があり…
今回はそのあたりを書いていこうと思います。
多分ネタバレするので、未視聴の方とこの作品に思い入れのある方はスルーされた方がよいかもしれません。
ではよろしくお願いします。
あらまし
主人公 阿麦(张天爱 演)は盛国公の娘だったが義兄に一家を惨殺されてしまい孤児となる。その義兄は 陈起(孙绍龙 演)といい、今は北漠の将軍となっている。
タイトルの通り、復讐を誓った阿麦が従軍し、そこでの人々との義や友情、恋愛が描かれていく。
张昊唯 演じる 商易之は、父 定南侯と母 長公女(杨童舒 演)に育てられたが実は義子。現皇帝の兄弟の子(甥)であり、長公女は叔母にあたる。この現皇帝 齐景(尹铸胜 演)は太子であった兄から皇位を略奪しており、そうでなければ 商易之は正当な皇位継承者。なので 現皇帝から常に命を狙われる立場だ。
その二つの軸が絡み合いながら物語は進んでいく。
他の登場人物は、従軍した 阿麦と義兄弟の契りを結ぶ 唐绍义(高戈 演)ら軍の兵士たち、北漠のもう一人の将軍 常钰青(王瑞昌 演)等。
一体どこがいけなかったのか…
原作小説があるので、元はそれなりに整ったプロットだろう。それを映像化にあたり脚本に落とす段階で、おそらく主軸の置き所を間違えてしまったのかもしれない、と思う。
【その1 復讐面】
まず謎なのは、陈起が何故育ての親である定南侯一家を惨殺するという疑問に満ちた行動をとったか。その理由が説得力に欠けていた。
それを解き明かす後半、まずは皇上の言葉の曖昧さ。これがまだ伏線であるということが、こちらに上手く伝わってこなかった。この言葉で回収なのかと思い、肩透かし感があった。
次に、暗躍する林相(王永泉 演)関係。 この三代の皇帝に仕えた重鎮が実はとんでもない悪人で、裏で数々の陰謀を図っていたことが判明する。
彼が 定南侯一家暗殺にも深く関わっていたのだが、説明不足で筋が通らない場面が多かった。
【その2 恋愛面】
阿麦と 商易之の恋愛シーンがほぼコント。軍で男性と対等に戦える 阿麦が、軟弱に描かれる 商易之を好きになる、という設定がまず無理筋だ。まるで似合わない。
一方中盤から存在感を発揮し、本作の「カッコいい!!」を全て搔っ攫う 常钰青の方がよほどお似合いだ。白馬に跨り、阿麦の危機には駆けつけ、一途に想いを寄せる 常钰青に観ているこちらもつい 肩入れしてしまう。(ホントにカッコよかったの~~っ!!)
が、物語はそう描かれない。阿麦が 常钰青になびくことはなく…
更には終盤で 商易之は皇位継承することになりキャラ変ともいえる変貌を遂げる。あんなに好きだった阿麦を差し置いて妃を娶り、あろうことか!さっさと子まで設ける始末。
更に更に、北漠の阿麦の仇 陈起と裏取引をして阿麦の唯一無二の義兄弟 唐大哥を生贄にするという暴挙。
この時点で視聴者のこのドラマへの信頼はガタ落ちしたと思う。一体どこに共感して観ればいいのか分からなくなってしまったからだ。
元はよい種だったのに、だんだん幹よりも枝葉が立派になり過ぎてどこに向かって伸びていくのか分からなくなった。そんな感じである。
本作は良くも悪くも阿麦のドラマ。だから彼女の感情の起伏に寄り添った形で描かれていけばよかったのになーと残念な思いだ。多くの場面で阿麦に感情移入しづらかった。
残念チャンピオンな男主
自分の視聴範囲だが 张昊唯 は有能な貴公子など、品よく物静かな役が多かった気がする。がここ最近はコメディー寄りに振れているようで、本作ではもっぱらお笑い担当。中盤までは阿麦とのラブもおちゃらけでムードも何もなく、まるでコントのよう(笑)
お坊ちゃま感溢れるおトボケ振りを発揮して、皇位になぞ興味はないという態度。なのに終盤では朝廷内の力学に巻き込まれ、別人かと思うほどに豹変するのだから観てるこちらは戸惑うばかりだ。
皇帝であるからには、大局を見据え私情に流されてはならないのは分かる。が、結局は阿麦からもそっぽを向かれ、いい所は全部他の役処に持っていかれ(陈起 さえも最後は名誉挽回する)散々なラストであった。
結構好きな俳優さんなので、次は報われる役であってほしい。
よかったところ
も勿論あり。全体的に見ればとても面白いドラマだった。
・ 阿麦が徹頭徹尾、内も外も並の男子よりイケメンだった
・ 腹黒さ極める皇帝役 尹铸胜の怪演
・ 阿麦と唐大哥 の熱い「義」
・ 長公主の慈愛に満ちた母心と、皇帝の血族としての民を想う心
そして特筆したいのは、常钰青&俳優 王瑞昌である。
本作のいいとこぜーんぶ独り占めした感のある 常钰青には終始ホレボレだった。演出もよかったのだろうが、はまり役だったと思う。
わたしは『長歌行』以来だったが、二次元ぽいツルンとしたお顔立ちが程よく冷ややかで、現代劇、古装劇どちらでも個性を発揮できそう。主役級で是非再会したい。
そんな勝手なこと言ったって脚本を書けるわけじゃないのに出来上がったものをあれこれいうのは簡単!というのは承知の上です。 でも視聴者的には、ドラマは、面白くてナンボ。つい、あれこれ言いたくなっちゃうんですよね~(汗)
愛あればそ!ということで、お許しいただければと思います。
次はケナさないようにしたい~ と思いつつも、実はナント! 更に(視聴者的に)ツラい作品が待ち受けていたのでした…(泣
次回はそれについて書くかもしれません。
また遊びに来ていただけたら嬉しいです!