「食べログ、ブラックボックス事件」にみる深く考えない日本人

読売新聞
食べログ計算法は「ブラックボックス」…突然評価下がり客足が急減、憤る飲食店 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
朝日新聞
食べログの独禁法違反認定 口コミ評価点の計算方法めぐり 東京地裁:朝日新聞デジタル (asahi.com)

その他、基本的には、食べログが悪いという方向の記事が多いと思います。なんでもかんでも公開したほうが良いと思う人々が多く、隠していることを悪と捉えるのが正義という風潮は大変危険です。
深く考え状況を理解しましょう。結論からいえば、評価基準はブラックボックスであるほうが世の中うまくまわる確率が高いです。

争点は「ブラックボックスな評価基準」

「ブラック」という言葉をつかっていると悪者なイメージありますよね。ということはさておき、評価基準(アルゴリズムとも言われている)が公開されていない点の「是・非」を熟考しましょう。

評価基準の公開する利点

ルール(=基準)があっての評価だから、客観的な判断でモノゴトの優劣がつく。今回のケースでは、レストランの人気不人気の優劣がつく。(悪い結果も含めて)結果の理由がわかりやすいのが大きな利点です。レストランとしても評価をあげるために対策をたてられます。つまり、レストラン側で評価を直接的に操作可能です。

評価基準を非公開にする利点

レストラン側が評価を直接的に操作できない、これです。

評価基準が公開されている場合、レストランが実際に行う施策はなにか?

仮に、「(匿名を含む)投稿者の平均点で決まる」という評価基準が公開されたとします。さて、どうしますか?(本来そんなシンプルな評価基準はありえませんが)

通常、レストランの評価は、例えば、味だったり、コスパだったり、サービスの質だったりが基準になると思います。では、評価基準対策として、美味しく料理を改善したり、企業努力で安価に提供したり、スタッフ教育でサービス向上したりしますか?
というか、これら、普通に実施していますよね。

では、直接的に何をするのか?特に短期的に考えれば、匿名で山ほど、自分のレストランの高評価を匿名で投稿しますよね。逆に、競合店があるなら、低評価な投稿をするかもしれません。そういった施策で、評点があがって、それは消費者はその評価に納得するのでしょうか?(納得しないですよね)。

これはかなりシンプル例ですが、どんな判断基準であろうとも公開されると、その直接的な対応策を実施するのが自然であり、その結果、評価結果が、本来の意図から乖離してしまうのです。

評価基準公開 → 短絡的な本質では無い対策 → 評価基準の変更(短絡的対策でチートができないようにする)→ その対策 → 再度評価基準の変更。

と、いたちごっこになります。顧客としては、そんないたちごっこにお金も人もつかうのだったら、そのぶん人件費さげて安く提供してよ!とか、おいしさの追求してよ!とか思いますよね。

サーチエンジンオプティマイゼーション(SEO)はまさにコレ

話しはかわりますが、SEOってきいたことあるでしょうか?(ソードアートおインラインではない)。検索エンジンの結果で、上位に表示されるようウェブページ等を最適化することです。検索結果の1ページ目に表示されるのか、2ページ目以降なのか、によってクリックされる率が大幅に変わるので、ウェブサイト運営者は自社サイトが1ページ目に表示されるようにがんばるわけです。これ、今回の食べログ事件に似ていますよね。そして、Googleにしても(Bingを提供している)Microsoftにしても、検索エンジンの評価基準は公開していませんし、より正確な(=検索するひとに求められるべき)順序で表示されるよう日々努力しています。

では、Googleは、検索エンジンの評価基準を公開するべきでしょうか?結果、有益なコンテンツではなく、SEO対策したコンテンツが上位に表示される可能性があがり、検索エンジンの利用者としては不利益を被るのです。
つまりは、検索評価基準の公開=検索エンジン利用者の不利益です。

SEO視点で考えれば、食べログの評価基準の公開は、食べログ利用者にとって不利益につながる

SEO同様、万が一、食べログが評価基準を公開したら、(現状でも、個人的には疑問に思えるケースもある食べログ評価が)より信憑性の無い評価に改悪されるのは間違いないです。それは、たまーにですが、食べログを参考にさせてもらっているいち消費者の立場からすれば、食べログの進むべき方向ではではないと思います。

食べログ側に問題があるとすればコレ

とはいえ、食べログに問題がないわけではありません。レストラン側の要請で掲載拒否できない、これは変更する余地があると思います。レストラン側からの要請が、

否定的なコメントを削除してくれ!(そして好意的なコメントは残してくれ!)

だったら食べログが拒否しても当然だと思います。ただ、食べログは、レストラン全体の削除に関しても認めておらず、削除に関する裁判で、最高裁でで勝訴しています。つまりは、食べログでの評価の公開・非公開をレストラン側で操作は何一つできないとうのが状況です。

食べログは掲載拒否を認めてあげれば良いのに

個人的には、レストラン側が掲載拒否すれば、高評価も含めて全削除すれば良いのでは?とは思います。

レストラン側からすれば、評価は高くない(むしろ低いかもしれない)状態で、食べログに掲載させておくのがよいのか、そもそも掲載されないのが良いのか、の選択を迫られるわけです。普通に考えれば、高評価でなくても食べログ掲載されてないと、選択肢の土俵にもあがらないので、多くのレストランでは掲載拒否はしないのではないかと予想します(逆に、高評価の人気レストランは、掲載拒否しても集客できるので、集客を制限する意味で、あえて掲載拒否するかもしれません)。

追伸、食べログ有料サービスでは評価があがるのか?

食べログは「有料サービス契約が点数に影響することは一切ありません」と表明しています。この真偽はともかく、仮に、有料サービスで点数操作されるなら、その操作は食べログ評価の信憑性に影響しますよね。

例えば、本来2.0の低評価なのに、有料サービス契約されているので高評価な4.5になっていたとすれば、そのレストランに行った人は、食べログの評価を疑い、食べログを信用しなくなり、食べログから離れていくのが普通で、それは、食べログとしては避けなければならないわけです。

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