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俳句チャンネルの「正岡子規」シリーズをまとめてみた
【はじめに】
この記事では、夏井いつき俳句チャンネルで2021年を通じて公開されてきた「◯月の正岡子規」シリーズをまとめるとともに、私(Rx)の書いた記事もご紹介していきます。
【1月の正岡子規】
【俳人列伝】正岡子規について語ります
当初は、「俳人列伝」と題し、毎月、古今東西1人俳人を紹介していく趣旨のコーナーでした。2021年1月に選ばれたのが“松山といえばこの俳人”と、サムネにもある通り、「正岡子規」さんでした。
春や昔 十五万石の城下哉
松山や秋より高き天主閣
全国の教科書に載るレベルの次に有名な句を紹介して、その口誦性の高さを確認したところで、「とても1か月じゃ紹介しきれない!」ということになり、「子規の1年」という新企画がスタートすることとなりました。
【2月の正岡子規】
毎月シリーズとなっての初回となる「2月」。コンセプトとしては、
絶賛発売中の書籍『子規365日』で解説した句を紹介していくことに。
季重なりの句でみなさんの疑問にお答えします
「2月の正岡子規」は、春の始め頃の『季重なりの句』を解説してました。
この動画を受けて、私も(↓)の記事を書きましたが、ただ『季重なり』が悪いと決めつけてしまうのではなく、しっかりと良い句を勉強して季重なりの句の魅力を手繰り寄せられれば良いですよね。
君を待つ蛤鍋や春の雪
馬ほくほく椿をくぐり桃を抜け
『季重なり』だけでなく、この中では「カメラのカット割り」とも言うべき映像の描き方も、子規の句は絶妙だと感じます。
【3月の正岡子規】
上五の「や」について学びましょう
続く3月は、「上五の『や』」特集と題して春らしい句が紹介されました。
これも私が記事を書いていまして、参照しやすいように「プレバト!!」の句も引きながら紹介していますので、ぜひどうぞ(↓)。
故郷やどちらを見ても山笑う
昼過や隣の雛を見に行かん
切れ字「や」について、夏井先生は「プレバト!!」でも、『強調』であり、『カットの切り替え』であると語っています。現代風にいえば「!マーク」の様なイメージだとも良く仰っていますね。
【4月の正岡子規】
一物仕立てについて解説します
2月に「季重なり」、3月に「切れ字『や』」と中級者が壁に当たりやすいテーマを紹介して、『視聴者のためになるように』という夏井組長の優しい心遣いのもと成り立っているこのシリーズ。4月は「一物仕立て」の紹介。
これについては、翌週のグラデーションの句と合わせて記事を書かせてもらいました。(↓)
結局は、子規などの昔の俳人がそうだった様に、「あまり肩肘を張り過ぎずに作る」ことが最大のコツなのだろうと思いました。
季語の情報だけで作ろうと考えすぎると、「何にも出てこな」くなったり、「凡人な発想」に陥ってしまいがちです。純度の高い一物が必要なケースも無いとは言えませんが、基本的には慣れるまでは多読・多作で良いのではないかと(自分を励ましているところです)。
【5月の正岡子規】
※(忘れてたので、2022年5月に収録予定)
2021年5月……は、色々な締切などが立て込んでいた関係で、何とうっかり忘れてしまったそうです! この次紹介する「6月の正岡子規」の動画で、2022年5月にやると明言されていますので、それを楽しみに待ちましょう。
【6月の正岡子規】
子規の句から季重なりを学びましょう
「6月の正岡子規」は、2月に続き『季重なり』がテーマ。今回は、正直、やや難しかったのですが、「クイズ」形式となっています。
私が解る限り食らいついて、エッセンスを書き残した記事もありますので、こちらもぜひご参照下さい(↓)。
季重なりの自作句について、子規は、“答え”とも言うべきもの(何かしらの季語で分類をしている)を残しているので、それがどちらか皆さんと考えていくという企画です。 内容は上級者向けですけど、正解・不正解そのものよりも、どちらが主役かを考えることの方が重要だと信じてご覧下さいww
【7月の正岡子規】
一句の中に同じ単語や漢字を二回使っている子規の句を紹介します
また、やり忘れそうになってたというww 「7月の正岡子規」シリーズ。事実、この動画が公開されたのは2021年8月5日でしたww
テーマは、『一句の中に同じ単語や漢字が使われている』句ということで、作句のバリエーションを広げてくれそうな素晴らしい動画です。私も、例によって「プレバト!!」の句を引いた記事を書いていますので、ぜひどうぞ。
田から田へうれしさうなる水の音
瓜くれて瓜盗まれし話かな
意図して2つ以上重ねて使っている場合、それがピタッとハマると「17音」の器の中で互いに呼応して想像以上の相乗効果をもたらすことがありますので、ぜひ挑戦してみてください!
【8月の正岡子規】
8月の暑さを子規はどう表現したのか
俳句歳時記的には、上旬に「立秋」が来て、晩夏から初秋が来てしまう8月は、俳句を作るにしてもまだまだ熱い盛り。ということで、こんなテーマ。
調べてみると、1893年(明治26年)は、現代でも凌ぐのが辛そうな程の暑さが続き、現・平年値をも上回る「平均最高気温33℃台後半」でした。
1か月間で34℃を下回った日が2日しかないという暑さは、冷房にすっかり慣れてしまった現代人には、とても耐えられないものでしょう。
そこで私は、8月(およそ立秋)以降でも使えるような「新たな秋の暑さの季語」を幾つか発案していますので、(↑)の記事も興味があればぜひ。
【9月の正岡子規】
三大切れ字「けり」を知って発想のきっかけを作りましょう
「切れ字」について紹介するのは、3月の「や」に続く2つ目となります。
「9月の正岡子規」のテーマは「切れ字『けり』」です。
家藤さんの仰る様に、初級者が「三大切れ字」と認識する「や」・「かな」・「けり」のうち、最も使用頻度が少なそうなのが「けり」でしょう。私も恐らく殆ど満足に使えたためしがないと思います。
理由は明快で、「どういう効果があるのかが分からない」から。ただ、この動画を見れば、少し具体的に見えてくると思いますので、特に中級者以上は必見の内容となっています!
【10月の正岡子規】
【こぼれ話】病床で子規が見たかったものとは…?
続いて、10月の始めに「子規こぼれ話」というシリーズがスタートします。
正岡子規の「俳句」だけでなく、その人となりを知っていこうという企画。初回は「病床で見たかったもの」をテーマに語っています。
漱石は小説に書き、子規は句を作った遊郭とは...
「鬼滅の刃 遊郭編」の放送を控えている事を意識したのかは分かりませんがww 「10月の正岡子規」は、夏目漱石と遊郭へ吟行った時の話しです。
言ってしまえば、よっぽど保守的でもなければ、俳句に読み込む題材は俗なものでも一向に構いません。(小学生以下に見せるのが適当かの議論は若干あるのかも知れませんが、そこは置いておいて。)
むしろ重要になってくるのは、有季定型であれば「季感」だったり、或いは「詩心」であったりではないかと思います。
【11月の正岡子規】
色彩をうまく使った子規の句を紹介します!
「11月までやってきたら、色んな切り口、使い果たした感があって……」と本音を吐露する夏井組長。11月のテーマは確かに切り口変わって色彩です。
鶏頭の黒きにそそぐ時雨かな
黒キマデニ紫深キ葡萄カナ
「色彩を特徴的に使っている句」として見た時に、同じ「黒」でもその色味が若干違ってくる。それをカラー写真の無い頃に、人々の脳内に的確に再現させる描写力。これに感銘を受ける回でした。
ちなみに、感銘を受けた結果、私も「プレバト!!」俳句を引いて『俳句 de パレット』という記事を書かせてもらったのですが、皆様からかなりのご好評を頂きまして、この場を借りて感謝します。(まだの方はぜひ!(↓))
【こぼれ話】組長が嫉妬する子規の句がこちらです
11月のこぼれ話は、ここまでの様に「テーマで括ることが難しい」けども、お気に入りなので紹介したいという6句が取り上げられました。
その中でも、組長が嫉妬するほど特にお気に入りだというのが、
片側は海はつとして寒さ哉
という句です。まず「片側は海」とするだけで、自分の右側か左側か分かりませんが、腕のある方向に「海」があることを脳が追体験します。そして、「はっとして」と感覚に訴えかけた上で、何が来るかと下五まで読み進めると「寒さ哉」という季語が出てくる。
この句、音読して凄さに気付かされました。追体験できる句、良いですね。
【12月の正岡子規】
子規シリーズ最終回!? 1月から始まったシリーズがついに...
12か月目(5月を忘れていたのは一旦置いておく)の「子規シリーズ」は、先月の「こぼれ話」と同様、特定のテーマを決めずに気に入った俳句を紹介するという形になりました。
【子規シリーズおまけ回】子規から俳句の教訓を学ぼう!
そして、2021年の最後の動画(小晦日=2021年12月30日)では、おまけ回と題して『年末』らしい俳句が紹介されました。
来年はよき句つくらんとぞ思ふ
・夏井組長も毎年、年末に思い浮かべる句だそう。「普通こんなん作らん(句帳に残さん)」句を書いているところが興味深い年の暮財布の底を叩きけり
・「類想っちゃあ類想」ながら、子規さんは類想を全然(清々しいほど)気にしない。1句1句できたことを楽しみながら書き残していた。
・むしろ「自己否定」に陥らず、分析はしても「自己否定」はしない方が良い。そこは子規さんを見習おう
などと、年の瀬らしい句たちで「子規シリーズ」を締めくくっていました。ぜひ、私の記事を、「正岡子規シリーズ」を振り返る際のご参考になさってくださいねー