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村上健志の俳句実況(2022/01/22)《+ Rx自作20句》

【はじめに】
この記事では、2022年1月22日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返りつつ、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。

過去の「俳句実況(生配信)」については、上のマガジンからどうぞ。

0.オープニング

『特に、喋ることも(ないですが)』と言いかけて思い出し、手に取ったのが、夏井いつき先生の『句集 伊月集 鶴』でした。

かなり広い範囲の書店で取り扱っているかと思います。個人の句集がここまで店頭に並ぶのは、夏井先生のパワーあってこそかも知れません。

夏井先生の好きな句を聞かれた村上さん、「プレバト!!」で関わる前のエピソードを語ってくださいまして、2015年の初秋に放送されたNHK松山制作のドラマ「恋と俳句とデメキンと」に出演時に知った俳句がこちらだそう。

『たとえば愛は白桃におく指の痕』

夏井いつき

夏井組長のブログにも記事になってますが、「プレバト!!」で知り合う前年に2人はドラマで共演していました。 村上さんが恋愛経験ゼロのしがないサラリーマン役、そして夏井先生が「出目金」役を演じられたそうですww

まだ俳句に出会う前の村上さんでしたが、上に書いた夏井先生の句は心に残っていたようで、翌年からは今の「プレバト!!」での快進撃に繋がります。こういう話題が聞けるのも俳句実況ならではですねー

そして、句集を読む楽しさについて語る村上さん。沢山の俳句があるから、分からない句は飛ばして読んでも良いと思う。好きな作品を見つけることが醍醐味……などと話していると、

というコメントが来て一瞬驚く村上さん。『勿論(引用の範疇内であれば)OKです』と快諾されました。

1.席題「調味料」

1つ目の席題は、『調味料』と決まりました。村上さんも振り返っておられましたが、月百句のときに『七味』で作ったことがありましたっけね。

今回はもう少し広いテーマとなったこともあって、調味料そのものだけでなく、調味料の置かれている場所(店)や場面設定のコメントも寄せられていました。

料理づくりの最中のアイディアも多く寄せられる中で、村上さんに刺さったのが「酢醤油」というコメントでした。そして出来たのが、

① 話しつつ酢正油作る春隣/村上健志

個人的に一番最初に気になった(?)のが、「正油」という表記です。時折みかける表記ですが、普通変換すると「醤油」と書かれます。意図は分かりませんが、ここに小さなこだわりみたいなものがあって想像も楽しいです。

そして、句そのものの内容については、チャット欄で書いたとおりです。

考察については、​かむろ坂喜奈子さんからもお褒めの言葉を頂き嬉しかったです。自身の「note」に多くの作品が発表されてますので、ぜひご一読を。

《 Rx自作句・調味料10句 》

  1. 教室を冬晴れ料理のさしすせそ

  2. 料理せぬ夫の小言や寒落暉らっき

  3. 『せうゆ』と書く理由調べる夏休み

  4. 雪の宿ミルに力を込める君

  5. 目分量の合わぬ二人や雪なだれ

そして、「時間あったら、『さしすせそ』それぞれで1句作りたい」などと口走ってしまったので、自分に稽古を課しましょう。

  1. (さ)角砂糖みたいな新入りと雪と

  2. (し)鰤起し塩釜焼きの作り方

  3. (す)お酢の味の給食きらい冬茜

  4. (せ)配給の醤油や苦き春の雪

  5. (そ)泣き疲れて味噌の粘度や今朝の雪

「良いかも、調味料、俳句やったことない人でも作りやすいかも。」と村上さんも仰っていましたが、同意です。皆さんもぜひチャレンジしてみてね!

2.席題「ピアノ(楽器)」

続いても、村上さんが得意そうな席題「ピアノ」となりました。楽器よりも焦点を絞った方が作りやすくなるケースもありそうですもんね。

・調律
・楽譜
・メトロノーム
・都庁ピアノ
・ピアニスト
・アップライトピアノ
・ピアノの椅子

などアイディアはかなり多く出てきました。そんな中でも、チャット欄にあったエピソードから『ピアノ弾ける同士だから別のクラスになっちゃう』というネタを思いついたのですが、俳句に盛ろうとしたらどう考えても余ってしまってしまいました。

そうこうしてるうちに村上さんの2句目が完成します。

② ピアノの音遠くなりゆき風冴ゆる/村上健志

これ、めちゃくちゃ凄くて、

  1. 「実景」みたいなもの(映像となるもの)がほぼ無いのに成立してるし、

  2. 視覚よりも聴覚や皮膚感覚にフォーカスした作品ですし、

  3. 実質的には「ピアノの音」という“虚”なものの一物仕立て的な作品

だと感じました。もちろん推敲の余地はあるのでしょうがこの遠近感を即吟で描ける感性、感覚に驚かされますね。

《 Rx自作・ピアノ5句 》

  1. 底冷えのおもちゃピアノの赤さかな

  2. 冬の星ピアニッシモな恋だから

  3. ピアノ処分に反対なき夜 雪しぐれ

  4. 地吹雪の止むまで講堂のピアノ

  5. ピアニストの爪は短し斑雪はだれゆき

3.席題「黒」

『月百句』から開放されて、席題3つが定番になっている2022年1月の俳句実況。今日最後となる3つ目の席題は「黒」となりました。

図らずも、黒セーターを着ている村上さんですが、あまりにも広すぎて暗黒の思考の沼にハマってしまう形となってしまいます。村上さん、雑談の中で季語は入りませんでしたが、

『合コンに黒セーターの同級生』

村上健志

という、無季俳句かそうでないかの中間点のような作品も飛び出しますが、なかなかこれという作品が出来ません。
※実はニットとかではなく「セーター」なのがこの作品のポイントなのかも知れないなと再読して感じました。女性でも男性でも何か色めき立つものが心の中に去来していることがうかがえますね。

③黒い家具多き真冬のワンルーム/村上健志

この最後の句も村上さんらしさが出た若々しい感性の句だと感じました。

特に初めての一人暮らしで、上京したか大学1年生か新社会人か分かりませんが、家具なんかに一つこだわりをもって揃えようとした時に「黒い家具」は何か誰もが通りそうな道と感じてしまいました。

中国の陰陽五行説に従えば『玄冬』で黒と冬の相性は良いですし、雪などの白色とはモノトーンの対比になっています。

また俳句的な視点でいえば、新生活などと呼応する場合、季節は『真冬』よりも『仲春』あたりになろうかと思いますので、敢えて『真冬』を選んだと捉えれば、そこに一つの新たなドラマが浮かんできそうだとも感じました。

《 Rx自作・黒5句 》

  1. また今日も黒い服着てデート、冬

  2. 黒とつくハンネの女子と逢う寒夜

  3. あわ雪や喪服の黒を買ひ定む

  4. 霜日和 君のほくろの色素美し

  5. 黒革のソファーにこっそり座る冬

以上今回は3つのテーマで20句ほど作ってみました。比較的とっつきやすい席題が多かった印象。皆さんも1句でも出来たら、ぜひnoteのコメント欄か次の俳句実況(YouTube)で披露してみてくださいな!

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