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『バカのものさし』
養老孟司(著)
この本を読むことになったきっかけは、前回ご紹介した『情報環世界』の中に、養老先生の本の一説が紹介されていたことです。
“音楽が「陶酔する」ものであることは、誰でも知っていよう。それに「運動」すなわち舞踊が伴えば、なおさらのことである。”『カミとヒトの解剖学』
ダンスやアートや音楽や空間などなど気になっていることがあって、答えが近くにありそうだと思い、一番最新っぽい作品を読ませていただきました。
毎度読書感想文の冒頭におすすめしたい人を載せているのですが、ちょっと今回は難しいですね。うーん。強いて言えば、これから子育てなどをされる方にはよい情報が豊富かもしれません。でもノウハウ本ではないんです。
養老孟司さんへ主に9歳~17歳くらいの学生が様々な質問をするのに対しての答えをまとめたものです。
バカと優秀の定義
5つの章に分けてあるのですが、話しているのは大きく2つのテーマです。
まず一つ目がバカと優秀について。
子どもたちからの質問の多くは、両親からこうしたら「バカになる」と言われたけれども本当ですか?という類です。(バカは治るのか、たくさん寝ないといけないのか、我慢しなくてはいけないのか、等)
脳には大きく違いはないそうです。
それもこんなに「バカ」を多用する養老さんですが、それは定義によるとしています。たしかにものさしによって優秀ってそれぞれですよね。
脳を鍛える
ただし脳の働きや学びについては詳しく記載しています。脳の働きは、入力(5感の知覚)と出力(運動)の繰り返しのループ。ループをすることによって脳には無意識的にルールみたいなものを覚えており、それを学校で勉強したりなど外から説明されるなどにより、もともと自分の中にあったものが「わかる」のだそうです。 ※説明に自信がありません。
養老さんは「知行合一」とよく言うと書いておりますが、これは「知」と「行」それぞれ別のものを指すのではなく、ひとつなのです。
従って、脳をうまく機能させるためには、インプットとして入力の刺激を増やし、身体を動かす等のアウトプットを行うことが良いそうです。(ただ大人にはもう時すでに遅しかもしれません)
簡単にわかろうとしない
この本で話している大きなテーマの2つ目は、簡単にしないことです。
養老さんは、子どもにも容赦なく、大人同様難しめの話を当然のようにします。わかるでしょ?と書いていても、私にもわからないことがたくさんです。質問が変だ。それは大人が悪い。たくさん書いてあります。
ただ私自身気になっていたこととして、複雑なものを簡単にしようとしないとことだったり、簡単にわかろうとしないことについて、最近よく考えていたので、それによって脳も変化していることなどもわかり勉強になりました。
メディアやSNSでも、これをやったらお金持ちになれる!内定が取れる!みたいなもの、すごく多いじゃないですか。でもそれをそのままやったとしても、成功できるのは一握りなんですよ。
簡単にわかろうとしない。これってすごく簡単そうに見えて、現代では難しいのかもしれませんね。
養老さんは、都会の生活を大きな理由として挙げておりましたが、たしかに畑で農作業とかやると、自分の思い通りにはならない複雑さだったり、肉体労働の大変で気持ち良い感覚は、良い経験だよなぁとも思ったり。
人間の気持ちだったり、人間関係だったり、成功だったり、善と悪だったり、そんなものは簡単にはわからない。それでいいのかもしれません。
人間関係多すぎ問題
最後に、この本では最近の若者を作ってしまった理由に養老さんが大変怒り心頭なのですが、人間関係が多すぎるという問題についてはたしかに思うところが多いです。
都会は、インターネットも含め、人がいすぎることと、コミュニケーションが多すぎて、おかしくなるとのこと。たしかに、東京で働いていて、息抜きという旅行だったり田舎暮らしって傾向として多いですよね。人間だけが世界じゃない。最近すごく考えさせられる。
本当に、さいごに
分かり合えることを求めすぎず、人間関係もほどほどに、自然で身体をうごかすこと、それが脳には良さそうです。
ダンスのやるやる詐欺に今年はならないように今週からレッスンにいき、今月温泉旅行でも行こうかな。脳のためですよ。
(養老先生にこの変な日本語読まれたら怒られそうだな。ごめんなさい)