PIECE OF CAKEの日本語訳はお茶の子さいさい
ある晴れた日にふと「'PIECE OF CAKE'のもっとも適した日本語訳は"お茶の子さいさい"ではないか?」というアイディアが電撃的に脳裏をよぎった。
「PIECE OF CAKE」というのは英語圏で広く使われる英語の慣用句で、ケーキ一切れ程度は容易に食べきれることから、要求された仕事などが容易い場合に「そんなの簡単さ」というような意味で使うそうだ。言葉自体は英語豆知識として知ってはいたものの、特に縁もなく口にしたこともなかった。
映画とかでハッカーがエンターキーを力強く叩いて「ビンゴォ!」などと口にする代わりに「It’s a piece of cake!!!」と叫ぶのだろうか。(※実際のネイティブの方はもう少し普段使いしてるような気もします)
一方、「お茶の子さいさい」も簡単なことを指す日本古来の慣用句だ。しかし誰かが口に出して言っているところを聞いたことがない。
使ってみた。
使ってはみたが、だいぶ違和感のある日本語である。こいつの語彙力はどうなってんだ。果たして現代日本で「お茶の子さいさい」を口にするケースがあるだろうか。
そもそも、どこで区切る言葉なのか。字面から「お茶の子/さいさい」か。お茶の子とは、さいさいとは何なのか? 語感的にサイサイはお茶摘みの動作を思わせる感もある。おそらく、お茶の葉っぱを簡単にサイサイと摘んでいく茶摘み女たちの姿から生まれた言葉であろう。そうに違いない。
調べる気も皆無だったが、ここまで書いた以上調べる義務があるような気もしてくるので調べてみた。
以下、weblio辞書より引用する。
驚いたことに、茶摘みとはミリほども関係ない言葉である。私の脳内に広がった、静岡の雄大な空の下、茶摘女達が笑顔で茶を摘む牧歌的な光景をどう始末すれば良いのか。下手に「俗謡」という言葉が目に入ったため、彼女たちは私の脳内で「ハァ~サイッサイッ」と軽快なリズムで茶を摘みまくっている。
しかしいつ頃から存在する言葉であろうか。疑問に思い、ざっと調べたところ、浮雲という小説に登場することから、百年前くらいには既に存在していた言葉らしい。
語感のインパクトは「へそで茶を沸かす」並であるものの、古くから存在している語の割に、現実世界ではどの程度市民権を得ているのか曖昧である。もしかすると死語ではないか。
念のためGoogleで検索してみたところ、13万件ほどヒットするので、まだ死語という程ではなく、私には計り知れない用途で今も細々と使われ続けている可能性があるようだ。
なお対抗馬の「朝飯前」は64万件ヒットするのでおよそ5倍に相当し、人口に膾炙しているのは圧倒的に「朝飯前」と言っていい。語感が地味なのが玉に瑕だが、これを読んでいる方は「お茶の子さいさい」を忘れて今後とも必要な場面では「朝飯前」を使っていただければ間違いがないだろう。
それにしても、語感、言葉、示しているのがお菓子であるということといい、考えれば考えるほど「お茶の子さいさい」と「PIECE OF CAKE」はよく似ている。
どうだろうか、英語から日本語への翻訳を手掛けるみなさん。今後出てくる「It’s a piece of cake」を「お茶の子さいさい」に訳してみては? 突然イケメンや美女の口から「お茶の子さいさい」と出てきたらギョッとするだろうが、ちょっとキワモノっぽいキャラのセリフだったらアリではないか。それで死語になりつつある「お茶の子さいさい」も再び日の目を見ようというもの。古き良き日本文化を守る一助となるだろう。
結論も出たところで、もう一度「お茶の子さいさい」という言葉を文面に登場させ、13万件の検索結果に一つ花を添えて結びとする。
最後までお読みいただきありがとうございます! 良かったら、スキ/フォロー/コメントお待ちしてます。あなたにいいことがありますように🍵