「性癖」それはオタクたちの誤用
「私、こういうキャラ、性癖なんだよね」
オタク女性は美麗なイラストを眺め、ほうとため息をつく。
ビーッビーッ!!
お気づきだろうか。
今鳴ったのは私の「性癖センサ」である。そう、冒頭のような誤用を見つけると高らかに鳴り響く。
性癖という言葉は、「性的な嗜好」の意味で使われがちだ。
……ところで話は変わるが、私は中学生の頃、広辞苑をめくり、「せい」から始まる言葉を熱心に眺めていた。
なぜか? 中学生だからとしか言いようがない。それ以上の説明はできない。
で、興奮しながら読み進め、「性癖」のところまできた。
それを見た私はドキドキと胸を高鳴らせる。
きっと性癖というのは、何か変態的な言葉に違いない!
でもそこに書かれていた説明は以下のようなものだ。
いやいやいや。何をおっしゃいますか広辞苑さん。
思春期の私は思った。
隠してるだけで、いやらしい意味が含まれるんだろう。
しかし、3回読んでも性的な意図の説明が一切ない。
「性癖」という言葉は、字面から性的なことを期待しがちだが、実際にはただの癖のことを指すようだ。
まあ、良く考えてみれば、「性格」は「性」から始まるが、別に性的な格付けのことではない。
だから性癖もそのたぐいの言葉ということだろう。
私は、がっかりした。
心底がっかりした。
何か興奮できるような要素が含まれるに違いないと思って読み進めた言葉が、なんら性的な意味を持たないのだ。読み損だ。詐欺である。
ということで、悲しみと共に私の脳の隅々に「性癖」という言葉の正しい意味が刻み込まれたのだ。
しかし。
しかしである。
何だか知らないが、ネットで見かける文章は、「性癖」を性的な意味で使っているではないか!
そんなの許せない。
正しい日本語を使えとか、そういう意味ではない。
私は「性癖」という言葉に興奮を期待して裏切られたのだ。それなのに、一般オタクたちは「性癖」という言葉を性的な意味で乱用し、興奮するというのか。ズルい! ズルい! 私だって広辞苑にエッチなことを書いていてほしかったんだい!
しかし一緒に興奮したくても、「性癖」にエッチな意味がないこと知らない私には戻れないのだ。
「私、鎖骨が性癖なんだよね」と口にしたその瞬間に自分の日本語センサーが発動し、「何意味不明なこと言ってんだ」と思って興が削がれる。
だから、無邪気に「性癖なんだよね」と言える一般オタクたちが妬ましくてしょうがない。だからこれを書いた。
これを見たあなたももう、「性癖」の真の意味を知らない自分には戻れないだろう。そして私と同じように性癖センサを発動し、無邪気なオタクたちにこの記事のURLを送り付けるなど、クソリプを送って性癖の誤用を減らすのだ。人類みな平等にがっかりすればいいのだ。
今日も私の性癖センサは元気に活動している。
最後までお読みいただきありがとうございます! 良かったら、スキ/フォロー/コメントお待ちしてます。あなたにいいことがありますように!
追記:この記事とコメント欄、変態とか性的とか連呼して非常に性的になってしまいました。こんなに性的という言葉を何回も打つのは初めてです。真面目な記事のはずなのに何で……??