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遊びのルールをわかりやすくすることで、楽しみやすく!

よこはま発達サポートルームの保育士の中村です。
サポートルームでは、順番の理解やルールの理解などを目的にかんたんなゲームを行うことがあります。今回は、お子さんとあるゲームをした際のご様子から作成したツールをご紹介いたします。

勝ったのに喜ばない?

ある日、Tくんとトントン相撲をしました。(写真1)

写真1

大人とゲームを介してやりとりをするのが好きなTくんは、この日もやる気満々なご様子でした。Tくんはこれまで、乗り物のカードで神経衰弱に取り組むことや、積み木を使って順番に積むゲームをする等、様々なゲームにチャレンジしてきました。

この日もスタッフが、「コマが倒れたら負け」「オレンジの丸(土俵)からでたら負け」というルールを口頭で説明しつつ、実演したところ、頷き耳を傾けてくれていました。

いざ勝負が始まり、互角の戦いを繰り広げていました。そして、しばらくすると、スタッフのコマが倒れ、Tくんが勝ちました。スタッフががっかりした表情をしていると、Tくんはそれをみて同じようにがっかりした表情をうかべていました。

そこでスタッフが「Tくんの勝ちだね。」と伝えると、どこか不安そうな顔で頷き、ガッツポーズをしていました。残りの2回戦も、勝敗がつく度にスタッフの表情やリアクションを見て、ご自分の勝敗を判断しているようでした。

セッション後のスタッフ間での振り返りの際に“もしかするとルールの理解が曖昧な為(またはルールは理解ができたが忘れてしまった)、スタッフの表情やリアクションに頼ってしまうのでは?”という話になりました。

ルールをわかりやすく

そこで、トントン相撲のルールを視覚化することにしました。そうすることで、見るとルールを思い出すことができ、相手の様子に頼らず自分で勝敗の判断ができるのではないかと考えたからです。実際に作成したものが以下です。(写真2)

写真2

さて、どうなるか?

後日、上記のツールを用いて、もう1度トントン相撲をしました。
Tくんには、ゲーム開始前に作成したツールをお見せしながら、「コマが倒れたら負け」「オレンジ色の丸からでたら負け」というルールを説明しました。そして、ゲームの最中いつでもルールを思い出すことができるように、視覚的ツールはTくんの視線の先におきました。

1回戦目、スタッフのコマが倒れた瞬間、Tくんが「やったー!」と言い立ち上がりガッツポーズをしていました。

2回戦目、3回戦目も同様のご様子で、ご自分で勝敗を判断し、スタッフの表情をうかがうことはありませんでした。また、戦っている最中や1回戦目と2回戦目の間で視覚的ツールを見て、ご自分でルールの確認をしている様子もありました。そして、前回のように不安な表情はなく、クリアな気持ちでゲームを楽しめている姿がありました。

まとめ

今回取り組んだトントン相撲は、今まで取り組んできたゲームとは異なり、勝敗の条件が複数あり、覚えていなければいけないことが多くありました。そのことが不安な表情の要因だったのではないかと思います。

しかし、ルールを視覚化することでいつでも見返すことができ、相手に頼らずに自分で判断ができることで、ゲームの楽しさをより一層味わうことができたのではないかと思います。今後もお子さんそれぞれの強みと安心できるサポートを丁寧に探していきたいと思います。

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