「助言」がいつも支えになるわけじゃない
(5,931文字/個人差はありますが、約10分~14分程で読めると思います)
こんばんは。よこはま発達相談室の佐々木です。
コラムの更新が遅くなり申し訳ありません。
週末はコンサルテーションで熊本に来ていました。昨年の6月から熊本YMCAさんに関わらせて頂いており、月1回のオンラインを中心としながら今回のように訪問(1回/年)をしています。
明日からは釧路です。釧路ではKCビーンズさん(児童発達支援·放課後等デイサービス)にお邪魔させて頂きます。最近はインスタグラムでも日々の支援について発信しておられるようなので、宜しければご覧ください。
▼KCビーンズさん
何度かお伝えしているかもしれませんが、僕らは「外部評価」というのを実施させて頂いています。これは組織の体制や運営についてだけでなく、実際の支援とその質について確認させて頂くものになります。これは現在の支援の現状を整理し、何が事業所さんの強みで、どこに、どんなサポートがあればより良い取り組みになっていくのかを一緒に整理するためのものです。つまり、僕らが日々の支援で大事にしていることと同じことを、事業所さんとお付き合いする際にも大事にしていこうということです。
そんな取り組みをしながら、全国のさまざまな法人さんとご一緒させて頂いています。
現場としても、発達障害者支援センター、幼稚園/保育園、児童発達支援センター、児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護、就労継続支援、入所施設、相談支援など多岐にわたっています。今も今後ご一緒したいとお声がけを頂いている法人さんもあります。
もし「お願いするかどうかは別として、興味がある」という方がおられれば、seminar@ypdc.netの佐々木宛まで「コンサルテーションの件で」とご連絡ください。
さて、それ以外にも、今回は熊本で多くの仲間の方々にお会いしてきました。そこで自分にとっての学びを共有したいと思います。僕の学びの備忘録のようなものです。日々の支援の参考にはあんまりならないかもしれませんが、「普段、こんなことを考えているんだなぁ」と思ってお読みいただければ幸いです。
どうぞお付き合いください。
助言が支えになるとは限らない
今回は少し時間があったので、一般社団法人ゆこりさん(https://www.instagram.com/yukori.yukori/)にお邪魔してきました。このグループでも何度も動画に出てきてくださっている下田先生(言語聴覚士)が代表として活動しておられる法人さんです。元々どのような取り組みをしているのかなどのお話は伺っており、知れば知るほど行ってみたいと思っていたので、今回念願叶っての見学でした。
よくお伝えすることに「お子さんも、親御さんも含めてご家族全体をサポートしていくことが大切」と言われます。児童発達支援や放課後等デイサービスのガイドラインにも親御さんのサポートすることの重要性が記載されています。おそらく、多くの人が同意も納得もしてくださることだと思います。
でも、実際にそれはどういうことなのか、それを実現することは容易なことではありません。よく「寄り添った支援」とも言われます。でも、寄り添うってどういうことでしょうか。
なんとなくのイメージはあるかもしれませんが、それは具体的にどういうことなのかは人によってイメージは違うかもしれません。
ゆこりさんを見学し、またそこで大事にしていることなどを教えてもらう中で感じたことは「必ずしも助言が支援になるわけじゃない」ということです。親御さんの中には、話をされる際に「助言が欲しい」ということもあれば「話を聞いてほしい」ということもあるのだと思います。
ですから、ご本人にも、親御さんにも「愚痴を言うことがあっても良いし、相談の場をそのように使ってもらっても大丈夫です」とお伝えすることがあります。でも、僕らは勉強すればするほど、自分の知識や技術が増えれば増えるほど「助言をしたくなる」ことがあります。
「いや、支援者なんだからあたりまえでしょ。むしろちゃんと相談にのって助言をすべきでは?」と思われる方もいるでしょう。でも、さっき書いたように「助言が欲しい時とそうでない時がある」ということも頭に入れておく必要があるかもしれません。
何が支えになるのか、何が援けになるのかは、その時々の状況によっても違います。
もし、ただ話を聞いて欲しかっただけの時に「〇〇と対応しましょうか」「〇〇するといいですよ」と専門家として助言してしまうと、親御さんが「やらなきゃ…」と苦しくなることもあるかもしれません。そして、助言をした側は「この前言われていたこと、その後どうでしたか?」と確認をしたくなります。それは、何がうまくいって、何はそうではないかを確認し、次の一手を考えるためです。
その際「まだできていなくて…」と親御さんが仰った際には、「実行するためにサポートが必要なのかもしれない」と思って、さらに追加の助言をしたくなる専門家もいるかもしれません。
親御さんの立場としては、どんどん苦しくなり、どんどん相談しにくくなるかもしれません。こうなってくると悪循環です。
ただ、実際にはそうしたことを見極めるのは難しいこともあります。ですから、ゆこりさんとしては、「あえて専門家が話を聞かない時間」を設けているそうです。専門家じゃないからこそ、話せる話もあるのかもしれませんし、そこで新たに発見できるニーズもあるでしょう。
言われてみたら「確かにその通りだよな」と思うことを、ゆこりさんを見学することで、改めて整理して考えることができました。
連携にも二つある
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