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【Q&A】SSTの課題、これからの学校の在り方、その他諸々

(9,024文字/個人差はありますが、約15分~20分程で読めると思います)

こんにちは。よこはま発達グループの佐々木です。
このグループのFacebook版では毎月ゲストの方との対談や鼎談動画を配信しており、来月は宇野洋太先生がゲストです。
   
日常的に臨床に関することを一緒にディスカッションさせていただく機会は多いのですが、考えてみれば今まで二人で動画撮影をしたことはなかったのと、皆さんからのご要望もあり、今回は二人で収録します。本日19:00から収録予定で、Facebook版の方はリアルタイム参加もOKにしました(ただし、画面オフ、ミュートでお願いします。ご質問やコメントはチャットからお願いします!)。ZOOMのURLはこのコラムのコメント欄に載せておきます。
   
そして、事前にいくつか皆さんからもご質問を頂いておりますが、今回はその質問にまずはコラムで佐々木が回答をさせていただき、そして明日宇野先生にも同じ質問をしてみようかと思います。それぞれの視点でまとめていくことができますので、ぜひお楽しみに。   
  
気になる!という方は下記より詳細をご確認いただき、ぜひご一緒できればと思います!
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では、Q&Aスタートです!  
どうぞお付き合いください。


SSTについて

これは皆さんから頂いたご質問ではなくて、コンサルテーションで現場に入った時によくいただくご質問です。例えば、「SSTなどでルールを教えていきたいけど、どうしたらいいか」みたいな内容です。
   
確かに、そこで期待されているルールがわからずに混乱し、不都合の要因となっている場合には、そこでどう過ごすと良いのかをお伝えていくことは大切だろうと思います。
  
でも、SSTには批判的な意見を見聞きすることもあります。僕が見聞きしている中では、「その場でだけできても…」「般化できないから…」というのが多くあります。確かにそれはそうかもしれません。

般化とは別の視点で書いていきます

ただ、僕がよく現場の方と話をさせていただく際に思うこととしては、
(1)そもそもソーシャルスキルの問題なのか
(2)その方の情報の受け取り方に沿った説明になっているか(「こうすればいい」という多数派の理屈だけを伝えていないか)
です。
  
SSTが話題に出る時に「(周囲から見て)困った行動があるから、適切なやり方を教えたい」という場合があるでしょう。例えば、黙って相手の玩具をとる、相手を叩いて持っていくなどの行動があるので、「貸し借りの練習をしよう」とかです。
   
もちろん、貸し借りはできないよりはできた方がいいでしょう。でも、そうしたことが生じているのは本当にソーシャルスキルだけの問題なのか、そしてそうしたことを教えていけるような状況なのかを考えなければいけません。
   
貸し借りというのは、相手には相手の都合がある(=相手の立場に立って考えることができる)とか、本当はまだ玩具を使いたいけれども我慢して貸すことのできた自分を誇らしく思うとか、今貸してもまた後で使うことができると思えるとか、そうしたことが必要なんだろうと思います。
   
これは(2)とも関係してくるのですが、こうしたことが不十分なのに、「貸して」「いいよ」という言葉やスキルだけを教えてどのくらい意味があるのだろうかということも考えていく必要があります。
   
他にも、知識がなければそうした行動はできないかもしれないので知識は必要です。でも、知識があるからそうした行動ができるかと言えば、そういうわけでもありません。
  
・知識を教えていけるのか
・知識を実行できそうか
・集団の中で練習するのが適切なのか
  
こうしたことも考えていきながら、「これは教えていけそう」「教えていくことはご本人にとっても得がある」ということも同時に検討していきます。

その上でソーシャルなことをお伝えしていく際に(2)についてもおさえておかないとならないと、僕は思います。つまり、ご本人がどのようにものごとを捉え、理解、解釈しているのかを整理し、それが間違っているわけではないけれども、同じようには考えない人もいるし、場合によっては「失礼な人」と思われて損をしてしまうこともあるかもしれないこと、お互いにとって嫌な思いを少なくできるように、自分以外の考え方や対応の仕方も知っておく方が便利ではないかと、そうしたことをお伝えしていく必要があるのではないかということです。
  
そうした視点なしにスキルだけ教え込むことは、「間違っているからやり方を変えてください」というメッセージだけになるかもしれません。
  
これはよく話すことですが、行動だけを変えようとするのは難しく、仮に行動だけ変えたとしても、納得しているわけではなければ、そこで様々な葛藤が生まれ、かえって不安が強まることもあります。
  
僕らがすることは、行動を変えるのではなく情報を変えることです。

僕らの行動は情報をどう受け取っているかによって決まります。僕はサッカーや野球を楽しいと感じるからスタジアムまで観にいきます。でも、そう感じない人は観ないわけです。
  
にもかかわらず「観ようよ!」と繰り返し言われたり、応援することを強いられたらどうでしょうか?
  
相手の方の興味関心や言い分を意識せずに、行動だけ変えるというのはそういうことです。でも、サッカーや野球の面白さを伝えるために、発達障害に対してフレンドリーな取り組みをしてくださっていることなどをお伝えすると(=情報を変える)、また違った見方ができ、ちょっと見てみようかな?と思う人も出てくるかもしれません(=情報が変わった結果として、納得して行動が変わる)。
  
誤解のないようにお伝えしておくと、これは「練習する必要はない」と言っているわけではありません。

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