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自閉症と歯科

(5,320文字/個人差はありますが、約8分~13分程で読めると思います)

おはようございます。よこはま発達グループの佐々木です。
コラムの更新が大幅に遅れてしまいました。本当にすみません。

今回は自閉症と歯科治療について考えてみたいと思います。

大阪大学歯学部の障害者歯科治療部の外来医長である村上旬平先生とお話をさせて頂く機会がありました。
  
そこで感じたことや治療の際に必要なこと、ご家庭での対応をどうするかなどを書いていきたいと思います。どうぞお付き合いください。


皆さん、障害者歯科について知ってますか?

障害者歯科について見聞きしたことのある人は少なくないと思います。ご自分のお住まいの地域で「(お住まいの地域)障害者歯科 一覧」など検索すると、障害児者に対応している歯科が見つかると思います。

僕が知ってる範囲では、歯科が唯一だと思うのですが、診療報酬の中に「TEACCH法」という文言が入っていて、初診時に絵カードを用いるなど、いわゆる「構造化=わかりやすい環境調整や関わり方」をすると診療報酬が得られるという仕組みになっています。

これって意外に知られていないことなのですが、そういった背景もあってか下記のような絵カードなんかもダウンロードできるようになっています。

▼東京都保健医療局

何がストレスなのか

どの医療もそうかもしれませんが、歯科は僕らの生活と密接に関わっている一方で、治療が見えない、口腔内を触られるなど感覚的な対応が中心になるため(例えば、歯科で扱う器具が口の中に入る感覚が辛い、ドリルの音が苦痛、歯磨き粉/フッ素の匂いや味がだめなど。それ以外にも顔に光が当たるとかも)、ASD特性のある方々にとっては決して容易ではない(ストレスの大きい)領域でもあります。

そもそも、お子さんの知的な水準によっては「なぜ歯医者に行かなければならないのか」ということを、大人が期待しているように理解することは難しいこともあるかもしれません。歯科に限ったことではありませんが、治療よりも予防が大事です。そのためには定期的な検診も必要でしょう。でも、なぜ検診をするのかの意味が十分に理解できない場合には、検診自体も恐怖の対象になり得ます。

こうしたさまざまな理由から、歯科受診のハードルは高いものでもあります。
ですから、きっと多くの親子たちがご苦労しておられる点でもあると思います。   

そうした点について、英国小児歯科協会が出している「自閉症児の親へのアドバイス」について紹介したいと思います。 

が、その前に余談を。

眼鏡屋さんに行く際にも

英国小児歯科協会の資料を探しているときに、「Going to the optician – a guide for parents and families」という情報を見つけました。これは自閉症の方が眼鏡店に行く際に何がストレスになるのかをまとめたものです。

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