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さまざまなニュース。専門家としてどう読んでいる?

(8,382文字/個人差はありますが、約13分~20分程で読めると思います)

こんばんは。よこはま発達グループの佐々木です。
最近のニュースを取り上げながら、それに対して僕がどう感じ、考えたかなどを書きたいと思います。
   
これまで一度もそうしたスタイルをとったことがないので、初めてですが、ご興味あればぜひお読みください。

が、本来は「毎週3,000文字くらい書きます」とお伝えしていたのですが、毎回長文ですみません。読み手側に立てば、もっとサクッと読める方がいいだろうなと思うのですが…。


「膨大な仕事量で…」同意ないまま障害者の支援計画作られ・・・家族ら「ショック」 1人で“100人超担当”の人手不足や発達障害の子ども急増、問題相次ぐ背景

これは、Xにも投稿したり、Voicy(https://voicy.jp/channel/4144/6018789)でも話をしたので、見聞きして方もおられるかと思います。

簡単におさらいすると、長野県須高地域で、障害者の「サービス等利用計画」において、相談支援専門員が利用者や家族の同意を得ずに署名欄に記入したり、空欄のまま提出されていたというものです。これには、さまざまな批判もあるでしょう。たとえば、人権的な視点でいくと、障害者の意思決定や権利を軽視しているとみなされるでしょうし、「権利擁護」を著しく損なうとされるものです。こうした対応は、長期的な信頼の喪失に繋がり、支援の効果を弱めるものだともされています。
   
そして、その方の人生のはずなのに、やりとりなく周囲が勝手にその方の暮らしのありようを決めてしまうことは、ニーズに沿わない形骸化されたサポートにもなってしまい、「誰のためのサポートなのか」がわからなくなってしまいます。
   
一方で、相談支援専門員の業務の報酬単価は多くの方々が想像するよりもシビアです。一般的に、そうした状況が続くと、質の低いサービスや不正行為が増加するリスクも指摘されています。もちろん、相談支援専門員の対応そのものは信頼を損ねるものであり、倫理的にも許容されるものではないでしょう。

そして、こうした現状が生じてしまっているのはあくまで一部であり、とても丁寧で熱心に対応してくださっている相談支援員の方々もたくさんおられますから、今回の報道は「一部の」ということかもしれません。でも、実際にはほぼボランティアに近い、その方の善意とマンパワーでなんとか成り立っているような場面を見ることもあります。そうなると、継続的・長期的にとはなりにくいようにも思います。
    
また、ニュースの中では、保護者の立場の方が「保護者も制度の仕組みを理解し、課題を一緒に考える視点を持ってはこなかった」とも話されています。同じようなご意見は、日々の相談現場でよく見聞きします。福祉制度の話をする際にいつも感じることは、「申請主義」に多くの課題や批判もあることは知っていますが、それは「一緒に考えなくてもいい」ということではないようにも思います。

日々の生活の中では、制度のことやそれをどう活用していくのか、誰がどんな相談に乗ってくれるのか、そうしたことを把握していくのは大変なエネルギーが要ります。だからこそ、そうしたことを説明する役割は我々にあります。

厳しいようですが、同時に、それらを知ろうとする努力もまた必要になるのかもしれません。相談支援であれ、療育であれ、教育であれ「一緒に考える」という姿勢は大切になってくるのではないでしょうか。

「企業の障害者雇用方針の変化と展望」調査結果を発表

パーソルダイバース株式会社の調査結果によると、多くの企業が、障害者雇用を「法令順守」から「収益貢献」にシフトし、戦力化を図る動きが進んでいる一方で、企業の6割が法定雇用率の達成に困難を感じているというニュースです。皆さんは、こちらのニュースを読まれて、どのように感じられるでしょうか。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000082189.html

これは僕の完全な主観なので、何か明確な根拠があるわけではありませんが、僕が感じたことを共有したいと思います。

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