
「見せる」よりも「見せ方」が大事
よこはま発達サポートルームの保育士の中村です。
自閉症スペクトラムの方々をサポートする際によく言われるのが「目で見ることが得意の人が多いので、視覚支援をしましょう。」ということです。
確かに言葉で伝えるよりもイラストや写真、文字を活用することで自立して行動でき、お子さんがもつ力を最大限に発揮できることがあると思います。
しかし、“目で見ることが得意“と一口に言ってもそのお子さんそれぞれで細かく捉え方が異なっているのだな、と感じることがあります。
今回は、あるお子さんのご様子から作った支援ツールをご紹介いたします。
Dくんは、アセスメントの結果、写真やイラストの理解があるお子さんでした。
その為、写真1のスケジュールをご用意し、セッションをスタートしました。

でも…
Dくんは、スケジュールの前に立ち「どれ?」「どこ?」とスタッフに尋ねてくることが何度もありました。尋ねてくる度に「ここだよ。」「そこであっているよ。」とこたえていました。
スケジュールは目で見て分かるようにしているし、写真への理解もあるから、何度か教えたら分かるようになるだろう…。と思っておりました。
しかし、数回のセッションを重ねても状況は変わりませんでした。
うまくいかないことを続けない
そこで、アセスメントやセッション中の様子からDくんの特性を再度整理しました。すると、Dくんは、耳で聞くよりも目で見るほうが理解しやすいお子さんですが、複数の情報の中から、必要な情報に注目することに苦手さがあることが分かりました。
再度整理したDくんの特性をもとに、必要な情報に注目しやすくなるように、写真2のように、今見てほしいスケジュールの横に矢印をつけました。

すると、「どこ?」と尋ねてくることは一切なくなり、一人でスケジュールを確認し、次のエリアに移動することができました。
まとめ
今回の件を通し、目で見る方が理解しやすいから、「写真を見せればいい」「文字にかけばいい」と安易に判断してしまうと、逆にお子さんの混乱を招いてしまうことがある、ということがわかりました。
傾向を把握するだけでなく、どのようにお見せするとより分かりやすいかな?など細部まで探ることで適切なサポートにつなげていきたいと思います。