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プランCまで用意する話とタイパの話


計画運休で移動ができなくなってしまって、どうしよう

最近、台風や大雪などの予報があると、鉄道会社、航空会社などが「計画運休」を実施するケースが増えてきました。調べてみると、計画運休は2014年に阪神地区でJR西日本が実施したのが、世間に知られるきっかけだったそうだ。その時は被害が予想を大きく下回り、関西の私鉄各社は通常運転を実施していたため、非難が集まったそうです。

しかし、その後、大雪や台風などが予想されると、「計画運休」の実施は当たり前になっています。

先日、山川が計画運休に引っかかり、ちょっと困ったことになった事がありました。大阪-東京間の東海道新幹線が計画運休し、移動手段がなくなってしまったのです。結局、大阪で追加の一泊、スケジュールはボロボロ。

という話を里田としていたところ、「一応、プランAからCくらいまでは考える」と言われました。先日の東海道新感線の計画運休では、「サンダーバードで金沢→北陸新幹線で東京」というルートを早々に活用した人もいたらしく、「北陸新幹線が持つ、“東海道新幹線の非常時の代替ルート”という側面」が生かされた、と感じたのです。

いまどきは、乗換案内、経路探索ソフトを使うと、数種類のルートが提示されます。計画運休は極端ですが、車両故障、事故などで電車が遅れること、道路が渋滞することは召して珍しいことではありません。そこで「こうなったらプランB」というイメージを持つようにしているのです。そうしておくことで、「急なことでも大抵は慌てないで済む」と里田は言います。「実際にプランCまで使ったことはない」のですが。

似たようなケースで、プレゼンや講義用の資料の話があります。これは里田がやっていることですが、プレゼン用資料は「自分のローカルのPC(持ち歩いているノートPC)」と「クラウド」、そして「USB」のバックアップ体制で挑むそうです。
9割以上のケースでは、ローカルのPCのデータで問題ありません。突然、「こちらのPCを使ってください」と言われても、ネット回線が繋がっていればクラウドから落とせば問題ありませんし、USBもあります。最近では、セキュリティの問題でUSBを使うことはあまりないそうですが、代わりに一時的にスマートフォンのストレジにデータをいれておくことがあるそうです。

「なぜ、そこまで準備するの?」

と聞くと「自分のミスで事態が滞るのが嫌」だと答えました。今やどこのオフィス、施設でもWi-Fiは当たり前に完備されていますが、万が一、つながりが悪かったらどうしよう?と考えて、ポケットWi-Fiもいつも用意しているそうです。

若干、病的にも思えますが(笑

安心していたホテルで、Wi-Fiが繋がらない

さて、大阪で追加の一泊をすることになったのですが、ここでも困ったことになりました。ホテルのWi-Fiが繋がらないのです。資料をおいているクラウドサービスにアクセスできません。いろいろと試した挙げ句、ホテルの近くのコワーキングスペースに足を運ぶことになりました。正直に言えば、外資系の名が通ったホテルです。Wi-Fiが繋がらないなんてありえない、とイライラしてしまいました。

里田の「ポケットWi-Fiは常に持っている」という言葉を聞いて、「コワーキングスペースではなく、ポケットWi-Fiのレンタルという手もあったな」と思い至りました。

計画運休に引っかかる、ホテルのWi-Fiが繋がらない、こんなことは、いまどき、めったにないかもしれません。でも、プランCまでイメージしていれば、「まぁ、大抵のことはなんとかなります」と里田はニヤニヤしています。

ギリギリで動くのはどうにも据わりが悪い

プランCまでイメージしておくと何がいいかというと、「万が一に備えてあるので、余裕がある」というところでしょうか。移動中に急に電車が止まっても、アポに遅れる可能性は低くなります。

里田がこういった思考になった一因が若い頃の「アポへの遅刻」の経験だそうです。引き継いだ仕事で前任者のミスがあり、営業担当ともども、謝罪に向かったというのですが、営業担当とは客先の現地待ち合わせ。ところがアポの時間になっても営業担当はやってこない。古い話でまだ誰もが携帯電話を持っている環境ではなく、かなりジリジリしながら待ったそうですが、10分遅れでその営業担当はやってきたそうです。
その謝罪の席は「謝罪に来るというのに遅刻するとは!」のお客さまからの激怒で始まったのです。

「いや、なんで謝罪の席に遅れる? 前の打ち合わせが長引いた? 謝罪だってわかっているんだから、前の時間は余裕を持たせろよ」

と、先輩営業担当に「心の中で」文句を言いました。

それ以降、打ち合わせでも取材でも、里田は「高確率で遅刻はしない」スケジュールを意識しています。現地着は10分前。経路案内では、「その時間に着く一本前の電車に乗る」、これは極端ですが、遅刻してきて「電車が遅れてしまって」といわれると、「確かのあなたのせいではないけれど、対策は打てるはず」と思うわけです。

打ち合わせの最初の一言が「遅れてしまい申し訳ありません」という言葉になるのが、どうにも据わりが悪いのだといいます。

タイパってギリギリを攻めることではない

リモート会議ではもっと極端かもしれません。10時開始なら、10時ピッタリにはいる。これはいいでしょう。しかし、11時までとなったら、11時ピッタリに終わり、11時から次の打ち合わせ。確かに移動時間を考慮しなくていいリモート会議の利点とも言えます。

ただ、山川も里田もやむを得ない事情がなければ、最低でも30分、15分は間を空けます。打ち合わせや取材の振り返りをしておきたい。入った情報を整理しておきたい。そもそも打ち合わせしながら「次があるのですぐ抜けます」というのも、相手に失礼ではないか。

10時会議開始といえば「10時に入る」のではなく「10時に会議ができる状態になる」ことを意味します。互いの貴重な時間を使うのですから、無駄なく、いわばタイムパフォーマンスを意識するなら、むしろ余裕を持って動くことのほうが重要に思えます。

忙しいと口にするのは「自己管理ができてない」ことの表明かも

「ずっと残業続きで、仕事が終わらない」「昨日徹夜してしまった」「打ち合わせの資料作成が長引いて、ギリギリになった」、こんな言葉を言う人も周囲にいるのではないでしょうか。

いろいろな事情はあるでしょうが、学生の頃、試験当日に「全然勉強してない」と声高に言う人と変わらない気がします。

「わざわざ言わなくていいのに」

ギリギリになった、徹夜した、残業ばっかり、で遅刻した(遅刻しそうになった)…

プランCまでイメージしていれば、そうはならないと思えるのです。嫌な言い方をすれば、「自分の準備不足、計画性のなさ、自己管理の失敗」を声高に訴えているようにも聞こえます。さすがにこれは性格が悪いですね。

タイパ、タイパと言って、無駄な時間、スキマ時間を作らない。打ち合わせを連続で入れてくる。そうすると、一つ想定外が起こると、雪崩のようにすべてのことが崩れていきます。自分だけならともかく、関係者にも影響します。

本当の「タイパ」は「そこにある時間を最大限に活用できるようにすること」のはず。そのためには、あえてスキマを作ること、想定通りにいかなかったときに、プランCに移行できる余裕を持つことが重要だと思うのです。


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