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大学4年の夏に普通自動車免許取得ネキ

朝はとても憂鬱だった。
私は家以外の場所に長い時間拘束されるのが苦手なのに、それを余儀なくされるのが運転免許試験場だからだ。

9:00に試験場に着き、受付のおじさんから言われた。
「免許証の写真撮るとき、そのピアス取れる?」
目線は私の眉ピアス、絶対取るもんかと思いながら「あ、とれます」と答えた。

10:00に試験が始まり、50分後に終わり、そのまた15分後に合格発表があった。正直手応えがなかったから、自分の受験番号が表示されたとき思わず「やったあ」と声が漏れた。

合格者が集められ今後の流れを説明された。
合格者講習は13時からだと。合格発表から講習までの2時間の待ち時間は試験中より疲弊するものだった。
食欲はなくて何も食べなかった。ラランドのラジオを2話分聴いてどうにか耐えた。近くにコンビニもあったので、眉ピアスを隠す用の絆創膏を買っておいた。地元の試験場は立地はいいものの施設が古く、トイレが和式しかなかった。死ぬほど汚かった。食欲が湧かなかった要因はそれかもしれない。

13:00、講習という名の書類確認が始まる。
特にやることも聞くことも少なくて安心した。
後ろに座ってたギャルから書類のことで話しかけられて、その流れで仲良くなった。話しかけられる前からその子のメイクが可愛いな〜と思ってたから、思い切って伝えた。すごく嬉しそうにしてた。私のことも褒めてくれた。久しぶりにこんな新鮮なコミュニケーションを体験して、人見知りだった私が免許証発行と共にさらに大人になったなと思った。

13:20ごろ、猛スピードで写真撮影が行われている。
1人あたりの所要時間は3秒だった。
私の眉ピなんて誰も気にしてなかった。
隣からギャルに見守られながら一瞬で私の撮影が終わった。配布された免許証を見ると、案の定わたしの顔は事故を起こしていた。

結局試験場から解放されたのは14時ごろ、予定より早くて助かった。教室を出ようとすると、交通安全協会関係のスタッフが3人がかりで私たちに入会費用を払ってもらおうとしていた。前に並んでた私より若い学生カップルは2人ともお金を払っていた。噂には聞いてたけど、まさかこんなにこちら側の逃げ場がないとは予想してなかったから驚いた。

とまあこんな感じで、1日通して大人の階段をまたひとつ登れたなと思えた経験だった。帰路、自分へのご褒美に買ったマックのポテトLの量がいつもよりも多くて嬉しかった。お腹はちゃんと減っていた。

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