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雑記 36 夏の記憶

  帰省
     山口佳紀

照り返しが強い
炎天の道を行くと
いつもどこかに
私の帰省先が
あるような気がする

夏蚕のにおいのする
藁葺屋根の広い家
めぐりの山で郭公が鳴き
筧の水に
西瓜が冷やしてある

街育ちの私には
そんな記憶はないのに
炎天の道を行くと
いつもその先に
私の帰り着く所が
あるように思えるのだ

(1992.8.9 産経新聞 朝の詩)


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