質問や相談内容を言わず,会議の時間確保のお願いをするのはあり?
今回は,何か質問や相談のために,誰かに対面やオンラインで時間をとってもらう際のやりかたについてです。 その時間確保のお願いをする場合に,最初から質問内容を具体的に説明するべきかどうか? というはなし。
あらかじめ言及しておきますが,これはプライベートな予定調整の話は除外します.
まず結論から言うと私は”時間をとってもらうお願いをする際に,簡潔に具体的なその内容を言うほうがよい”と考えています。
逆の状況を考えてみましょう。今ではだいぶ減りましたが,会社や大学の固定電話に,全てではないですが,営業電話かかってきますよね。あのとき相手の会社や所属,名前が聞き取りにくいくらい早口だったりしませんか?また,何が要件なのか話はじめで分からない場合が多くありませんか? 実はあれは意図してそうしているようです。営業電話は,切られたら終わりなのです。そして人間は単純な接触時間(ここでいうと電話の長さや交わした言葉の数)で何も根拠なんてないのに信用度合を高めてしまう特性があります。それを狙っています。
もし電話口の会社の名前や所属が聞いたことおない名称なら,まず最初に何方様ですかと聞きなおします。あるいはネットで調べてしまいます。でも中途半端にそれっぽい名前を言えば,それを聞いた人はもし仮に相手が重要な人物だとまずいので,内容が分かるまで待つか,そういう心理で電話をきらないで会話を続けてしまうのです。これは営業として,いうなれば相手の時間を奪うことを目的としているので,肝心な具体的な内容は全然話さず会社の決められたルール,例えば会話はじまって30秒後に要点を言うなんてのを守っているからです。断っておきますが,これは詐欺まがいの悪質な営業電話に多い手法で,もっと誠実な営業電話も沢山あります。
さて,今回は相談する相手は時間をなるべく奪われたくないわけです。相談する側は,相談される側という立場を考えると,相談する側は,相手の時間をなるべく奪わない(負担をかけない)配慮が必要ともいえます。この際,最初から質問や相談内容を言わないと,どのような理由で相手の時間を奪ってしまうのか説明します。
最初から質問や相談内容を言って時間確保をお願いしないと相手の時間を奪ってしまう理由
1) そもそも質問内容が定まっていないを回避するため
質問や相談とは,自身に答えがないから行います。もちろん自分の中で答えが決まっていて,単純に賛同者や後押ししてくれる人を探しているだけの場合もありますが,どの場合もやはり該当すると考えます。質問や相談というのは,多くの場合その本人の中でもまだ曖昧な状態,あるいは曖昧な部分が残っているものです。そのため,質問や相談の時間をとってもらうためのお願いの際に,事前に質問を簡潔な言葉(文面やメール)にまとめることで,質問したい内容が整理される効果があります。逆に言えば,この頭を整理する段階で,そもそも質問や相談事が自己解決する場合も多々あります。
2) その解答に事前調べが必要な可能性があるため
質問内容や相談内容によっては,答えるために事前に資料やデータを確認しておく必要があるような事前に答える準備が必要な場合があります。そんな質問を,対面でいきなりされても,調べないと分からないとなってしまいます。そうなると,それは今日は説明できないから「じゃあまた日を改めてその件を説明する機会を調整しましょう」となって初回の面談は無駄な時間となる可能性が高まります。2度も時間調整が必要で,相手の時間を相当奪ってしまいます。
3) その質問の答えが一択や定型の可能性があるため
質問者はその問題や課題が難解だと思っているかもしれませんが,実はその業界や専門家の中では,もう答えが一択に決まっていたり,定型の対応で解決できるような場合があります。そうなると,あって話すことはなく,この本読んで,この資料の15ページ見て,この論文読んで,など一瞬でメール1通で解決できてしまうからです。会ったところでその対応は変わらないので,あった瞬間に相談は終わります。時間を調整しただけ時間の無駄ということになり,相手の時間を相当奪ってしまいます。
4) その質問の対応にどれだけ時間がかかるかは質問者には分からないはず
質問した人が,もしその質問の解決にどの程度の時間が必要か分かるのであれば,その質問のある程度は自分で解決できるはずです。つまり,質問や相談がある人が,その解決の対応にどの程度の時間が必要かは,本来は把握できないはずです。解説に30分はかかる質問を,15分の枠でされても,「じゃあまた日を改めてその件を説明する機会を調整しましょう」となって初回の面談は無駄な時間となる可能性が高まります。2度も時間調整が必要で,相手の時間を相当奪ってしまいます。
質問を具体的に要求することは,諸刃の刃? メリットデメリットを考える.
1)質問する側される側が同じ組織にいる場合は特に注意
今回紹介したように,質問される側は具体的内容が事前に出そろっていたほうが,様々な理由で効率的に動けます.一方で,質問する側が同じ組織内にいる場合はどうでしょうか? つまり,組織全体で考えてみて、「質問する際は具体的に」はどういう影響かでるかということです.
2)メリット
メリットは上記に書いたことが同じく享受できます.相談される側のほうが,相談する側より人数が少なく,上司側になる場合が多くなると思うので,そこのマネジメントの負担を軽減できると言えます.
3)デメリット
質問する側が同じ組織内の場合は,デメリットも考える必要があります.
最大のデメリットは,何が分からないかが分からない人が救済できないことです.質問をするというのは,考えをまとめるというスキルとも言えます.つまり具体的な質問の状態にまとめることができない場合,今何が課題か分からない,何が何だか分からない人は,そもそも具体的に質問できないのはずです.そんな人にとって,「質問する際は,内容をまず説明,絶対だぞ!」という強すぎる雰囲気があると,そもそも質問相談すらできなくなります.そして,適当にやってみようとか,諦めようになり,組織全体で機会損失に繋がります.また,メンバーの成長の機会を奪いかねません.
そのため,質問できる雰囲気を形成するには,この質問は具体的には,場合によっては刺激的(強すぎる)メッセージになってしまう場合があります.そのためバランスを考えて実施する必要があると考えます。
おわりに
今回は,何か質問や相談する時間をとってもらう際は,事前にその質問や相談の内容を簡潔に説明する必要性をかきました。 もちろん,そういうお願いの仕方を全員が全員歓迎するかはわからないです。上司や先輩,会社の文化に従ってください。 また,相手も事前に質問や相談内容を教えて欲しいなと思っていても,わざわざ相手に言わない場合もあります。 少なくとも,私の場合は先に簡潔に相談の要点を説明してくれる相談者には対応がしやすいため好意的な印象をもちます。ただし,これは仕事の内容の話で,悩み相談や恋愛事情などは先に具体的な話をしにくい場合や会うことが目的の場合もあるので,ケースバイケースです。少しでも参考になれば幸いです。