右五十肩(インピンジメント症候群)で服着脱が痛い/50代男性
右五十肩(インピンジメント症候群)で服着脱が痛い/50代男性
気になるところ
肩こりは日頃気にならないが急に原因不明で右肩が痛む、特に動かす際に痛みが出るとの事、服の着脱もきついレベルでお困り。
原因は全く不明である、お仕事は事務職で非活動的生活ほか趣味でジョギングは週1回ペース程度されているとの事。
仮説と評価
1)右肩のROM可動域確認(自動・他動)
屈曲・伸展・外転90°以上・伸展”+”(特にお尻の真ん中辺りまで行かない)
水平内転・水平外転は外転が出来ないので”+”と判断。
2)ニアテスト ホーキンステスト”+”
3)胸郭回旋テスト→左回旋”-” 右回旋”+”→体幹が左に回旋している(右肩の巻き込み)
4)右肩甲骨が外転+下制で目視でも右肩が下がっているのが確認できた。
上記の現状は把握して「インピンジメント症候群」の様なお悩みと考えた、しかしながらどうしてこうなったのか?発症機序が知りたい。
そこでカウンセリングを行い日頃右肩を動かさない生活の中で何か行っていないのか?確認をする。
その中で数か月前に甥っ子と遊んでシャドーピッチングを行って遊んだ記憶を思い出す、それから肩を動かす際に「ピチッ」と周辺から異音がしていたとの事。
痛みが無いのでさほど気にもしていなかったらしいが、どうもそのあたりが気になるので再評価を行う。
5)異音を確認→確かに聞こえるので場所を確認→肩鎖関節・胸鎖関節の動く際の音と確認した。
6)つまり右肩甲骨アライメントが外転下制しているが故に鎖骨を圧迫し異音を発生→それだけなら良いが肩甲骨の動きを阻害して、上腕骨との運動リズム「肩甲上腕リズム」を邪魔している→つまり肩甲上腕関節の動きだけで運動しやがて炎症からのインピンジメントと考えた。
コンディショニング
1)胸鎖関節と肩鎖関節の可動域確保のため、ジョイントプレイ(関節の遊び)を作るように胸郭の左回旋のアライメント異常の修正、肩甲骨と胸郭のアライメントも修正した(前鋸筋・外腹斜筋)
2)1で胸郭ー肩甲骨ー上腕骨のアライメントが整ったので、今度は胸鎖関節包と肩鎖関節包をハンズオンでモビリゼーションし関節の滑り運動を回復させ、正常な肩甲上腕リズムを取り戻す。
3)この段階でNRS(痛みの10段階評価)9→5になる、しかしながら一度炎症を起こし固着したものは時間も要す、自宅での関節の動きを取り戻すためのエクササイズを指導、隙間時間にこなしていただく。
今回は思わぬ原因と言われていました、しかしながらヒトの関節は一箇所でも問題を起こすと追従して悪化してしまう特徴があります。
筋組織ひとつにとってもある組織が弱化すると、強い部分へ弱い筋が追いつくことは何もしなければならず、逆に強い筋が弱って揃えてしまう特徴があります。
特に拮抗筋と言われる相反する動きの筋、例えば上腕二頭筋(肘を曲げる)と上腕三頭筋(肘を伸ばす)筋、これは拮抗した関係にありますが曲げる筋が弱まると、何もしなければ伸ばす筋も弱ると言う意味です。