最期の時まで⑧
5月8日
仕事をしていた。
忙しかった。
貴女達に夕飯を作る為に閉店時間は
1時間早めていた。
急いで帰ったら、貴女は私の大好きな
グラタンを作って待っていてくれた。
嬉しかった。
私は貴女の作るグラタンが本当に好きで、
何より、料理をする気力が出た事が嬉しかった。
貴女はほんの少し食べただけで
胃が痛いと言ってた。
明日は10時に一件、物件を見に行くから
一緒に行く事になっていた。
前後の脈略は忘れてしまったが
覚えている会話は
『ねぇ、じゃあ今1番のストレスはなんなの?』と聞いた返事に
テレビを観ている娘の背中を無言で2、3回
指差して、これ!これ!と口が動いた。
悲しかった。
不憫だった。
離れて暮らしてからたった一年半。
ずっと3人で暮らしていたら、
今私はnoteの存在も知らずに済んだ。
かもしれない。
とにかく早く越して来なければ!と思った。
そして、
今後の事を色々話した。
『焦らなくて良いよ。過労から再発したんだから、ゆっくり休んでから自分のやりたい形で復帰したらいいよ。お母さんが手伝える事はやるから。』
きっとあの日の貴女には何の役にもたたない事を言っていたんだね。
『1人になりたい。でもそしたら○○は施設に送られてしまうよね?そうなったら2度と私は会えないよね?』そう言った。
そんな事にはならないが、1人で暮らすのは現実的じゃないだろうと言った。
何が貴女をそこまで追い詰めるのか?
病気はどこまで貴女を苦しめるのか?
優しかった貴女から全てを奪った
得体の知れない病魔