「田舎でのんびり起業」ならエフェクチュエーションの考え方って大事
僕は今八ヶ岳南麓(山梨県北杜市)で暮らしています。「新しい働き方。暮らし方」でハッピーになろう!という企業パーパスのひとり法人を立ち上げてコンサルティングや地方関係人口創出に関することが仕事です。(ヘッダー画像はnoteギャラリーから挿入しました。syuka_sakuraさんありがとうございます!)
今回は「田舎でのんびり起業ならエフェクチュエーションの考え方って大事」というタイトルで、起業の考え方について書いてみます。
田舎でのんびり起業とは?
僕がおすすめしている「田舎でのんびり起業」はお金よりも人生を大切にするライフスタイルです。もちろん生きていくにはお金は大事。だけどお金だけを目的にしたギラギラ起業とはちょっと違う。人生を楽しむための起業です。詳しくはこちらの記事も参照ください。
そもそもエフェクチュエーションってなに?
エフェクチュエーション、あんまり耳慣れない言葉ですよね。これはインド人経営学者のサラス・サラスバシーという人が提唱しているものです。
「有効な、効果がある」という意味のeffectual(effectの形容詞)に…ationをつけた言葉で、「今できる最善をやる」というニュアンスです。本人執筆の本も出ているのですがちょっと高価なので他の人が要約した本の方がとっつきやすいと思います。
対義になるのはコーゼーション
エフェクチュエーションの対義になるのがコーゼーションという言葉です。こちらもあまり耳慣れませんね。「原因」という意味のcauseに…ationをつけた言葉です。
まずはこのコーゼーションからちょっと紹介しますね。
目指すゴール(結果)を先に設定し、達成する方法を考え、最適な手段を検討して選択する
あれあれ?これって結構よく言われている正攻法ですよね。明確なゴールを持って、どうやったらそれを実現できるのか?徹底的に考えるというもの。ではなぜこの普通のことに見えるコーゼーションではなくエフェクチュエーションが「田舎でのんびり起業」には向いているのでしょうか?
今の自分でコントロールできることにフォーカスする
コーゼーションの基本は「予測」です。明確なゴールも予測ですし、最適な手法も予測です。でも今の世の中、予測どおりに進むことの方がむしろ少ないですよね?
そこでエフェクチュエーションでは「今の自分でコントロールできること」にフォーカスしていこう、という考えに基づいています。簡単に言ってしまえば西川きよしの「できることからコツコツと」です(ちょっと違う)。
起業初期は特に不確実性にあふれているから
僕自身もそうでしたが特に起業初期は不確実性にあふれています。こうなるはず、こうすればいい。正直その通りには進みません。
でも生活のためにも売上は作らなければならない。そんな時に自分でコントロールできないことに挑んでも結果がどうなるか分かりませんよね。それよりは「今の自分」にできることから始めるほうが実になりやすいな、と思っているんです。
KPI、KGIを考えるのは事業が固まってから
もちろん常にエフェクチュエーションの考え方だけでいいというわけではありません。目標を設定して最善の方法を予測すること(コーゼーション)が効果的な場面はあります。
例えばブログで生計を立てようと思ったらアフィリエイト収入がKGIになりますよね。10万円のコンバージョンが必要なら、どのくらいPVが必要なんだろう?そのためにはいくつ記事が必要なんだろう?というKPIも必要ですね。
でもそれはブログで飯を食べていく、という事業が固まってからでいいんです。起業初期は自分にできることを探すタイミングです。その時にガチガチに目標を設定しても、まあ、その通りには進まないものなんですよね。
エフェクチュエーションの5つの原則
エフェクチュエーションには5つの原則があると言われています。いずれもマインドに近い話なんですが、起業初期ってこれだよなあ、って思いますね。
手中の鳥の原則
許容可能な損失の原則
クレイジーキルトの原則
レモネードの原則
飛行機のパイロットの原則
うーん、ちょっとどれも抽象的でよく分かりませんね。各々と僕の起業初期のエピソードも交えながら紹介したいと思います。
「手中の鳥の原則」とは手持ちの資源から考えること
まずは「手中の鳥の原則」から紹介します。これは手持ちの資源を有効活用しよう、という考え方です。もちろん目指す姿とのギャップを埋めるために学習して成長することは重要です。でもあなたが今日できることって「今できること」だけですよね。(資源の考え方はこちらの記事も参考にしてください)
僕はちょっと見切り発車で会社を辞めて独立・起業してしまったのですぐに現金収入を得る必要がありました。今すぐできることってなんだろう?結構ここは考えました。(その詳しい経緯はこちらでw)
コーチングの資格も取ったし、IT業界に長くいたから知識もある。コーチやコンサルのような仕事ならなんとかなるだろう。でも今すぐ収入になるかといえば目の前にはクライアントはいない状態。では来月の生活費はどうしたらいいの?
僕はサラリーマン時代から不動産投資をしていたので賃貸不動産運営なら今持っている知識ですぐに収益を得ることができると考えました。もちろん大きな物件を買えるほどの資金的余裕はありません(あったらFIREしてますってw)
そこで割安な中古別荘(自動車くらいの値段)で購入して賃貸運営することにしました。八ヶ岳は移住希望者が多いので賃貸住宅の需要が高い割に物件が少ないんです。金額は小さいものの表面利回り20%以上が見込めたので、即決しました。
起業初期で売上が不安定な中、家賃収益という安定した売上を既知のビジネスモデルで作れたのは大きな安心材料になりましたよ。
「許容可能な損失の原則」がないとジリ貧になりかねない
次に「許容可能な損失の原則」です。これは期待売上の最大化の前に許容できるリスクを決めておく、ということです。
起業初期で考えるなら、どのくらい無収入でも生きていけるか?と置き換えてみればいいと思います。なんといっても会社員を辞めると売上なんてほとんどない状態でも昨年年収に応じた住民税を支払わなくてはなりません。
僕は起業初年度でかなり株も売りましたし、貯金も食いつぶしました。1年こらえれば税金も大きく下がることが分かっていたので1年間はこらえていこうと決めました。これは撤退条件を定めておくということです。
これがないと、あとちょっと、もうちょっとと負けゲームにお金を注ぎ込み続けてしまいます。幸い僕は1年でなんとか暮らしていける目処がついたもののダメだったらまた外資系IT業界に戻るしかないなあ、と思っていました。
「クレイジーキルトの原則」でともかく人と繋がりまくれ
クレイジーキルトとは余り端切れ布を縫い合わせるものです。誰でもいい、目の前で力になってくれる人と繋がりまくれ!ということです。
実際僕も「独立・起業しました」とSNSで旧友たちに伝えまくって、八ヶ岳の起業家交流会に参加しまくって、IT業界の交流会にも参加しまくりました。
もちろん交流会に参加しても「よし!お前のクライアントになってやるよ」なんて美味しい話はなかなか出てきません(一つ二つはありましたが長くは続きませんでした)。
でも「こんなことやってる」「こんなことに挑戦してる」と話していると、そこから間接的に人を紹介してもらったり、小さな仕事がもらえたりするんです。(今のコンサル・クライアントもそんなところから始まりました)
あとはコワーキングスペースとかで積極的に交流もしていました。直接の仕事にならなくても既に生計を立てているフリーランスの人の話を聞くことも参考になりましたよ。
「レモネードの原則」で失敗も糧にしてしまう
レモンって酸っぱいですよね。甘いオレンジを期待していたのに酸っぱい(失敗)しか手に入らなかった…そんな時はレモンをレモネードにして売ってしまえ!というのが「レモネードの原則」です。
僕の場合は八ヶ岳に関するブログ、メルマガをやっていて、当初はアフィリエイトで飯が食えまいか?と期待していたんです。でも八ヶ岳情報のブログではそこまでPVを集められず(毎月数万PVまで)、アフィリエイトだけで生活はとてもできないな、という状態でした。
でも知人に「こんな仕組みでブログとメルマガをやってる」と紹介したら、「その仕組み、丸ごとうちの会社に導入して!」ということでマーケティング・コンサルの仕事に繋がりました。
これは僕自身が運営するブログ(アフィリエイト)では生計は立てられない(酸っぱい失敗)けれど、その仕組みが違う形で商品になった、ということです。(ちなみに知人の会社はアフィリエイトではなくWebやメールを利用した効率的な営業モデルを求めていました)
起業初期は「飛行機のパイロットの原則」な毎日
これは予測に基づいて進めるのではなくコントロールできる目の前の活動に集中して「なんとかしろ」ということです。
言ってしまえばそれまで、なんですが起業初期は予測通りには進みません。期待していたビジネスでクライアントが全くつかなかったことも何度もあります。
僕はコーチングでビジネスを始める時には「ミドル世代(40代)のキャリア形成」と「ミドル/シニア世代のセカンドライフ」に特化しようと考えていました。もともとキャリア相談を受けることが多かったこと、自分自身が地方移住で価値観が変わったことからセカンドライフなら伝えられるコンテンツがあるからです。
いずれもそれなりに需要はあるんですが、マネタイズが難しいんですよね。転職紹介までできればいいんだけど、単なるキャリア相談だと単価が上がらないし生活するレベルまでクライアントを集め続けるのも大変…
でも自分にできることの範囲で毎日「なんとか」し続けたことで、今はなんとか暮らせるようになりました。
でも自分のやりたい軸を持つことは大事
なんとなくエフェクチュエーションに「なるようになる」「ケセラセラ」という印象を受けたかもしれません。それはそれで間違ってはいないのですが、大事なことは「やりたい軸」を持つことです。(軸の考え方はこちらの記事も参考にしてください)
言ってしまえば起業初期の事業内容(How?)なんてコロコロ変わってもいいんです。それこそエフェクチュエーションの考え方で、「今の自分でコントロールできる」ことをやればいいんです。
でもやりたいこと、ありたい姿(Why?とWhat?)がブレると面白くない起業になってしまいます。面白くないことは結局続きませんからね。やりたい軸をしっかり持って、あとはケセラセラに起業を楽しんでください!(でも許容可能なリスク範囲もきちんと考えておいてね!)
参考情報:田舎でのんびり起業を考えているなら
田舎でのんびり起業、いかがですか?田舎暮らしに十分な収入を得つつ、人生を大切にする起業です。田舎でのんびり起業を目指す人を応援する起業コミュニティ・プログラムの「ヤツビジ」を運営しています。無料メルマガを運営しているので興味がある人はこちらも登録してみてください。
田舎、といってもあなたが気に入ったところが一番なので八ヶ岳にこだわる必要はありません。でももし八ヶ岳南麓に興味があるなら八ヶ岳で移住・起業を考えている人向けの交流・体験プログラム「ヤツクル」を運営しています。よかったらこちらのメルマガにも登録してみてください
あと、こちらは僕の会社(ひとり法人ですけど)のホームページです。よかったらこちらも見てみてください。