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本の棚 #102 『銃・病原菌・鉄㊤』②

『銃・病原菌・鉄㊤』
ジャレド・ダイアモンド

おもしろいから久々にスローペースで読み進めている。

狩猟採集生活であった人類が

いつ、どうやって、そしてなぜ

農耕や家畜生活へ変わっていったのか。

移住生活から定住生活に変化していくことと

「食料生産」は密接に関わっている。

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中米に定住生活が登場したのは紀元前1500年頃

わりと最近じゃないか…

ということはそれまでは多くの人にとって

移住生活のほうが当たり前だったということ。

理由としては狩猟採集のほうが

農耕や家畜による食料生産よりも

生きていくのに効率的であったから。

今では考えられないだろうが

当時はそうだったということだ。

そこからとてつもなく数の

トライ・アンド・エラーを繰り返して

作物の栽培や改良などを進める人類。

その「生きるために考える力」が人類を

発展させていくのだが、

実はそうせざるを得ない事情があったのだ。

それは人が増えすぎたことである。

狩猟採集だけでは足りない、けれども

主食になるような食料が他にない…

その結果、人類は多くの動物を絶滅の危機に追い詰めているらしい。

野生動物の欠乏という悩み。

最近でも漁獲量が減っているというニュースを

よく目にするけれども、要するに獲りすぎなのだ。

人々が食料生産をはじめる背景には、狩猟採集生活と農耕生活という二つの生活様式の「競合」がある。

そして狩猟採集<農耕となった時点で

定住生活がスタートする。つまり…

定住生活をしたいから農耕生活になったのではないということだ。

ぼくは「移動するのが面倒くさい」から

定住生活をしたい、だから食料生産しよう。

という流れだと思っていたが、それは違った。

メソポタミア、ニューギニア、中米など

地域に自生していた野生植物を

栽培化していくタイミングは異なるが

野生動物の欠乏→食料生産→定住生活みたいな流れは

全体的に同じようなものだそうだ。

小麦、トウモロコシ、マメなど、穀物の

食料生産システムが構築されると

人間にとって必要な栄養素という観点からも

安定的な生活が送れるようになっていく。

反面、栽培化や家畜化が可能な生物がいなかった地域は

外部からそれらの食料生産システムが

伝わってこなければ、自発的には不可能であった。

これが狩猟採集から農耕、家畜への移り変わりのタイミングの差となったのだ。


家畜がくれた死の贈り物

ユーラシア大陸のように東西に広がっている地域と

アフリカ大陸のように南北に広がっている地域とで

食料生産システムの伝播スピードが異なるそうだ。

それは気候的な要因が大きく

東西のほうが南北よりも気候の差が小さく

同じシステムを運用しやすいのだ。

北海道と沖縄では同じ生産システムが

適用できないのと似ている。

そしてその生産システム、特に家畜とともに

運ばれたものがある。

それが「病原菌」だ。

やっとタイトルの一つが出てきた。

アメリカ先住民は、ヨーロッパ人たちに出会うまで、ユーラシア大陸の病原菌にさらされたことがなかった。

つまり、免疫をもっていないということ。

だから天然痘、麻疹、インフルエンザなどで

多くの人が死亡してしまった。

東西に広いという大陸の形状による要因で

伝播スピードがはやく、そのぶん

強い遺伝子や抵抗力をもつヨーロッパ人の進出によって

アメリカ先住民はバタバタと倒れていった。

飛んでいくことができない病原菌にとっては

現在のように多くの人が行来できる世の中は

繁栄しやすい環境である。

これはコロナ禍で全世界が実感しているだろう。

人類と病原菌との戦いは過去にも繰り広げられており

人類がワクチンをつくって対抗すれば

病原菌はかたちを変えたり、致死率をコントロールしたりして

なんとか生き残ろうと進化していく。

その戦いの真っ只中に今、ぼくらはいる。

次は『銃・病原菌・鉄㊦』に入る。

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八次涼太郎/人事/ミドルマネジメント伴走コーチ
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