TimeTreeの新しいミッションで、社員の納得感よりも大切にしたこと
2024年9月、TimeTree創業10周年を機にミッション、ビジョン、バリューを新しくしました。
2019年に掲げたミッション、ビジョン、バリューから5年ぶりの大幅な刷新。
TimeTreeの新しいミッション 「誘おう」をつくる の策定を振り返って、考えていることを書いていきます!
正しさ、間違いのなさにこだわりすぎていた
TimeTreeを起業する前、僕はヤフー(現 LINEヤフー)で働いていました。
2012年ごろ宮坂学さんが社長に就任した際、経営方針の大転換(いわゆる爆速経営)があり、社内にむけてこんなメッセージが発せられました。
「これは正しい、正しくないではありません。これからの経営で大事にする価値観です。もし違うと感じた方がいて、会社を辞めたとしても致し方ありません」
当時の僕は、このメッセージをもらい非常にワクワクしたことを覚えています。
ミッションを端的に言い表すことは、経営として「いまなにに賭けて進んでいるのか」や「いまどこに全力で体重をのせるべきか」を、一緒に働くメンバーたちへ伝えるための重要なコミュニケーションです。
ひるがえって僕はTimeTreeで、それができていたのだろうかと考えました。
TimeTreeが従来掲げていたコンセプト「明日をちょっと良くするために」や、ミッション「世の中のすべての時間をつなげてよりよい未来を選択できるようにする」はどうだったんだろう。
正直、TimeTreeで働くみんなにとっての正しさや間違いのなさ、納得感に固執していたと思います。
そりゃ、誰だって明日は良くしたいと思っているし、より良い未来が選べれば絶対にハッピーですよね。それが間違いだと言われるスキがない。
すべての体重をかけられて、常にみんなの判断基準になるエッジの効いたミッションなのか? という問い。みんなにとっての正しさ、間違いのなさ、納得感への固執。
これが、今回ミッションを大幅に見直した一番の理由でした。
みんなの納得感を優先することは責任回避?
僕が掲げた従来のMVVが、なぜ正しさや社員の納得に固執してしまっていたのか。それは僕自身に課題がありました。
僕は、ものづくりをするひとたちが偉大だと思っています。
彼らにとって最高の環境をつくり、彼らが納得感を持って自律的に動けて良いプロダクトがつくれる場所がなによりも大事だと思っています。
それゆえに納得を大事にしすぎてしまった。従来のミッションは全員から意見を募って投票で決めた最大公約数だった。
ほんとうはみんなの納得よりも前に、ミッションを根っこに置いておかないといけなかったんですよね。
もう少し掘り下げると、僕のリーダーシップに課題があったのかもしれません。みんなの納得を求めることは、裏を返すと責任回避。
「みんなが納得した上でダメだったら仕方ないよね」という逃げ……。
「会社として賭けているなら、まあやってみるか!」とみんなの目線を上げることが、本当のリーダーシップと責任なんですよね。
なぜミッションは必要なのか?
組織が大きくなればなるほどミッションは重要になっていきます。
物事の理解は本当に難しい。TimeTreeを考えても、カレンダーツールなのか予定情報のプラットフォームなのか、見る視点によってサービスの捉え方が変わってきます。
すなわち体重のかけどころが変わってくるのです。
会社で働くメンバーが増え組織が大きくなるにつれて、体重をのせて全力で賭けていくべきポイントはぼやけていきます。
どの視点で物事を捉えて体重をのせていくのか。その視点をピン留めするものがミッションです。
新しいミッションは「誘う」をキーワードに、これからのTimeTreeが向かう先を言葉にしました。
ミッション: 「誘おう」をつくる
いままでは、TimeTreeを使ってくれているひとたちを広く「ユーザー」と捉えていました。それを「誘う側」と「誘われる側」で考える視点を設定したのです。
「だれに」がはっきりしていくほどに、プロダクトやそれをつくるメンバーの思考は力強くなっていくはず。そう信じてこの視点を設定しました。
新しいミッションへの思い
今回のミッション、ビジョン、バリュー刷新は、強力なパートナー企業NEWPEACEさんの力を得て進めていきました。
プロジェクトの中で、最初に彼らから「誘う」のコンセプトを提案されたとき、僕は正直ギョッとしました。
当初は「誘う」の言葉があまりにも軽く思えて、偏りを感じて、みんなにとっての正しさも納得も薄い気がしてしまった。
最初の提案をもらったあとに、NEWPEACEの山田さんが「2~3日、風にあたってじっくり考えてみてくださいね」って言うんですよね。提案の良し悪しをその場で判断させてくれない(笑)。
それがいま考えると非常に良いプロセスだった。
ずーっと「誘うってどういうこと?」を考え続けるんです。そうすると、不思議。意味の芳醇さに気づいてくるんですよね。
たとえば僕の妻。
2月ごろ、突然TimeTreeの3月のカレンダーに「熱海(仮)」って予定を入れてくれたんです。
これがきっかけで僕も自分の予定を調整したり、泊まる宿の相談がはじまったり。最終的には旅行の良い思い出をつくることができた。TimeTreeがあるから「誘う」が生まれたんだと気づきました。
また別の場面。
SNSで「いつも遊びに誘うのは私だけ。嫌われていないか不安です」って人生相談があって。
「いやいや、なに言ってるの。どんなときも誘うやつが一番えらい。誘って断られるリスクも取って行動しているあんたが一番えらい」と答えている様子を見かけて、ほんとうにその通りだなと!
「誘う」をきっかけにいろいろな物事がおもむろに進みはじめていく。
「誘う」ことの原動力やTimeTreeの価値を、いままでと違う視点で見ることができたんです。
いやー、良いミッションだ!
もちろん、共感や納得度が低い社員もいる
当然ですが、最大公約数でつくることをやめると共感度や納得度が低い社員が出てきます。これは社内アンケートで明確になっています。
彼らとのコミュニケーションをどうしていくのか。むずかしい課題です。
僕は、決して強制はせずに「自分はこういうプロセスで体重をのせられるようになったよ」「完成ではないし、正解でもない。一緒にコンセプトを育てていきませんか」と対話し続けていこうと思っています。
ずっと同じミッションを掲げるわけでもない。ミッションにも耐用年数があると思っています。
なので「なぜいまこのミッションを掲げているのか?」を丁寧に話す必要もあると考えています。
すぐに納得してもらえなくてもいい。一緒に育てていくことに同意してもらえたら嬉しい。
そんな気持ちで、新しく掲げたミッションの意味をみんなと考え続けられるような組織をつくっていきたいと思います。
NEWPEACEとのプロジェクトの振り返りは、こちらの記事でくわしく話しています。ぜひご覧ください。
TimeTreeは、ミッションに向かって一緒に挑戦してくれる仲間を探しています。詳細は下記ページからご確認ください。
https://timetreeapp.com/intl/ja/corporate/careers