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詩日記 23

 弐○弐弐年 伍月 弐拾日
 外套のいらなくなった夜を寿ぎながら
 掠れ声で懐かしい歌を歌う

 浮かれた街は感染症を忘れ
 アルコールの香りを夜に溶かしている
 川沿いの道 好きな作家の第二の街
 サニーデイサービスのTシャツ いいねえ

 根こそぎだが 猫はそがない
 猫好きで 根っこも嫌いじゃない
 川は夜は真っ黒 水は色まで変えられる
 座っている人の スキニーパンツの内腿あたり
 が 苦手 クリームパンみたいで

 今夜の私はすこしお茶目で
 身体の疲れとうらはらに
 裏原宿くらい洒落てる
 写楽よりしゃらくさく
 じぶんでじぶんを踏襲斎

 三つ目が通るか 通らないか
 国道沿いで見ているバイトを 昔していたと
 四谷の彦ちゃんが 歯のない口で笑った 
 あの夜は もうとっくの遠い

 居酒屋で何時間も マスクなしで暴れて
 電車でマスクして 常識人つらしてんじゃ
 ねえ アホ

 と いうのは 彦ちゃん
 ではなく ぼくのことばなのでした
 彦ちゃんは 口より先に拳を出しがちという
 まったき上品きわまりないひとなので
 こう言うことは言わないのでした
 トムウェイツを よく歌っていました
 英語なんて しゃべれないくせに
 

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