ことばや

矢島です。言葉売りをしております。 音楽や小説や詩などを書きます。 お仕事依頼は wordstore.official@gmail.com まで。

ことばや

矢島です。言葉売りをしております。 音楽や小説や詩などを書きます。 お仕事依頼は wordstore.official@gmail.com まで。

マガジン

  • 詩のようなものもの

    自分で書いたものの中の、詩のような短いものです。シとはいうものの、死的ではなく、ですが私的に近いものではあります。恣意的かどうかは想像にお任せします。

  • よろこびのたね

    ちいさなことばたちです。 詩にも散文にもならない、ちいさなことば。 読む人の喜びの種になることを願って。

  • 小説

    今までにnoteに投稿した短編小説のまとめです。

最近の記事

  • 固定された記事

u n t i t l e d (lyric)

Word Writing by YAJIMA NOA Composed by HIRONAKAURA, YAJIMA NOA Vocal Recording at Half Green Sea - 半緑の海- (By Colin Leitch) Mix Engineer: Hiroyuki Kishimoto (umu) Mastering Engineer: Tsubasa Yamazaki (Flugel Mastering) Produced by Hiroko.W

    • 書くこと

      いいかい きみの創作意欲は飯の種になるし ひとは飯を食わねば生きては行けぬ だからといって 飯のためだけに書くんじゃないよ お金にペンの操作を預けてはいけないよ 魂が腐ってしまうからね 売れなくとも書くんだよ 売れても書くんだよ 楽しみながら書くんだよ 泣いて苦しみながらも書くんだよ わかりやすいものも書くといい わかりにくいものも書いていい 理解されたいとも願いながら お前らなんかにわかるかと意固地でいなさい 完成するために書いて 遂に完成しない生を楽しむんだよ

      • 銀色 巡る星 寂しい鳥

        大切なひとにリフイルは無いと 急に寒くなった夜の北風を 遠縁だと云ひはる寂しい鳥が 教へてくれたもみぢの頬染める頃 陽氣にすつかりだまされた 帰り花を愛でながらわれら 戀をしてゐる してゐる事に気付かぬふりをして 行く秋の裾は短かしと詠む聲の 煌めきとも哀しみともとれる銀色 心象世界を孕んだ無言を 湯に溶かして飲み下した 数を数えながら反芻する 貴方の教へてくれた星の名 小さな聲が由来を話すのを 科学者たちも耳を澄まして聞いてゐた 子守歌に似た天文学 (形外惑星浪漫譚) (カ

        • 20241103-04

          シャボン玉が空の上に飛ぶ 駅前交番の前で烟草を吸つてる 音の欠片がひかりにあたつて きらきら光つてる交差点 雨上がりの泣き方で 笑つて見せてよ 踊れる? あのステツプ 著莪の花よ 小聲で透明に 簡単には割り切れない何かとお腹を 抱えたままで笑つてゐる我々 精密な感情を晴れの日の空に ぴつたりと貼り付けてそれはパツチワーク 現代地球の計算式では出ない答えを 詩情に載せては 簡素記号化しない語り口 モラルは強制されるものでなく 鳥たちの羽搏きは地上に影を描く 「良い香水を

        • 固定された記事

        u n t i t l e d (lyric)

        マガジン

        • 詩のようなものもの
          126本
        • よろこびのたね
          30本
        • 小説
          69本

        記事

          け (青森ことばの詩)

          雨 ふってあった たんげむがし ワァがわりがったんだばって それがわがねがった めぐせぇごとだ 泣いでばっかりいで だんもかんも傷つけで 幼さば理由さして めぐせぐ生ぎできた 変わりてぇって思った ワァはワァば好ぎになりて 好きさなれるワァさなりてって 雨 ふってあった したばって しらねうぢに あおい空があらわれで 本当のごとば教えでけだ けっぱれ わらえ いぐなっていぐんだはんでって 声っこ聞こえで ワァはそのうぢに 笑えるようになっていった ワァもナさ 話して

          け (青森ことばの詩)

          いとおしいあなたへ

          沈んだ水底から見る世界は 結晶型に割れていて美しい 透明なのに碧いのだ 目を細めて生命を見る 皮膚や造形や髪ではなく 生命そのものを見つめる 冷たい雨もひかりに当てると やけに綺麗で抒情的だと 寒い夜は教えてくれることもある 夜の闇の中を並走する列車 この辺りには線路などないと云ふのに 私はそれが行き過ぎるのを眺めてゐた 「ヰンスタントラアメンを 作ってあげやうか? この前 特売で購つたものがあつた筈だ」 祖母の曲がつた腰に遠慮の言葉を投げ 冷えた足を毛布であたため

          いとおしいあなたへ

          かなしみ かわいた かなし

          空の燐寸箱に入れられた 子供の寶物のようだ と思う 小さな部屋で暮らす私は 窓の外の會話を聞いて 手紙のような 文字の切れ端 家事は靜寂を齎す薄暗さだ 生きていれば 物は增えて 關係も入り組み 形は變わり續け 樹海に暮らしてゐるやうな樣相 冬物の布團を出さねばと 思ううちに冬は窓のすぐ 外にまで押し寄せてきて 悲しみ 乾いた 悲しみ 皮膚を引き裂くことよりも 何かを書くことでしか埋められなくなつた 深い溝を夜の闇の底で埋めてゆく 雌鷄だけを函に貯續ける あのひとの

          かなしみ かわいた かなし

          241022 電球と戀の胃もたれ

          續きを書く ガウデイになつたような氣持ちだ だがいつかは終わるのだろう 終わつて また次が始まる それだけだ 萩の花に似た光が 一瞬だけ 溟闇に燈つて 直ぐに消えた 何かの信號のようだと思つた 生きてゆくことの侘しさが 些細な美しさを塗り潰してしまう夜には 月を光を掬つてきて煎じて飮むと良ひと そう云つていたのは どなただつたか あのひとたちはまるで 兄弟のように時を過ごしてきたのだ 「郵便局では番號札をとるのを忘れずに」 整頓されてゐる筈がやけに混沌とした部屋 お茶

          241022 電球と戀の胃もたれ

          少しだけな(少しだけ過食症気味なのだ)

          健全、寶燈、憂愁、綠雨 たばかるな たばかるなかれ 滲んだ空に意味は列を爲し 思い出すのは月の海のことばかり 肥沃な大地の片隅で 湯浴みするをんなの皮膚の感觸を じいつと思い出してゐる時の 沈默のかたち 複雜で單純な圖形 シンメトリヰでなくて宜しい 蓄音機にも彼なりの持論があり サー、プツ、サー と レコオドノヰズの霧雨の中に居る 傘も差さずに 明るくずぶ濡れて 凡ゆる美しさを湛えた水甁 わたしは其處で溺れてゐるのだらう ストレス ストレス そしてストレス トレヱス

          少しだけな(少しだけ過食症気味なのだ)

          詩宮殿に鍵盤の鳴る

          才ある者たちは 富にも名聲にも興味がない 生まれながらにして 己の價値を識つてゐるからだ 勇ある者たちは 誇りと知性を友にする どんな敵にも兵器にも それらは殺せないからだ 皆を励ます者は 低きも高きも經驗する 經驗しなければ 他者の思いを理解できないからだ 眞に氣位の高い者は 世辭にも端金にも靡かない 自らを安賣りすることを 何よりも憎惡するからだ わたしはわたしの價値を 理解しない者たちと話さない 彼らはわたしに觸れられもしない わたしを變へることも わたしを脅か

          詩宮殿に鍵盤の鳴る

          碧めく幻想者と秋霖のネリネ

          さあ さあ と 雨の降つてゐることに氣付いたのは 鳥の啼いていないことに加えて 瑪瑙のやうに固まつた雨の粒が ぱらぱらと窓から這入つてきたからだ 細めた目で天井を見ながら 隨分と起きにくくなつたものだと 秋の訪れを皮膚に耳打ちされた そのうちに幻想が忍び寄つて來 極彩色の夢の底にわたしを引き摺り込む 瞑想の切れ端が枕にこびりついていた所爲だ 觸れると緩つくり溶けて音だけが いつまでも殘つたのだつた 眼球の虹彩がひかりの分量を 計つた上で適切に處方してくれる 適切なひかり

          碧めく幻想者と秋霖のネリネ

          躑躅色

          陰影に因つて象られた模樣を見て、詩情が生まれる。濃淡のグラデヱシヨン、幻視と呼び聲、曇天の空に滲む數櫃。 薔薇は枯れ際にも高貴だ。楓の葉が搖れる一瞬のまばたき、反重力性の愛の心地よさ。 月光と話す際の注意すべき點を、アントーニオが敎えてくれる。植物が滴り落ちて道の途中に溜まつていた。そこに映る自らの顏には何やら人生のやうなものが刻まれてゐるやうにも見えた。 幾つかの花火。幾つかの因子。 吐息をとても優しく廣げて作られた窓枠から、世界の性能を視てゐる。絡まつた蔦が指先に

          Urtica thunbergiana

          聰明なるあはれ 搖らぎは不確かで 粒だつた氷の夢に銀の鎖が卷き付く 聲がかすれた波形の波音 海鳥が飛び立つた 數分閒だけは沈默に塞ぐ 幕閒の小景譚 海豚に睡る 單色的絕望を筆に含ませる イラクサをドライフラワアにして 五線譜の上に橫たわらせた 半透明の密やかさに 粘膜がひたつて祓う 捕捉された秋空の樣相 なつかしさにあまんじて 步道橋ごしの夕燒け 何ひとつ云はないままで もう螢たちはその短かな 一生涯を終えたのかと思うと あの薄暗がりの夕方の 路地の寂しさを思い出すのだ

          Urtica thunbergiana

          Bald reif hält nicht steif

          白銀色の魚が泳いでいく 薄く靑みがかつた水の流れを 幾つもの別れと出會いを經て それでもとても幸福さうに 金木犀が濃く匂ふ夜の闇を ゼリイのやうに纏つて往くひとは 爆ぜない花芯に橙色の陶醉を視る 篝火の滲む輪郭 緋衣草に燈した炎のしずくが 地平線に燃えうつつたのです あれはきつと そうです 圓舞曲を踊り終えた老夫 すこしだけ休憩をするからと 鞄を殘して消えました 鞄を開けると守宮が一匹 ひゆるりともの悲しい女の腕をすり拔けて 靈人が半透明に光る 猫たちはそれを目印にし

          Bald reif hält nicht steif

          20240920

          永い夢を見たの、うねうねと伸びる道のやうな。周囲は真つ暗闇で白い道だけが浮かびあがってゐる。 カアテンを閉めてゐるので、外がどんな天氣なのか、今が昼なのか夜なのかもわからない。戀心に訊いてみて、生命は戀だけヂやないよと云ふ筈よ、戀そのものですら。 藪枯らしが壁にそのしなやかさを這わせる夕暮れに、りんとテインシヤが鳴る。齢を経るごとに無口になつていくのは父の遺伝子がこの血の中で色づいてゐるからです。 てんてんと水引の花が淡く伸ばした茎に紅く。あの女の横顔は影になつて見えま

          愛おしさは

          愛おしさは增すばかりだ 社會は狂った渦を卷いてゆく 囂々と音が煩いせいだ 少し靜かにしてくれないか (もう充分すぎるほど靜かなのに?) 添削してくれないか (出來得るものならば) こそこそするな (こそこそするなよ) 睡りは神聖だ 起床がそうなのと同じやうに 鮮明な輪郭は鮮やかな色味 綿密 神經通路 網膜に似て 膽嚢に關する知識 思いやり合うことの痛さや 侘しさに 愛することの苦しさに むねをそらして喘ぐたび 眠れなかつた夜をおもいだす それでも我々は美しさを見出

          愛おしさは