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lazy_planet
読書とうたたねの合間に考えた諸々
人間とは面白いものだ
長い付き合いの中にあった
様々な嫌なことよりも
貸した本の頁を数カ所《犬の耳のように》
折られたことの方を気にして
いる
自分の言葉が 転載されて
何百人かの目に触れて
いるのを 目にして
皮肉めいた笑みを口元にたたえる
雨上がりの水溜りのように
納豆の蓋……
高級ブランドから遠く離れた
我が家のダイニングテーブルの上
夏の夜風が 居候をする
緩んだからだで 書き込んだ 幾つか
の 箇条書きめいた 思惑
朝方の台所 白く靄がかる 洗い物たち
鳥の声 と 遠くの蝉 夏の暑さ
しのびよりつつある 日中を
盗み見ている
まったく 困ったものだ
積み重なった失敗 不甲斐ない途中経過を
もてあまして 外に目をやれば
モクレンの白色のハナビラ
匂いがここまで 届くようだ
冷房を効かせる為に 締め切りにした窓を
ごまかしてみてよ
他人のことは もういいでしょう 夏椿
花芯が 黄色く 粒立って
ぞわぞわと 蜜蜂の くちずけを待っている
楽しんで 楽しんで 恋と 夏の淡さ
ゴーヤとソーミン
チャンプルウにして さっと
卵の代わりに 木綿のおとうふ
夏は
饐えた匂いが ついてくる
それをかき消すように 香に火をつけて
ふっと 息を吹いた
けむり…… ふわありと
白檀の木から できている
それ もしくは 麻のもの
植物の燃える匂い は いつも静寂の奥にある