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中国ではなぜ格安オンライン英会話(レアジョブ、DMM)が存在しないのか?

中国では、日本で普及している格安オンライン英会話サービスがない。

ここでいうオンライン英会話の定義は、安くて大量に英語を使って会話の機会を確保できるというもの。レアジョブなら25分のフィリピン人講師とのマンツーマンレッスンが150円程度。毎日やっても月5000円と破格の安さである。

中国ではこのような形式の英会話サービスは、(一定の規模で普及しているという点でいうと)存在しない。

その理由は様々考えられるが、

私が思うのは中国人は目的志向が強いからだ。

中国における語学サービスの定番は、TOEFLやIETLSなどの必要な点数を明確に目標にするものだ。また、会話力をつけるなら、“話せる、聞ける”レベルを体系的に作り込まれたカリキュラムをベースに目標を明確化して取り込むものが一般的。

もちろん、格安英会話も対応教科書があり、それを1課ずつこなしていくような一定の体系性はあるが、講師がその使い方を熟知しておらず、テストが安定的に行われず、講師が毎回変わる可能性も高いので、実質はいきあたりばったりのレッスンになってしまう。(もちろん、学習者側がレッスンをリードしていけばいいのだが、なかなか難しい)

ただただ、会話トレーニングをしても“話せる、聞ける”ようにはならない。

外国語を使って“話せる、聞ける”ようになるには、ステップが重要だ。まずは、①発音と文法の基礎を固め、その後②“話せる、聞ける”単語力を十分につけてから、③実践として会話でトレーニングする、というもの。

この①と②をすっ飛ばして③をやっても“話せる、聞ける”ようにはならない。

日本でもこれが認知され、2015年くらいから①と②のステップに焦点をあてたコーチングサービスが普及してきた。

コーチングサービスでは、上記のステップ③において会話トレーニングとして位置づけて利用しているので、格安英会話は価値を発揮する。

もちろん、こうした体系を理解した上で、利用すればいいのだが、一般の人はそこまで理解するのは難しい。(それを導いてくれるのが語学の専門家)

これは日本語版の格安オンライン日本語サービスが外国で普及していないこととも同じ。ネットで探せば、いくつかこのようなサービスがあるが、事業として成り立つ規模にはなっていない。ネイティブと話しても、最初の1、2ヶ月は新鮮で楽しいかもしれないが、学習効果がなければやめてしまう。

中国において、ネイティブが講師を務めるオンライン日本語サービスがいくつかあるが、JLPT合格や独自の会話レベルを設定しているなど、どれも確固たる目標ベースだ。

中国でも、語学検定など試験勉強ベースの語学は取り組みやすいが、実際に“話せる、聞ける”ようにはならないという課題は共有されている。それでも、もしやるなら、まずは明確な資格を目指す人が多い。一方で、OPIや独自の会話レベル指標を作り、どこも競争を繰り広げている。

ただ、より深く掘り下げれば、中国においても「いかに続けるか」が最大のペインである。興味をもたせる、モチベーションを維持させる、ことが主戦場となっている。

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