”限定合理性が招く不条理”読書note79「組織の不条理」菊澤研宗
太平洋戦争における日本軍の失敗を、今まさに流行っている「行動経済学」の考え方で再分析した本で、2000年に出版されたものが、再び脚光を浴びている。それは行動経済学が注目されていることと連動しているのかな?
「失敗の本質(野中幾次郎)」が、日本軍や日本の在り方を”非合理性””非効率性””非人道性”という形で分析した事に対し、人間は『限定合理的』でしかありえないという立場から見直すことで、合理的な判断の下、不条理な行動に陥ったという分析を行っている。
ここには、非合理、非効率、非人道という特殊な状況下での失敗であり、そういう極端な状況に置かれない限り、人間は間違わないという事ではなく、人は常に限定合理的になるため、いつでも失敗の不条理に陥る可能性があるという示唆につながる。つまり、今の社会や企業にも、その分析は大いに参考になるということがポイントである。
「取引コスト理論」「エージェンシー理論」「所有権理論」といった、今、注目されている行動経済学の話と太平洋戦争の話のコントラストが面白く、読み進めることができた。
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