読書note30「同調圧力」鴻上尚史、佐藤直樹
コロナ禍の中で出された対談集。図書館に入ったので、さっそく読破。コロナ影響下で、これまでもくすぶっていた「世間の空気」問題が大きく表に出てきて、戦時下のような状況になっている、と二人は語っている。「社会」と「世間」は異なり、日本人は世間の中で生きていて、社会の中で生きていないというのが、二人の主張。世間のルールを二人は以下のように定義している。
「お返しのルール」モノをもらったら必ず返さなければならない。「身分制のルール」世間の中での序列が重要、分かると安心。「人間平等主義のルール」違う人にならないでね。みんな一緒。「呪術性のルール」俗信、迷信に従う。<佐藤>
「贈り物は大切」「年上が偉い」「『同じ時間を生きること』が大切」「神秘性」「仲間外れをつくる」<鴻上>
そんな息苦しい日本の世間の中で、どう生きるか?彼らは、複数の弱い世間に所属するという少し賢い戦略を進めている。ハイデッガーが言っている<世間ー内ー存在><世間ー外ー存在><世間ー間ー存在>の最後の戦略である。個人主義の発達している欧米では<世間ー外ー存在>という社会で生きる選択は可能だが、日本人は世間から逃れることは難しい(これまで、長い歴史でそこに安住してきたから)、だとすると、<世間ー間ー存在>という、ある意味、世間を客観的に俯瞰できるポジションを取る生き方を、ということだろうか?
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