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“それは思想なき、感性の6年間だった”読書note108「黄金の6年間(1978~1983)」指南役著

人は時代や世代の影響を多分に受ける。社会は、上の世代と下の世代との覇権争いを通じて進んでいくものかもしれないと思う。「僕らの時代」とか「されど、われらが日々」といったコトバは、そういった世代の思いから発せられたものなのかもしれない。

僕が生まれた1960年の世代は、上に「学生運動」の激しい時代を生きた世代と下には「新人類」といった新しいタイプの世代との狭間にあって、これまであまり注目されることが少なかった。(そんな風にひねて見ているだけかもしれないが)

そんな僕らが18歳から23歳といった青春真っ只中の時代、1978年~1983年までを取り上げた本が出た。それが「黄金の世代」である。主にエンタメ分野の事が書かれているが、読んだら、あの頃のことがまざまざと色付きで蘇ってくるようだった。

自分は、ちょうど、18で東京に出て(大学進学)、そのままダラダラと留年とかしながら23歳はまだ学生だった。

目次を見るだけで、その時代を生きた人は、ビビッと来ると思う。

1978年
「ザ・ベストテン」黄金の6年の幕開け
ユーミン再始動、松任谷由実
村上春樹が小説を書いてみようと思った時
松本隆のゴールデンエイジは原田真二から始まった
サタデーナイトフィーバー
オレ、矢沢。よろしく!

同書

ベストテン司会を引き受ける時、黒柳さんは「絶対にランキングに嘘をつかないこと」と注文を付けたそう。番組の生命線を見抜く眼力がすごい

1979年
「魅せられて」「異邦人」シルクロードブーム
「銀河鉄道999」作家性と商業主義
「3年B組金八先生」
「戦国自衛隊」最強タイトルの青春群像劇

同書

日本の連ドラ史において、学園ドラマは大きく2つの系譜に分けられる。『金八』以前と、以後である、

同書

1980年
「TOKIO」東京が最もエキサイティングだった時代
「YMO」とは高橋幸宏のことである。
羽田へ舞い降りた松田聖子
女子大生ブームの扉を開けた宮崎美子

同書

1981年
アニメ新世紀「機動戦士ガンダム」
大滝詠一と松本隆「A LONG VACATION」
萩本欽一、視聴率100%男
向田邦子「父の詫び状」
新しいクルマ文化「ホンダ・シティ」

同書

1982年
松田聖子はB面がいい
チャコの海岸物語
インテリ芸人タモリ 紅白司会までたった8年
宮崎駿も降板、アニメ「NEMO」

同書

1983年
クロスオーバーの象徴「戦場のメリークリスマス」
「ふぞろいの林檎」とサザンオールスターズ
ATGの「家族ゲーム」
原田知世「時をかける少女」

同書

読んで懐かしい気持ちになると同時に、その黄金の時代に、上京し東京の地で、その時代の空気を底辺ながら吸っていたなと思うけれども、その空気を作る側の人間にはなれなかったな、と改めて思う。翻弄されていた自分がいたなと再確認した。

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