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17年ぶりの再会と再開

ひやう。
鳥の鳴声がした。
いや地下鉄に鳥の鳴声は変だらう。きっと車輪と線路の摩擦音か車両が軋む音なんだと思うのが自然だ。
奇妙で奇天烈で優秀で個性的だがそれなりにリアリティもある登場人物達と会えるのが懐かしくとても心地よい。あれから17年も経っていたのか。かつて彼らの活動を知る為にはOLの弁当箱以上はある体積とそれ以上の重量を片手に感じつつこまかくみっしりと並んだ文字を混んだ社内で丹念に追い求めたものだがこの17年という歳月によってスマホで読めるようになったのはありがたい。何よりも片手で持つには厳しい重量と老眼には全く見えない細かい文字の二点が克服されたのは夢のようだ。久しぶりにスマホって便利だなあと改めてジョブズに感謝したりもしてみた。そう、京極夏彦の「鵼の碑」の話だ。中禅寺、榎木津、関口、木場とその愉快な仲間たちが出てくるだけで懐かしさで胸がいっぱいになる。これだけは読書という作業をしないと体験できないし、いざ読み始めてみると過去作のエピソードなんかもなんとなく思い出してきてとても17年も空いていたとは思えないから不思議だ。
あんなに大好きだった読書という行為自体、老眼になったこともありまったく行っていなかった。それは見るべきエンタメの数が増え、ネットの文章や動画などで書物から情報を得る必要もモチベーションもなくなっていったからだらう。通勤中、ゲーム以外の事にスマホを使うのも新鮮だ。なんか久々に知的レベルが上がった感じに思えてくるのは我ながら阿呆という気もするが。

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