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緊張と緩和にみる美しく楽しい水墨画の世界

水墨画の世界をまだほとんど知らない。今まで美術館
や博物館での大作も含め、幾度と水墨画をみてきたが、
なんとなく作品を眺めているだけである。他の美術も
同じようなことだが、水墨画ではなおのことである。

※二階堂美術館ホームページ参照

昨年のことになるが、大分の二階堂美術館で水墨画を
鑑賞した。水墨画の線の濃淡により表現される風景に
見入ったのを思い出す。力強く描かれる線と、柔らかな
消え入るような淡い線で、豊かな世界が展開される。




線は、僕を描く。その本のタイトルや表紙を目にした
時は、なんとなく絵画や建築的な話ではないかと想像
していた。2020年に本屋大賞3位受賞の砥上裕將氏
の作品である。2004年第1回大賞の小川洋子さんの
博士の愛した数式で、小説の面白さに改めて気づいた
こともあり、それ以来、本を選ぶ際に参考にしている。


線は、僕を描くは、水墨画を主題とした物語であった。
主人公が失意の中、水墨画と出会い成長していく物語。
小説の中で、水墨画の世界が生き生きと描かれている。
一本の線の生み出す緊張感に感動する。ひたすら納得
いくまで線を書き続け、線はやがて自分の手を離れ、
命あるものとなり、その線はまた自分を形作っていく。
一本の線への集中が物語に緊張感を生み出す。風景も
水墨画のように描写され、物語に美しさが満ちている。


今年10月に映画も公開予定となっている。墨の濃淡
で描かれる水墨画。映像でその美しさを味わいたい。

※映画「線は、僕を描く」公式サイトより参照



一方、福岡で水墨画といえば仙厓さんを思い浮かべる。
仙厓義梵(1750〜1837)は、日本で最初の禅寺である
聖福寺の住職を務めた禅僧である。仙厓さんの水墨画
は親しみやすさの中に、処世術や人生訓が含まれて、
大変な人気を博したという。福岡市美術館には充実の
所蔵があり、仙厓さん好きにはたまらない場所である。

※福岡市美術館ホームページ参照


※石村萬盛堂ホームページ参照

石村萬盛堂では、仙厓さんもなかという和菓子がある。
商品のパッケージに仙厓さんの作品が使用され、その
ユーモラスな姿に、ほっこりとした気持ちにもなる。
水墨画には、緊張と緩和の自由な世界が広がっている。
水墨画の美しく楽しい世界を、もっと味わっていこう。


※福岡市美術館ホームページ参照

こちらは、美術館公認の仙厓さんLINEスタンプ。
早速、使わせて頂いている。どれもゆるく楽しい。
一番右下の円相図に書かれている言葉は、
「これくふてお茶まひれ」
これでも食べてお茶でも飲みなさいという意味。
帰省のお土産とあわせて今度ラインしてみよう。


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