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アメリカ大統領選挙をマーケティング視点で考えた

はじめに、この記事では政治的な視点を論じるつもりはまったくなく、あくまでマーケティング視点での話です。また、遠く離れた日本での報道の情報をもとにしており、本国の実情と乖離している可能性があることをご了承ください。

アメリカ大統領選挙の結果が出ました。大接戦と言われていたので、結果が判明するまで時間がかかるかと思っていたのですが、激戦州ですべてトランプ氏が勝利し、意外にあっけなかったな、というのが正直な感想です。

バイデン大統領が選挙戦から撤退して約3か月ということもあり、ハリス氏には厳しい状況でしたが、大接戦が予測されていましたし、十分に勝機もあったのではと思います。では、なぜ勝てなかったのでしょうか?以下、独断と偏見のマーケティング視点から考えてみました。

インパクトが強くシンプルなメッセージ

トランプ氏は、「Make America Great Again」や「America First」といったシンプルでインパクトのあるメッセージを一貫して用いてきました。彼の言動はすべてこのシンプルなメッセージに基づいており、危険な発言や誇張・虚偽と取れる内容も彼のキャラクターによってカバーされていたといえます。一方、ハリス氏は現職の副大統領として、複雑な政治課題に対応する姿勢を示していたため、時に一貫性が感じられない印象を与えた可能性があります。一貫性のないマーケティング戦略は機能せずブランド力が強化されることはありません。

ユーモアとエンタメ性

「You're fired. Get out of here!」――トランプ氏が出演した人気テレビ番組でのセリフは、たたき上げのビジネスマンというイメージを強めるものでした。それは経済対策に対して何かやってくれそうという期待につながります。また、集会場で拍手喝采に合わせて小さくダンスを見せるなど、エンターテイナーとしての資質も発揮していました。一方で、検事出身のハリス氏は実直さを保ち、弱みを見せない姿勢を貫いたようです。セレブを招いた集会なども行われましたが、彼女自身の個性やバックグラウンドを伝えきるには至らなかったかもしれません。トランプ氏と対照的な立場を取る戦略ではなく、ユーモアを取り入れることで、トランプ氏のエンタメ性に同質化する戦略もあったのではないでしょうか。

強みを消された2度目の討論会

ハリス氏の強みとされるディベート力を発揮できる場となるはずの討論会は、一度しか開催されませんでした。1回目の結果は互角でしたが、もう一度開催されていれば流れは変わったかもしれません。しかし、トランプ氏は2度目の討論会を拒否し、これが「トランプらしさ」としてアピールされ、逆に支持者の忠誠心を強化する結果を得たと考えられます。相手の土俵には決して立たないトランプさんの戦略的勝利と言えるでしょう。

まとめ

好き勝手に考察してみましたが、結果としてはハリスさんはガラスの天井を突き破ることはできませんでした。次はいつ誰が初の女性大統領を目指すのかはわかりませんが、その日は着実に近づいていると思うので未来に期待したいと思います。

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