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「消齢化社会」を読んで

自分が新入社員だった時、会社にいる課長や部長といった年齢的には倍くらいの人たちがどんなふうに見えたかというと「だいぶ年上のおじさん」たちでした。

そして、今、自分自身がだいぶ年上のおっさんになって、今のz世代と言われる20代の人たちを見て感じること。年齢的には離れていますし、考え方、価値観は違うとは思います。でも、自分が感じたほどの年の差の距離感が薄れているようにも感じます。

もしかすると、彼らからするとやっぱり「だいぶ年上のおじさん」であることに違いはないのかもしれないです。でも、たとえば、体力的な部分であったり無用の価値観に対する抵抗感なんかは、自分が感じた隔たりほどは無いんじゃないのかなと思っていました。

そのような感覚に答えを与えてくれるのが本書です。

本書は、博報堂生活総合研究所が30年にわたって続けた時系列調査「生活定点」を使って年齢による差が消えている点を実証、考察したものです。

1992年時点から2022年時点で比較すると多くの点で年齢による差がなくなっていますが、差がなくなるのには3つのパターンがあります。

高齢になってもできることが増えたこと(例えば、ハンバーグが好き)による「上昇収束型」、古いしきたりや慣習といった「こうあるべき」といった考えを持たなくなっている「下降収束型」、「嗜好や趣味、関心」について、上の年代としたの年代とか互いにすり寄るように違いが小さくなる「中央収束型」の3つです。

そして、この消齢化は10年先にも続くと考えられます。なぜなら、1992年時点の50,60代の世代は日本の高度経済成長、バブルを経験した世代であるのに対して、10年後の社会は長く続く停滞時代しか知らない同じ時代を共有した世代によって構成されるからです。

ただし、消齢化の時代だからといって全ての世代が同じ価値観を持つ同質化になるということではない点には注意しておく必要があります。その上で、「共感」というような年齢・世代ではないタテ串を刺せるマーケティングの有効性が増していくと考えられます。

まとめ

これまでのセグメンテーションの重要な切り口であったデモグラフィックの有用性が薄れていることが本書を読んでよく理解できました。これは少子・高齢化社会といった側面とは違った新たな機会をもたらしてくれる可能性があります。

そして、自分自身が年齢とか世代とかにこだわらずに社会全体を見つめること重要だと気付かされました。

個人的には、z世代ってこんな人たちっていうトリセツみたいな本よりよっぽど腹落ちするな、と思いました。

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