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核融合発電に日本の中小企業が挑む-日経記事「小さくても勝てる」
先日、青色LEDの発明者でノーベル賞受賞者の中村修二氏が、米国で核融合発電のスタートアップを創業したという話を聞いてから、この技術に興味を持ちました。
核融合発電は「地上の太陽」とも呼ばれ、脱炭素社会を目指す次世代エネルギーとして注目されています。国際的な開発競争も激化しており、2024年までの累計投資額は71億ドル(約1兆1000億円)を超え、年々その規模は拡大しています。
実用化が期待されているのは21世紀半ば以降、つまり30年以上先の話ですが、それでも核融合発電は足が長いプロジェクトとして位置づけられています。
そんな次世代エネルギーの国際プロジェクトに、日本の中小企業が参画していることが、日経新聞(9月12日付)の「小さくても勝てる」という記事で報じられました。
記事の要約は以下の通りです。
核融合発電と中小企業の参画
核融合発電は、太陽の核融合反応を利用して非常に効率的なエネルギーを生み出す技術です。フランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクトには、日本の中小企業も参画しており、独自の技術を駆使して欧米の競合を凌ぐ成果を挙げています。
大和合金の事例
銅合金を手掛ける大和合金は、ITERの重要部品である「ダイバーター」の冷却管を製造しています。この部品は核融合反応の副産物を安全に処理するために必要不可欠です。当初は大企業が担当する予定でしたが、技術的な難易度から撤退し、代わりに大和合金がその役割を引き受けました。開発には約10年がかかり、その技術力が高く評価されています。
豊島製作所の事例
豊島製作所は、自動車部品を主業としながらも、核融合反応に必要な磁場を作るための特殊な材料を提供しています。同社は核融合炉向けの材料開発に参入し、海外のスタートアップ企業からも信頼を得ています。収益化に30年を要しましたが、現在では高い採算性を確保できているそうです。
中小企業の強み
日本の中小企業は、技術の精度と納期の信頼性において世界でも高い評価を受けています。また、核融合発電に必要な部品の供給網を整えるための業界団体も設立され、中小企業を支援する体制が強化されています。
「大企業は投資家から短期的な利益を求められがちだが、中小企業は時間をかけて開発できる」という意見には、少し「無茶ぶり」だと思う部分もありました。しかし、日本の中小企業は長年の大企業の下請けとして、品質や納期を厳守する姿勢を築いてきた自負があるでしょう。核融合発電の国際プロジェクトにおいて日本の中小企業が果たす役割が、長期的に日本の新たな産業基盤の構築につながることを期待したいと思います。