100年続く佐渡島の蔵元のストーリー
はじめに
先日、新潟のアンテナショップで「真野鶴1892純米大吟醸」を衝動買いしました。このお酒は、世界文化遺産の佐渡島で作られ、ミラノの酒チャレンジでプラチナ賞を受賞したお酒です。なぜこのお酒を手に取ったのかというと、小畑酒造の5代目蔵元・尾畑留美子さんのストーリーに感銘を受けたからです。
地域密着型のファミリービジネス
尾畑酒造は1892年に創業し、130年以上にわたって佐渡島で酒造りを続けてきました。「真野鶴」と「かなでる」という二つのブランドを中心に、国内外に酒を供給しています。同社の特徴は、地域の資源を最大限活用し、佐渡の自然、歴史、文化を融合させた「四宝和醸」の理念に基づいています。「四宝和醸」とは、尾畑酒造が掲げる「四つの宝物を調和させる酒造り」を表しています。ここでいう四つの宝物とは、米、水、人、そして、佐渡の風土を指しているそうです。
特に興味深いのは、廃校を利用した「学校蔵」です。ここでは、佐渡産のコメを使い、環境に配慮した製造方法で日本酒を作るだけでなく、地域交流の場としても機能しています。「学校蔵の特別授業」や「酒造り体験プログラム」を通じて、地域外の人々も巻き込んだ新たな循環を生み出しています。
経営者の挑戦と視点
尾畑留美子さんは、元々映画配給会社で働いていた異色の経歴を持ちながら、29歳で家業に戻りました。当時、小規模な酒蔵が海外輸出を行うのは珍しかったものの、彼女は積極的に直接輸出に取り組みました。国際的な品評会での受賞をきっかけに、品質だけでなく佐渡の個性を伝えることがブランドの強みになると確信し、地域の文化やストーリーを前面に出したプロモーションを進めています。
持続可能な地域循環のモデル
尾畑酒造は単なる酒造りに留まらず、地域の資源を循環させるモデル企業としても注目されています。特に学校蔵は、地元の観光地化だけでなく、地元住民や観光客が気軽に訪れられるカフェや交流の場を提供し、地域全体の活性化に貢献しています。
まとめ
尾畑酒造の取り組みは、伝統を守りながらも地域と共に進化し続ける姿を示しています。酒造りを通じて佐渡島の魅力を発信し、地域経済の新たなモデルを築いているのです。このような地域密着型ファミリービジネスが、これからの地方創生に大きなヒントを与えてくれることでしょう。「真野鶴」をいただきながら、ぜひ、一度、佐渡島を旅したいと思いました。