職場におけるメンタルヘルス対策(二次予防):コミュニケーション
職場におけるメンタルヘルス対策
職場におけるメンタルヘルス対策は、3本の柱から成る
一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止
二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応
三次予防:職場復帰支援
職場におけるメンタルヘルス対策について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000188314.pdf
今回は、「二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応」についてまとめていく
気づき
いつもと違う様子に対する気づき
管理監督者は早期に当該労働者を発見し、適切に対応しなければならない
メンタルヘルス不調に陥った場合、勤怠面、感情面、言動面そして外観面にいつもと違う変化が生じる
勤怠面
遅刻、早退などが増える
感情面
活気がなく、元気もない
言動面
不自然な言動が目立つ
外観面
服装の乱れ、不潔
うつ病でみられる言動の変化
なんとなく元気がなくなった
口数が少なくなった
冗談をいったり笑ったりしなくなった
理由のはっきりしない休みが増えた
気弱なことをいうようになった
仕事がはかどらなくなった(アウトプットが出てこない)
自殺の予防
うつ病などの精神疾患が重篤化すると自殺を引き起こすことがある
相談
実態(相談できる人の有無)
相談できる人がいる労働者の割合:92.8%
相談相手
家族・友人:79.6%
上司・同僚:77.5%
※厚生労働省より公表されている2018年度の「労働安全衛生調査(労働者調査)」
相談しやすい環境
管理監督者は、日常的に労働者からの自発的な相談に対応するよう努める必要がある
管理監督者は、相談しやすい職場の雰囲気を作ることが必要
管理監督者は、部下との日頃のコミュニケーションが大切
特に相談の必要性がある者
長時間労働等により疲労の蓄積が認められる労働者
強度の心理的負荷を伴う出来事を経験した労働者
その他特に個別の配慮が必要と思われる労働者
相談を受けたとき
相談する部下の話をしっかりと聴くことが大切
相手の気持ちを楽にすることに主眼をおく、アドバイスして問題解決は二の次
カウンセリングマインド手法による相談の受け方
1.受容(相手を受け入れる)
話を聴くという態度を示す(時間をとって話を聴く)。
2.傾聴(ひたすら耳を傾ける)
相手の話を否定しない。
決めつけない。
自分の価値観で判断しない。
相づちを打ちながら真剣に話を聴く。
アドバイスをしない(考え方がおかしいと感じてもそれ自体が病気のせいという可能性もあり、その時点で否定したり、アドバイスしたりしない)。
コミュニケーションについて
コミュニケーションの分類
米国の心理学者であるフェスティンガー(Festinger)によれば、「言語的コミュニケーション」には2種類ある
道具的コミュニケーション
相手に対して何かを要求するときのコミュニケーション
スムーズな業務遂行のために使うコミュニケーション
自己充足的コミュニケーション
相手に対して何かを要求するのではない
挨拶など自らの気持ちを伝えるコミュニケーション
ジョハリの窓
自己分析の方法の1つに「ジョハリの窓」がある
開放の領域:自分も他人も知っている領域
盲点の領域:自分は知らないが、他人は知っている領域
隠蔽の領域:自分は知っているが、他人は知らない領域
未知の領域:自分も他人も知らない領域
スムーズなコミュニケーションのためには、開放の領域が多いことが必要
コミュニケーションによって、隠蔽の領域や盲点の領域を開放の領域に移行させることが大切
返報性の法則
返報性の法則は、相手から受けた行為について、自分も同じような行為を相手にしたいと感じる心理のこと
自分が相手から良い行為を受けたときには、自分も相手に対して良い行為をしたいと感じる
逆に、自分が相手から悪い行為を受けたときには、自分も相手に対して悪い行為をしたいと感じる
コミュニケーションスキル
言葉と非言語の関係
【バードウィステルの法則】
言語的コミュニケーション
言葉そのものによって相手が感じ取る内容
非言語的コミュニケーション
言葉以外の自らの話しぶり、動作、身振りなどによって相手が感じ取る内容
【メラビアンの法則】
視覚情報(顔の表情):55%
聴覚情報(声の調子):38%
言語情報(言葉) :7%
コミュニケーションを構成する3要素の中でも非言語的要素である「視覚情報が最も影響力が高い」
私的自己意識と公的自己意識
私的自己意識
自分自身が感じ取る内面的部分に対する意識
公的自己意識
他者から評価される外面的部分に対する意識
メールによるコミュニケーション
私的自己意識:高い
公的自己意識:低い
→感情的なやりとりになる傾向になる
→相手がより主観的になりやすいことに気をつける必要がある
メッセージの伝え方
アグレッシブ(攻撃的)
自分のことを中心に考える
私はOK、あなたはOKではない
特徴:強がり、尊大、無頓着、他者否定的、操作的、自分本位、相手に指示、優越を誇る、支配的など
パッシブ(受け身的)
自分よりも他者を中心に考える
私はOKでない、あなたはOK
特徴:引っ込み思案、卑屈、消極的、自己否定的、依存的、他人本位、相手任せ、承認を期待、服従的、黙るなど
アサーティブ
自分のことも他者のことも考える
私もOK、あなたもOK
特徴:正直、率直、積極的、自他尊重、自発的、歩み寄り、柔軟に対応する、自分の責任で行動など
管理監督者と労働者の間で良好な信頼関係を構築するためには、「アサーティブ」なコミュニケーションが必要
マイクロ技法
1990年代にアイビイ(Ivey, A. E)とその共同研究者によって開発されたカウンセリング手法
【マイクロ技法の基本的かかわり技法】
1.かかわり行動(視線の位置・言語追跡・身体言語・声の質)
聴き手の積極的な傾聴の姿勢を話し相手に示す技法
相手が聞き取りやすいように、自分の声のボリューム、トーン、ピッチに気を配ることが大切
2.質問技法(開かれた質問・閉ざされた質問)
3.クライエント観察技法
4.はげまし、いいかえ、要約
5.感情の反映
1~5は、相手との信頼関係をつくり上げるために不可欠
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