Corey Taylor / CMFT
Slipknot、Stone Sourのフロントマン、Corey Taylor(コリィ・テイラー)の2020年、初ソロ作。それぞれのバンドとはまた違うメロコア的というか、比較的明るめのアメリカンハードロック作品です。なるほどこういう音楽もやってみたかったのねという内容。曲によって出来不出来はありますが、総じて聞いていて心地よくハードロックの快作。この人は本当になんでも歌えますね。
★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補
1.HWY 666
迫ってくるようなノイズ音から、ドラムが入ってくる
ツインリードで弾きまくるギターが入り、アコギがかき鳴らされる
けっこうきらびやかな音作り、LAメタル感もあるというか
クリアボーカルが入ってくる、アコギだがかき鳴らしが早く緊迫感がある
ドラムが入る、しなやかなギターが入ってくる、テンポは速め
パンキッシュなテンポに変化、歌メロは合唱的
ヴァイキングっぽさ、パーティーっぽさもあるアメリカン・メタル
スリップノット感はほとんどない、もっとハードロック
チャラチャラした感じはないが、煌びやかさは多少ある、ボーカルは雄々しい
パンク、ハードコア、ヒップホップの影響を感じさせつつメタル的なアグレッションを足した感じ
音圧はあるが音の抜けは良い
勢いのあるエアロのようなリフ
★★★★☆
2.Black Eyes Blue
抒情的なスタート、メロディアスハードロック的
歌メロもコーラスが入りポップ、こっち路線なのか
少しスカのリズムも入るヴァース、やはりパンクやスカの影響を感じる
そこにハリウッドヴァンパイアのようなポップな、耳に残る歌メロが入る
歌のうまさはさすが、声がかっこいい
感想は音程移動の激しいリフ、そこからヘアメタル的なギターソロ
これは楽しい、アルバムジャケットからも想像していなかった
もっとダークかと思ったらぬけの良いメロハー
★★★★
3.Samantha's Gone
ロックンロールでヘアメタル、いいリフ
キラキラしているがギターの音はそれなりにヘヴィ
ギターにはエアロっぽさがある、この曲は歌メロにもちょっとエアロっぽさがある
初期のToysとか、ブルースの影響があるポップンロール
ギターはSlashっぽくもある
王道アメリカンハードロック、というところか
能天気、最初の曲が異色でむしろ明るめなのかと思ったが曲を追うにつれてどんどん能天気になってくる
★★★★☆
4.Meine Lux
能天気でハイテンション、パーティーロック、メロコア的
ボーカルはブルース、ハイスピードブルース
この曲はモーターヘッド好きにも刺さる要素がある
コーラスは同じフレーズの繰り返し、ロックンロール的
間奏は完全にオールドスタイルのロックンロールギター
こういう音楽もやりたかったのか、これはソロでやる必然性を感じる
★★★★☆
5.Halfway Down
ややブルージーな曲
リッチーコッツェンがいたころのMr.Bigをヘヴィにした感じ
どこかユーモラスな雰囲気がある、昔のモトリークルーのような毒のある華
楽器隊は堅実なプレイなので破天荒な感じはしないが、あの時代の楽曲と言われたらそう感じる
★★★★
6.Silverfish
ブルージーでカントリーっぽさもある
ザックワイルドのPride & Gloryを思い出す
コーラスに入るともっとオルタナ・グランジ以降のアメリカンロック感が出てくる
ゆったりとしたテンポのパワーバラード
急な展開はなく、じっくりと曲が進行していく
ハーモニーは分厚い、ギターソロが切り込んでくる
総じて各パートのクオリティ、編曲水準が高い
★★★☆
7.Kansas
メロコア的、コード進行も刻みもノリがいい
カントリー的メロディ
Green Dayと言われればそうかと思う曲
メロディ展開はさすがに練られている、サビではハンドクラップ
コード展開、メジャーとマイナーの切り替えがうまい、何気ないがサビはフックが効いている
★★★☆
8.Culture Head
ややヘヴィな雰囲気でスタートだが、きらびやかなワウギターが入ってくる
少しダークな雰囲気もあるがパーティー感の方が強い
ハモリでボーカルラインをなぞってくるとか
歌い方はスクリームが多少入ってくるが、そこまで声はつぶさない
コンパクトながら職人芸なギターソロ
歌メロへ、間奏などは意外性のある展開はなく王道なアレンジ
★★★
9.Everybody Dies On My Birthday
バッドレリジョンみたいな、ちょっとマイナー調で攻めるメロコア
ギターの刻みや音程移動のあるリフなど、かっちりした感じはハードロック
ボーカルが目立っている、とにかく歌っているのが楽しそう、声がノビノビしている
ソロの途中でドラムがテンポアップして少し雰囲気が変わる
元のリズムに戻り、後ろで少しメガデスみたいなリフが
ふたたび歌メロに戻りメロコアに
★★★★
10.The Maria Fire
スローなロックンロール、ブギ
ルーツミュージックに寄りながら現代性がある、マリリンマンソンの新譜にも近い雰囲気を感じた
サビはちょっとレッチリっぽいと思ったら「Other Side」というフレーズが出てくるからか
このリズムはけっこう合っている、カッコいい
★★★★☆
11.Home
ピアノと声のバラード、ピアノのタッチは強めでアーシー
ハードロックバラードというよりはR&Bのアーティストに近い、ジョンレジェンドとか
歌い方もそっち系、今のアメリカの大衆性が高い
途中は弦楽器が入ってくる、ピアノはコードを打ち付けるような弾き方が続く
ライブ感がある
★★★
12.CMFT Must Be Stopped
ヘヴィなリフ、ファンキーなノリ
アジテーションするボーカル、RunDMCとエアロがコラボしたWalk This Wayのような
印象的なギターリフはないがギターサウンド、バンドサウンドは豊富に入っている
切り込んでくるラップ、リズムの歯切れの良さは一流
リズムも一本調子にならずに展開していくが、生バンド感が強くグルーヴィ
ラップとメロディの掛け合い、コールアンドレスポンスの兼ね合いが良い
★★★★
13.European Tour Busroom Song
その名の通りジャムセッションで作ったような2分の疾走曲
疾走する、サバスのParanoidみたいな、即興一発性を感じる
途中でテンポチェンジしてミドルテンポの刻みに、歌詞はずっと似たようなフレーズを叫んでいる
ハードコアマナーだが演奏はかっちりしている
★★★★
全体評価
★★★★
予想外のアメリカンロック、メロコア、メロハー路線
明るく、大衆性が高い
どの曲もレベルが高いが、ソロ作として一定のクオリティはあるものの新しい挑戦はあまり感じない
もちろんキャリアの中ではチャレンジではあるのだが、新しい音楽性の開拓といった凄味はない
娯楽作品として良質だし、ボーカリストとしてのさまざまな側面や作曲能力は味わえる
どの曲も歌メロが良く、影響を受けたいろいろな音楽ジャンルに手を出している感じ
全体としてはメタル色は薄く、パンク、メロコア、ハードコアの影響を感じる
リスニング環境
夜・家・ヘッドホン